五頭岳夫、吉岡里帆、横浜流星ら “エキストラ経験”を経てブレイクをした俳優たち

“エキストラ経験”を経てブレイクした俳優

 映画やドラマの世界では、一夜にしてスターになることは稀であり、多くの俳優が地道な下積みを経て成功を掴んでいる。その中には、エキストラとして無名時代を過ごしながらも、努力を重ね、実力で道を切り開いた俳優たちが大勢いる。

五頭岳夫

不動産詐欺最大の山場 - 緊迫の「本人確認」 | 地面師たち | Netflix Japan

 まず名前を挙げたいのは、2月26日に放送されるドラマ『問題物件』(フジテレビ系)に出演が決まった五頭岳夫である。五頭は、劇団「青年劇場」の養成所に入り、舞台役者として活動し、一時は役者業から退いたものの、2000年にエキストラとして復帰。長年エキストラとして様々な作品に出演し、演技の基礎を徹底的に磨いてきた。2013年には映画『凶悪』で生き埋めにされる老人、2018年の映画『教誨師』では年老いたホームレス役など、決してメインの役どころではないが、その生々しい質感の演技で多くの観客の心に存在感を残した。

 彼の名が広く知られるようになったのは、Netflixシリーズ『地面師たち』での島崎健一(劇中での本名は佐々木)役だ。細やかな表情の変化やリアリティのある台詞回しが視聴者の印象に残り、遅咲きの名バイプレイヤーとして注目されるようになった。『問題物件』で演じるにのはマンション“コーポゴア”301号室の住人・猪俣広巳。再開発計画を進めるため立ち退いてほしいと言われるも、動く意志はなく占有屋ではないかと疑われる役は、単なる立ち退き問題に絡む住人という枠を超え、作品全体のスリリングな空気を生み出すキーマン。五頭の演技が物語を左右していきそうだ。

唐沢寿明

『プライベートバンカー』©︎テレビ朝日

 唐沢寿明は、現在では日本を代表する俳優の一人だが、デビュー当初はエキストラとして数多くの作品に出演していた。彼の転機となったのは、1992年のドラマ『愛という名のもとに』(フジテレビ系)。そこでの演技が評価され、トレンディ俳優としての地位を確立させると、『ホームワーク』(TBS系)、『西遊記』(日本テレビ系)、『美味しんぼ』シリーズ(フジテレビ系)など、数々の人気作に出演し、映像界に欠かせない存在へ。『白い巨塔』(フジテレビ系)の財前五郎役では、冷徹さと野心を併せ持つ複雑なキャラクターを見事に演じ分け、視聴者の心に深く刻まれた。『プライベートバンカー』(テレビ朝日系)では資産管理を行うスペシャリストであるプライベートバンカーの庵野甲一では、深みのある演技に加えてアクションにも挑んでおり、還暦を迎えてなおチャレンジングな演技は視聴者の心を掴んでいる。

吉岡里帆

『御上先生』©︎TBS

 吉岡里帆は、学生時代に女優を志しながらもなかなか主要な役に恵まれず、エキストラとして活動していた時期があった。映画『天地明察』でエキストラとして出演していた際に滝田洋二郎監督から誘いを受けて、本格的に東京へ進出したことで俳優としてのキャリアは転機を迎える。NHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015年度後期)で、波瑠演じるヒロイン・あさの娘の親友である田村宜を演じ、メガネに赤い着物という見た目もさることながら、コミカルな演技でブレイクを果たす。その後、『カルテット』(TBS系)、『ハケンアニメ!』(2022年)などで主演級の役を務め、演技力が高く評価されるようになった。彼女の演技の強みは、視線や間の取り方にあるのではないかと思う。最近の作品では『御上先生』(TBS系)の是枝文香役の憂いを帯びた演技がとても印象的だった。

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