赤とんぼが1000分の1以下に激減…全国で始まる復活への試み
20年ほど前までは、日本中の至るところで見られた赤とんぼ(アキアカネ)。これが’00年前後を境にして、半数以上の府県で1000分の1以下に激減しているのだという。そんな現状を受けて、アキアカネ復活への試みが全国で始まっている。埼玉県寄居町でアキアカネの保存活動を行う「むさしの里山研究会」の新井裕氏はこう語る。
「この地域でも、昔は空一面にトンボが舞っていましたが、パッタリとその姿を見せなくなり、おかしいな……と思っていたんです」
新井氏が全国的な激減を実感したのが、同会によって’03~’05年に行われた「全国一斉赤とんぼ調査」だった。
新井氏らは、どんな条件であればトンボが復活できるのか、試行錯誤を始めた。実験用の田んぼや池を造り、冷蔵保存した卵をさまざまな条件で育て、復活できる環境を10年以上調査し続けている。
「田植えの時期はいつがいいのか。いつ水を張ればいいのか。水深はどれくらいか、どんな肥料を使えばいいか。大型機械による耕作で水はけがよくなることが原因ではないのか。新農薬が大きな影響を与えるといっても、すべての農家が無農薬ではできない。ではどんな代替農薬があるのか……と、試行錯誤を続けています」(新井氏)
⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=766794
同会では耕作されなくなった田んぼを借り、トンボやカエルが棲める「田んぼ生き物公園」として整備するなど、里山の自然環境を保全する活動も行っている。
「日本の田んぼは米をつくるだけではなく、多くの命を育む貴重な“生物のゆりかご”でもあります。こうした生態系の保持だけでなく、保水能力、環境浄化能力など、田んぼが持つ『食糧を生産する』以外の価値も再認識しなければならないと思います」(同)
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取材・文/北村土龍
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