![2014年1月21日、東京の英国大使館で大英帝国勲章ナイトコマンダーを授与されるフジ・メディア・ホールディングス会長の日枝久氏](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/2/670wm/img_f25e64b7573e52b20ddbb53d04dfb5bb407793.jpg)
「41年間も取締役を続けるのはおかしい」でも居座れる理由
性加害問題で揺れるフジテレビの「天皇」と呼ばれる取締役相談役・日枝久氏(87)の去就に注目が集まっています。フジ・メディア・ホールディングス(HD)の株式を持つ米ファンドのダルトン・インベストメンツは、同取締役会に対し、日枝久氏辞任を求める書簡を2月3日付で送ったと発表。その書簡では「なぜ、たった一人の独裁者がこの巨大な放送グループを40年近くも支配することが許されてきたのか」と痛烈に批判しました。日枝氏こそが、今回の問題を巡る同社のガバナンス不全の最大の要因との指摘は少なくありませんが、現時点で辞任の動きは確認されていません。
なぜ、ここまでの権力を持てたのか。なぜ、社員から辞めさせる動きが出てこないのか。居座る理由を考えてみましょう。
2度目の会見が行われた1月27日、同社の嘉納修治会長、港浩一社長は、ほぼすべてのスポンサーがCM提供を止め、多額の損失を被る事態になった責任を取る形で退任しています。しかし、1月30日に開かれた同社定例取締役会で日枝氏が辞任するという話は出なかったと報じられています。
今なお「長老支配」を続ける日枝氏ですが、そもそもどんな人物なのでしょうか。
日枝氏は1961年にフジテレビに入社し、編成局長を経て、1988年50歳でフジテレビの社長に就任しました。その後、当時の会長をクーデーターで失脚させるなどして、権力を掌握し、2001年63歳でフジテレビの会長に就きました。
現在は87歳という高齢にして、フジテレビの親会社であるフジ・メディアHDとフジテレビの取締役相談役という立場で、「絶対的院政」を敷いていると伝えられています。今回の事案を受けて海外投資家や、メディア、世論も一斉に批判を強めていますが、どこ吹く風の無双ぶりです。
なぜ、社長・会長を退いたにもかかわらず、権力を保持し続けることができるのか。フジテレビの事情に精通する関係者を取材すると、大きく2つの要因が浮上しました。