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ゴルゴ13のルーツ説一覧

登録日:2015/04/02 (木) 21:37:17
更新日:2024/12/10 Tue 11:57:11
所要時間:約 9 分で読めます







あの男はどのように育ち、何を見たのか!?…………




概要

この項目では、漫画『ゴルゴ13』の主人公であるデューク東郷/ゴルゴ13の出生に迫った人物やエピソードについて記載する。
なお「信憑性」の数値は「THEゴルゴ学」の記事から抜粋しているが、同考察では一部のエピソードが混同されているフシがあるので、あくまで参考数値である。

ルーツ説一覧

東研作/第14巻:「日本人・東研作」




報酬を受けとった時あんたとおれとの関係は消滅してしまっている



ゴルゴ13の連載開始から初めての、ルーツエピソードシリーズ第一弾。
「ゴルゴ13=東研作」説。信憑性26%。

ゴルゴ13の後々のエピソードにも登場するマンディ・ワシントンが初登場したエピソードでもあり、彼がゴルゴ13のルーツを追うこととなる。 
この話では、結果的に今回のターゲットが「東研作は既に死亡している」と語り東研作説を否定しているが、それも伝聞であり真相は闇の中。
ただし、ゴルゴの活動時期と東研作の失踪時期に矛盾があるなど疑問点は多い。

ゴルゴが我らが日本に初上陸した回だったりと、記念的なエピソードであることから人気自体は高い説である。

芹沢五郎/第27巻:「芹沢家殺人事件」




つ、杖が……顔の中央に来た時に、撃たれたんだ!!


と……ということは……


や、やつは……


やつは!?……



ルーツエピソードシリーズ第二弾で、記念すべき第100話で語られた推測。
「ゴルゴ13=芹沢五郎」説。信憑性50%。

昭和21年に起きた「芹沢家殺人事件」の真相を求める刑事が、事件の犯人を「芹沢五郎」と考える。
その「芹沢五郎」の後の姿が、ゴルゴ13ではないかという推理から話が動いていく。

エピソード自体は今もなお初期のゴルゴ作品の最高傑作として評判が高い。
「THEゴルゴ学」でも、数あるエピソードの中から、堂々の一位に選ばれたほど。
同時に、生い立ちから考えてもっともゴルゴに近いのは芹沢五郎であるとも書かれている。

ちなみに、記念エピソードなのにゴルゴ13が写真でしか登場していない。
それだけではなく、喋った場面も一切ない…記念回なのになぁ……
…疑った見方をすれば『芦沢五郎がゴルゴ13だから』と考えれば、ゴルゴは登場していることになるが… 

●アレクセイ・スメルジャコフの息子/第36巻:「おろしや間諜伝説」




彼を…


ゴルゴ13を…


脅迫するのです!!



ルーツエピソードシリーズ第三弾。
「ゴルゴ13=アレクセイ・スメルジャコフの息子」説。
何故か「ゴルゴ学」での考察記事で忘れられている。

内閣調査室海外保安局の若槻局長は確度85%とされる上記のゴルゴルーツ説を掴み、自衛隊上層部に披露する。
しかし、次々とゴルゴの謎に迫る自衛隊幹部は殺されていく。

この話では、上記の説が明確に否定されているような発言がある。
ただし、発言直後に人物が殺されてしまったため完全に違うのかは不明。

ちなみにどうでもいい話ではあるが、この説だと父親が日本人の血を持っていない唯一の説になっていたりする。

●五島貴之/第41巻:「蒼狼漂う果て」




…それがユダヤ的発想というものか…


”氏より育ち”とはよくいったものだ…



ルーツ説第四弾。
「ゴルゴ13=五島貴之説」。信憑性15%。

中国・ソ連・アフガニスタン国境で被爆して保護された遊牧民「シエイク・ゴトー」ごと「五島秀之」。
彼の息子である「五島政之」は、ゴルゴに彼の警護の依頼を頼む。
その話を現場にいた日本人ジャーナリスト竜造寺から聞いた先輩ジャーナリスト・長田が、ゴルゴの写真を見てあることに気が付く……。

ゴルゴが、本来の話なら絶対に断る(もしくは言い換えさせる)護衛任務を了承したというかなり珍しいエピソード。
その了承の際に呟いた「氏より育ち」という発言も意味深。

だが、他のルーツ説同様に疑問点も多いという謎に満ちた説。

東郷狂介(小東郷)/第51巻:「毛沢東の遺言」




お前は東郷狂介


あの忌まわしいラスコルニコフの血を受け継ぎ


超高度東洋種族創出所という狂気の施設で人為的に創られた子


東郷狂介だ!!



