本編中の後半、鈴木涼美さんのコメント
二人が久しぶりに話すのを間近に見られるだけで超わくわくしてたんですけど、でもまさか二人で共闘して、私に愛を説教したっていう(笑)。愛することを知っているおじさんとおばさんと愛をまだ知らない少女みたいな構図になったのはびっくりしました。
引用:「制服少女たちのその後」を語る(株式会社幻冬舎)
ここは一番ニヤケタ、面白かった部分だった。
学生時代に知り合った異性。その子はこの本で登場するようなことをリアルに、日常茶飯事、毎日繰り返していたらしい。言葉では想像がつかないし、ピンとは来なかったが学校で会い、会話を繰り返し、プライベートで時間を過ごしたりするとなんとなくだが意味は理解出来た気がしていた。
勿論、彼女にもファーストタッチはあっただろうし、ターニングポイントになったのかは不明だが興味本位で始めた遊びのようなものが報酬として直ぐに数万円に変わる。手元に現金が入る。アルバイトとの比較をすると、時給800円くらいの時代にはバカらしくてやってられるわけない…というのが本音だったらしい。あたりまえに危険な目にも遭遇したことも話してくれていたので、やはり綺麗に過ごし続けられるわけはないんだなと異性観点からも感じた。恐怖を味わっても退くわけにはいかない理由というか、金銭感覚の部分も背中を後押しするんだろうが、その界隈に関して無知な自分はその時にとても彼女より子供に思えたし、田舎者という疎外感を覚えた。
彼女たちはその仕事を行うのは流石に地元の駅等ではせず、隣の県の県庁所在地、駅前で風呂敷を広げていたらしい。学校が終わり、電車でその駅へ向かえば丁度ターゲットが動き出すようなゴールデンタイムに入るんだろう。不思議だがよくできたナチュラルなシステムだ。より味を占めるのは確かだ。
それを繰り返しご満悦に遊んでいた彼女だったらしいが、ある時、ひとりの異性と出会い、仲良くなり、その仕事を本気で辞めさせる説得を受けたそうだ。そして彼女が言っていたことは…
「本気で止めてくれたのはアイツだけだから…」
と呟いていた。
その時からその二人は周囲も納得の関係と成り、当たり前に二人として過ごしたようだ。ただ、彼も彼で地元では札つきの悪であったらしく同世代では名前を知らない学生はいないような人物だったらしい。成人式を待たずして彼は少年院、鑑別所での生活を余儀なくされたようだ。彼女はその彼を思ってか食事を届けることを理由に定期的に学校が終わると会いに行っていた様だ。
彼女がふとした時にこぼした言葉
「死ぬのがわかっているのにやめられるわけない…」
という主語や、前提なき突然の言葉は果たして誰のことを指していたのかはいまだにわからない。父なのか、彼なのか、本人、自分のことを言っていたのか。
この類の本や、鈴木涼美さんが書く文章を読むとなぜかいつも彼女の言葉を思い出してしまう。