棚の奥からものを取り出せる。パナソニックが開発したロボハンドの機能
パナソニックは物をつかんだまま手の中で引っ張り出せるロボットハンドを開発した。指の表面がベルトで駆動するため、物をつかんだまま、出し入れや回転などの動作が可能。棚の奥など、狭い空間から物を取り出したり、物を整列させたりできる。パナソニックコネクト(東京都中央区)で事業化する。現場実証を始めており、物流の自動化・効率化に提案していく。

2枚の板状の指が平行グリッパーのように開閉する。指それぞれにベルトが巻いてあり、指に沿って引き込み、送り出しが可能。箱に商品が詰まっている場合、薄い指を挿入できれば物を引き込むように取り出せる。シンプルな開閉グリッパーでは指を開閉する空間が必要だった。
物をつかんだままベルトを反対方向に動かすと把持物は回転する。整列させて並べる際に差し込むように向きを調整するなどの細かい動きが可能になる。
ただ指で挟みながら動かすには適切な把持力がかかっているか監視する必要がある。そこで指ごとに力覚センサーを搭載して把持力を制御する。把持対象に応じて調整可能だが、日用品や雑貨のハンドリングでは3段階程度のラフな制御で十分という。動的制御はハンド内部で処理する。システム構築時は把持力などのシンプルな設定で済み、システムインテグレーター(SIer)が扱いやすい。
まずは物流倉庫や工場内物流で実証する。野菜や食品など、形のそろわない物のハンドリングにも提案していく。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業で開発した。(電子版に動画)
【関連技術】 パナソニックも注目する元白熱電球メーカーの変身ぶり
日刊工業新聞 2025年03月04日