ルーツ説第五弾。
「ゴルゴ13=東郷狂介」説。信憑性35%。

毛沢東の遺言「小東郷を捜せ…」を聞いた中国革命長老指導者「葉剣英」は弁公室に『小東郷』なる子供の調査を命じる。
しかし、小東郷の現在の姿はゴルゴではないかという疑惑が深まっていく、という話。


説が描かれたエピソードも過去のゴルゴ13のエピソードのネタが次々と登場し、長年のゴルゴファンには楽しめる内容。
過去作品のエピソード・登場人物が物語に関わっていくその内容は正に『中期ゴルゴの集大成』といえる内容であることから、芹沢家殺人事件同様にルーツエピソードの中では高い人気を誇る。

●東郷英治/第57巻:「河豚の季節」




精悍な体は東郷そのものだ!!


そのアゴの線はナタリアの顔だち…違うのは目だけ…


おまえの両親は、そんな冷たい目はしていなかった…



ルーツ説第六弾。
「ゴルゴ13=東郷英治」説。信憑性11%。

新聞記者の村本は、日本で暗躍するユダヤ人武器商人「マインベルグ」と日本人政治家の関係を追う。
その中で満州で計画されていた『河豚計画』に触れていくのだが……

このルーツ説はゴルゴの活動時期と矛盾が生じるという点はあり、他のルーツエピソードより信用性は多少落ちる。
しかし、ルーツ要素を差し引いても満州のユダヤ人入植計画というマイナーな題材に触れたことや憲法改正問題を題材にした緻密かつ壮大な構成など、説が描かれたエピソード自体は単体の話としての完成度は非常に高い。

●グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ/第81巻:「すべて人民のもの」




皇子はやさしい子で、そのままでは生きていけない人間です…


今生きているとすれば…感情のすべてを破壊され…


機械のようになっているでしょう



ルーツ説第七弾。
「ゴルゴ13=グレゴリー・皇士・東郷=ロマノフ」説。信憑性50%。

プライベートバンク『ヒューラー商会』に、ロマノフ王朝の皇帝ニコライ二世の相続人を名乗るシュヴァイツェルが現れる。
彼が、一般には存在しないとされる5人目の皇女ドーラの息子であることが確認される。
しかし、ソ連側が資産を得ることによる世界情勢の悪化を懸念した商会は、父親違いの「もう一人の相続人」を探す。
候補として浮かんだ人物は、他ならぬゴルゴ13。

一方でシュバイツェルは相続する財産を使ったクーデターを計画していた。
それを突き止めたKGBは彼の抹殺をゴルゴに依頼する…

かなりスケールの大きい説であり、エピソードとしても単体の話としての完成度は高い。

この説が出たエピソードで語られる上記の台詞は、『殺人機械』と『時たま見せる人情』の二面を持つゴルゴというキャラを表している。
また、皇女ドーラはラスプーチンと皇后の不義の子の疑惑もあり、その場合ゴルゴはラスプーチンの孫にあたる。

●東堂高志/第86巻:「禿鷲伝説」




俺の背後に忍び寄るのはよせ…


嫌いなんだ…



ルーツ説第八弾。
「ゴルゴ13=東堂高志」説。信憑性43%。

ソ連はペレストロイカ(改革)の一環で、グラスノスチ(情報公開)を進めていた。
KGBは過去に何回も行っていたゴルゴへの殺人依頼が表沙汰になることを恐れ、ゴルゴの殺害を企てる。
同時にゴルゴの過去を発表しようとし、KGB特別局の暗殺者「イワン・マルコビッチ・コズロフ」が彼のルーツを探った結果出てきた説。

この説では、作中で東堂高志を殺したと証言している人物がおり、彼の死体とされる写真も所持している。
そのため、他のルーツエピソードより可能性は低い。まぁ、完全に死んだかは断言できないのだが。
しかし、ゴルゴ=東堂高志だとすると、殺したと証言している人間(東堂高志の友人)が報復を受けずに未だ生きているという時点で既におかしい事になる。
(基本的に裏切りを絶対に許さないゴルゴが、安易な理由で自分を裏切った人間に報復しないとは考えづらい)
だが、説としての信用性はともかく、説が出たエピソードの完成度自体は非常に高い。

なお、ゴルゴは別件でコズロフの抹殺を依頼されており、ルーツを探ったのが原因でゴルゴに狙われたと勘違いしたコズロフに「俺はお前の過去を知らないんだぞ」と言われて
「俺の過去……?」と完全に寝耳に水だった事がうかがえる発言をしている。そりゃターゲットがいきなりこんな事言い始めたらゴルゴも困惑するよな……
そしてコズロフ抹殺を依頼した人物からも「なんであいつ東堂高志の事を探ってたんだろ…?」と困惑される

ちなみに、実は東堂高志はルーツ説で唯一、ルーツエピソードが執筆される以前から存在が明かされていた人物だったりする。
(「南フロリダ殺人ゲーム」においてゴルゴに匹敵するスナイパーとして東堂高志の二つ名「ホークアイ」「ヨン・リー・バンミン」が挙げられている)
ただしそこでも既に死亡したと語られている。

●東郷俊太郎/第160巻:「亜細亜の遺産/亜細亜の遺産 その後」



断っておくが……



俺は、東郷俊太郎なる人物の息子では無い……



時系列の問題でゴルゴに関するルーツ説を描いたエピソードが発表されなくなった時期に出てきた久々のゴルゴルーツ説(と言えるのか?)。後日談も用意されている。
『ゴルゴ13=東郷俊太郎の息子』説。

