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プラスチックの資源循環型工場(サーキュラーファクトリー®) ―業界に先駆けたリサイクル技術で環境対応

理工系×企業ジョブマッチング/グンゼ
記者の目/ここに注目
□環境対応製品に関する高い技術開発に携わることができる
□グローバルな拠点で活躍できる機会がある

グンゼのプラスチックカンパニーでは、ペットボトルや食品、日用品などの包装用フィルムや工業用途フィルムなどを製造、販売している。特にペットボトルなどに使用される加熱することで収縮するシュリンク・フィルム分野では、国内トップシェアを誇る。国内の生産拠点としては、滋賀県守山市にマザー工場である守山工場と子会社であるグンゼ包装システムや、同じく子会社の福島プラスチックス(福島県本宮市)、グンゼ高分子(神奈川県伊勢原市)を保有し、海外にも米国カンザス州や中国上海市、ベトナムに生産と販売の拠点を持ちながらグローバルに事業を展開している。

プラスチックの異種多層技術を用いて環境対応

同社は、PETやPS、NYなどの異素材を積層したフィルムを製造する技術を強みにする。この異種多層技術によって、フィルムに機能性や強度が付与される結果、フィルムを薄くすることが可能となってプラスチック使用量削減にも貢献する。一方、守山工場は、製造の際に生じるプラスチック廃棄物(廃プラ)を原料に再び戻すことでゴミをゼロにするサーキュラーファクトリー(資源循環型工場)化が進んでおり、廃プラの原料化を行うリサイクルセンターを創設して新たな設備導入を進めている。

守山新工場(サーキュラーファクトリー)
収縮フィルム製品

さらに、市場に出回ったプラスチックフィルムの水平リサイクルにも取り組んでいる。既に他社とも連携して、製品化された使用済のフィルムを再びフィルム製品へ戻す水平リサイクルの取り組みも開始されている。

執行役員
プラスチックカンパニー長
花岡 裕史さん

プラスチックカンパニーには、現在、多くの技術者が在籍しており、製品開発や技術開発、品質保証、設備メンテナンス、営業などさまざまな部署で活躍中である。また、海外の拠点も多いことから海外転勤のチャンスも多くある。「海外に赴任すると、技術者から工場を管理する立場に変化するため、視座が変わり、自らを成長させる機会が得られる」(執行役員花岡裕史プラスチックカンパニー長)。

また、グンゼはプラスチックカンパニーだけでなく、肌着を製造販売するアパレルカンパニーや手術に用いる人工皮膚や癒着防止材などの医療器材を担うメディカル事業部など事業内容も多岐に渡る。グンゼの社員には、他部署への異動希望を伝える機会が与えられており、関係部署が合意すれば異動も可能で、幅広い興味を持つ人材に活躍の場も用意される。

現時点、リサイクル製品を活用した新フィルムの生産販売は着実に進行している。開発者は、製品の設計開発に留まらず、製造方法や品質管理、コスト、開発納期などを考慮しながら、他部署と連携してモノづくりを進める必要があり、コミュニケーション能力も重要。グンゼ社員は、総じて真面目で忍耐強いが、新しい製品を生み出すには、自分の意見も主張できることも重要と考える。

資源循環のトップメーカーとして

守山工場でサーキュラーファクトリー構想が始まった2019年には、約1,200トンの廃プラがあった。その後、製造ラインで発生するロスの削減を目指す自動化設備の操業が始まった2023年に、廃プラは400トンまで削減し、2024年度内にごみゼロを狙う。2026年度には、守山工場内のリサイクルセンターに印刷されたフィルムを再資源化する設備を導入し、リサイクルを追求する体制を構築する。さらに2027年には海外拠点のゴミゼロ、2030年にはグループ全体でのゴミゼロ達成を目指す。

ただし、リサイクルによって資源循環させた製品のコストアップは大きな課題である。樋川裕二プラスチックカンパニー経営管理部長は「社会性と経済性が両立できないと世の中には受け入れられない」と、コストを抑える仕組みづくりを構築した上で、資源循環型フィルムを社会に広く提案したいとのこと。花岡カンパニー長は「技術者から出た率直な意見から革新が確実に進んでいる」とし、構成員全員が本気で環境問題に取り組むことで、資源循環型のプラスチックメーカーとして先頭を走り続けている。

理系出身の若手社員に聞く
廃プラスチックをゼロに

プラスチックカンパニー 技術部
技術開発課
小池 明日香さん
(2021年入社)

小中学校のころから環境問題に興味があり、プラスチックのリサイクルに関わる業務をしたいと考えて2021年に入社しました。現在は、プラスチックカンパニー技術部 技術開発課のリサイクル推進係に所属して資源循環業務を担当中で、工場から排出される廃プラをゼロにすることに日々注力しています。

入社2年目に、一度製品として使用した印刷済のフィルムを回収して、再びフィルムとして戻す水平リサイクル事業の担当となり、2024年には実用化に至りました。これは、業界に先駆けた取り組みで、そうした大きな任務でも、若手の私に任せてくれることにやりがいを感じながら、日々業務に取り組んでいます

会社DATA
所在地  大阪市北区梅田二丁目5番25号 ハービスOSAKA オフィスタワー
創業   1896年8月10日
代表者  代表取締役社長 佐口 敏康
資本金  260億7100万円(2024年3月31日現在)
従業員数 1,449名(単体)4,883名(連結)(2024年3月31日現在)
事業内容 プラスチックフィルムなどの機能性材料やインナーウエアなどの製造・ 販売
URL   https://www.gunze.co.jp/

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