大阪市東住吉区にある駒川商店街は、天神橋筋商店街や千林商店街などと並ぶ、大阪を代表する商店街の一つです。
アーケードは、南北に540m、東西に190m続いているようです。
商店街の名前にもなっている駒川は、商店街の少し西側を南北に並行するように流れています。
そんな駒川に、「百済大橋」が架かっています。
でも、橋から見た駒川は、こんな狭い水路。
どうして、幅の狭いこの川に架かる橋が「大橋」なんだろう。
ちなみに、橋のある通りも百済大橋通と呼ばれています。
かつては川幅が広く、大きな橋が架かっていたのでしょうか。
よく分かりません。
駒川は、人工的な護岸工事が施されて水量も少ないですが、驚くべきことに大きな真鯉がたくさん泳いでいます。
楽し気に川面に浮かぶ鴨たちを横目に、百済大橋通から少し南へ歩いてみました。
「きみつかばし」のところで、東に折れます。
平地の中に、少し小高い「酒君塚公園」がありました。
盛土の一番高いところに、「酒君塚」と彫られた石碑があります。
説明板によると、この盛土は酒君という首長を葬った古墳のようです。
『日本書紀』には、仁徳天皇が、百済の王族である酒君に命じて鷹を飼育させたという意味の記述があるとのこと。
確かに、桜が咲く酒君塚の裏から始まる商店街は、「鷹合商店街」です。
酒君は、古代朝鮮において、唐の支援を受けた新羅に滅ぼされた百済の王族であって、百済を支援していた倭国に逃れてきた一人だったのでしょう。
東住吉区や生野区などには、百済王朝ゆかりの地名や遺跡がたくさん残されているようです。
「駒川」という名前もまた、「高麗(こま)川」から来ているのですね。
「高麗川」に「百済」の橋が架かっているのですから、納得です。
鷹合商店街の向こうに、駒川商店街の南側入口が見えます。
アーケードに入ります。
高齢者はもちろんですが、若者の姿もあります。
揚げ物をたくさん並べた天ぷら屋さん。
角打ちができる、酒屋さん。
駒川商店街への買い物の足は、ママチャリ。
こちらでは、ハンドルに傘スタンドを付けるのが、基本的なスタイルみたい。
こちらのマンホールは、良く見る大阪城のデザインではありません。
中央に大阪市の花・パンジー、周囲には市の木・サクラがあしらわれています。
1990(平成2)年に、大阪で花博が開催された頃のものなのでしょう。
メインの通りから横の路地に入ります。
商店街の中で一番歴史がありそうな、「こまがわ五番街」がありました。
左手のお家は、生い茂るカポックで、完全に封鎖されているようです。
テントをくぐると、なんともレトロな面構えの「針中野診療所」。
緑色の木枠に金網。
そこに貼りつけられた、赤い切り文字の看板。
良いですね。
夕刻が近い時間でしたが、鮮魚店にはまだたくさん商品が並べられています。
売り切ることができるのか、ちょっと心配。
古い店舗にかわり、中国系の店舗は増えているようです。
メインの通りに戻ります。
肉の一斗で、黄金コロッケ90円を購入。
ラードの香りと甘さがあり、美味しくいただきました。
腰を落ち着けて食べられるお店は、少ないのかも知れません。
こちらは手作り豚まん専門店・龍福。
ゴロっとした具材がたくさん入った、チャーシューまん200円。
お店の前には、小さなテーブルが用意されています。
味も良くて、これはお値打ちでした。
お弁当も、ホルモンのから揚げも、何でも300円均一の無人販売店。
ミャクミャクも、大阪の商店街へ誘ってくれています。
韓国食材のお店が、2軒並んでいます。
駒川の朝鮮半島とのお付き合いは、古代からでしたね。
ここまで来ると、アーケード北口はすぐそこ。
駅に向かう地下道には、自転車専用道が作られています。
地下道にある自転車専用道とは、珍しい。
やっぱり駒川は、自転車が欠かせない街のようです。
その庶民的な親しみやすさが、良い感じの商店街でした。
朝鮮半島との、古代からの深い関りをもつ駒川。
新しい発見のある街歩きとなりました。