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タテとヨコ 2大地下施工法のプロフェッショナル ―「誠実と努力と技術力とを以て他を圧倒」創業者の意思受け継ぐ

理工系×企業ジョブマッチング/大豊建設
記者の目/ここに注目
□国内シェア70%の「泥土圧シールド工法」を開発
□経営層も若手社員も語る「風通しの良さ」

大豊建設は土木建築工事を手がけるゼネコン。旧満州の豊満ダム建設に参画した土木技術者が中心となり、1949年に設立した。土木分野では、トンネルを掘る際に用いるシールド工法の中で、国内シェア約70%を誇る「泥土圧シールド工法」を開発。また橋梁(きょうりょう)や立坑などの地下建造物の施工で使うニューマチックケーソン工法を実施できる全国3社のうちの1社だ。

ニューマチックケーソン工法

売上高に占める土木事業と建築事業の構成比や、受注先の公共事業と民間事業の割合はどちらも1対1。偏りがなく、土木の公共事業受注が減少すれば民間の建築事業で補うなど、市場の変化に応じて柔軟に対応できる。

独自の開発技術が強み

シールド工法は、掘削機内部でトンネルの外壁となるブロックを組み立てながら掘り進める。同社が開発した「泥土圧シールド工法」は、カッターで切削した土砂を泥土に変え、トンネルの最先端部である切羽を泥土で抑える工法だ。

ニューマチックケーソン工法は、東京湾岸のレインボーブリッジ建設にも採用。本工法は、鉄筋コンクリート製の箱「ケーソン」の下部に設けた作業室で掘削してケーソンを沈設させ、地下構造物を建造。作業室内は送気によりドライに保たれ、直接地耐力を確認できる点が他の施工法にない強みだ。さらなる進化を求め掘削自動化の開発を進めている。

建築分野では、くい・基礎関連の特許技術のほか、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)や木質構造建築の設計・施工など、環境・省エネ事業に力を入れている。

高い技術力を支える要因の一つは社内の風通しの良さだ。土木本部長の益田浩史取締役常務執行役員は「年齢に関わらず意見を出しやすい」と強調する。

教育制度も充実しており、1級土木施工管理技士や1級建築士などの資格取得を目指す際、既にその資格を持っている社員が講師となり、未取得者を支援する。益田取締役は「特に技術士の資格は外部に自分のスキルを示すための証明だ」とし、2科目以降の受験も推奨。取得時には合格祝い金や手当を支給している。


自分の道を自分で決められる

土木分野では部署希望自己申告制度があり、年に1回、部門やエリアを問わず配属希望を伝えられる。現在、海外の現場には台湾とマダガスカルがあり、約半年間の体験後、社員自身で勤務の継続を決められる。建築分野でも資格取得後には施工管理だけでなく、設計や営業など、希望に合わせた部署への挑戦が可能だ。

2025年には人事制度を刷新する。これまで1種類しかなかったキャリアパスを、経営マネジメント職群・作業所マネジメント職群・プロフェッショナル職群・総合職群の4種類に分け、進みたい道を自分で選択できるようにする。役割や職責に応じた、給与体系とした。

今後は、異常気象による災害対策のための地下貯留管などで大型受注を目指すほか、高速道路の更新事業やサービス付き高齢者住宅建設などを強化する。

求める人材について益田取締役は「現場だけが土木ではない。それぞれの適性に合わせて部署を選ぶこともできるから、情報通信系分野を含めた多様な人材が欲しい」と話す。

レーベン福岡天神「ONE TOWER」

理系出身の若手社員に聞く
風通しが良く、若いときから幅広い仕事を経験できる

東京土木支店
塙 桃香さん(2021年入社)

河川の護岸改修や耐震補強、地下調節池工事などで現場監督をしています。大学で土木工学を学んだ際に体を動かす仕事に興味を持ち始めました。企業説明会や面接で、自分の手で人の生活を支えるものを作ることへの魅力や、当社の雰囲気・風通しの良さを感じて入社を決めました。現在もその魅力を強く感じています。他社ではもっと年次が上がらなければできない仕事も入社4年目で経験できています。社内外のコミュニケーションを大切にしながら、現場をしっかり管理できる技術者を目指します。今後はシールド工事やニューマチックケーソン工事にも挑戦したいです。





先を見据えた段取りができるように経験を積みたい

東京建築支店
中村 優太さん(2021年入社)

分譲マンションの現場監督をしています。これまで躯体(くたい)・外構・外装工事などを担当しました。大学では建築学を学び、設計者になることも考えましたが、細かいところまで自分の目で見て建築の最初から完成まで携わりたいと思い、今の仕事を選びました。インターンで当社社員の人柄にひかれたのが入社を決めたきっかけです。最初の現場で出会った所長のように先を見据えてスムーズに現場を回せるよう、職人さんが気持ちよく作業できる段取りができるよう、経験を積んでいきたいです。

会社DATA
所在地   京都中央区新川1-24-4
設立    1949年3月31日
代表者   代表取締役執行役員社長 森下 覚恵
資本金   100億円
従業員数  1056人
事業内容   土木建築工事の請負・設計・監理・コンサルティング
URL     https://www.daiho.co.jp/

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