最初の方では、DNA鑑定などと言った高い信頼性の証拠も出てくるが……
後の後日談で、このルーツ説は黒幕によって全て捏造された偽物であることが明言される。
東郷俊太郎という人物に息子がいたのかすらも怪しいレベルであり、ルーツ説というにはかなり微妙なところ。

ただし、地味にこの説が提唱された話で注目したいのが、ゴルゴが間違った自分のルーツを明確に否定すると言うことである。
この他、「俺が東郷俊太郎という男の息子だなどという情報を誰が何のために流したのか…」という台詞もある。

「亜江良十三の大報道」


朝日新聞社の雑誌『AERA』に掲載された作品。
一見ゴルゴと関係がなさそうだが、作画はさいとう・プロダクションが担当。

この作品のキャラクター「スーパー特派員・亜江良十三」。
彼の兄について朝日新聞社のデータに『出身地は十三、双子の兄はスナイパーである』という記載があるというまさかのオチ。

●番外

ビッグコミック1990/1/25号の次号予告で紹介されている幻の9作目のルーツ作品として第282話「ケンブリッジ・ハウスの人々」という没作品がある。
内容はスペイン戦争当時、共和国軍が埋蔵した「コルドバ・ゴールド」をめぐって、3人の男が動き出す。そしてその裏にはゴルゴのルーツがからんでいた…と予告されていたが、次号には「プログラム・トレーダー」が掲載された。
これは脚本担当であるK・元美津氏の体調悪化によって変更されたという情報もあるが真偽は不明。
仮に掲載されたなら日西混血という全く新たな説となっていた。

ちなみに、そのほかにも『国王の対立』など、予告されたものの発表されていない作品は存在する。
また予告された『クルスク浮上せよ』は掲載時には架空の名前である『イリスク浮上せよ』に変更されている。
それぞれサウジアラビア、ロシアの世情に配慮したと思われる。

その他

上記のルーツ説とは異なるが、明確な個人名には触れないがゴルゴのルーツを探すことを企むエピソードが描かれたこともある。
これらの話も、ゴルゴのルーツの研究材料としては重要な話なので記載する。

●第106巻:「血液サンプルG」




間違っても…


俺の血液を腸チフス検査の目的以外に使わないことだ…



血液学者のジェームス・シンプソン博士はCIAより依頼を受け、血液分析によりゴルゴのルーツを探ることにする。
そこでゴルゴが宿泊するホテルに腸チフス患者が発生したとの偽装を行い、ゴルゴから血液を採取。
そしてシンプソン博士と助手のソフィアは、コンピューター処理によって血液の遺伝子分析・成分分析を行う。

このエピソードでは、ゴルゴの出生場所が大幅に絞られた。流れとしては、


「バイカル湖周辺」「樺太」「日本」「朝鮮半島」「中国東北部」「モンゴル北部」
   ↓
「バイカル湖周辺」「樺太」「日本」「中国東北部」
   ↓
「バイカル湖周辺」「札幌」「東京」「大阪」「福岡」


まで絞られており、ゴルゴがこれらの土地のいずれかで生まれた可能性が高いことが判明している。
しかし結局、一点に絞られたルーツが映されたディスプレイは描かれないで話が終了している。
依頼やゴルゴの仕事を邪魔したことではなくルーツを探ったことにより殺されたことが明らかなエピソードは意外と少ない。

ちなみに上記の土地は、今までのルーツ説全てと整合性が取れる。









この通り、ゴルゴの出生には数多くの説があるが、どれも決定打に欠ける。
大きな原因はゴルゴが彼のルーツを探ることを許さないため。

彼のルーツを探る者はゴルゴを敵に回す覚悟が必要である。
……と思われがちだが、実の所、ルーツを探ったからという理由で殺された人間は意外と少なかったりする。
というか、実は自分のルーツを探られる事に対して言われるほどには気にしてないんじゃないかと思える事すらある。
「亜細亜の遺産」ではルーツを捏造された事を「その後」の途中まで知らず(黒幕を狙撃したのもどちらかというと自分を狙った事に対する報復に近い)、
「禿鷲伝説」に至ってはルーツを探られている事を知らないまま、探ろうとしていた相手を別件の依頼で殺している。

身も蓋もないことを言ってしまうと、さいとうは当初ゴルゴの正体を「旧日本軍の狙撃兵」と考えていたが、
連載が長期に渡ったために初期設定(主に年齢)が完全に破綻したことを認めている。
でもファネットとの血縁関係を聞かれてゴルゴの年齢設定持ち出して「血縁関係あっても孫」とか言ったりもする

そして「恐らくもうルーツものは描けない」という発言も残したまま、さいとうは2021年に逝去。
ゴルゴの連載はさいとう・プロダクションの手で継続されることになったが、果たして新たなルーツ説が出る事はあるのだろうか。


追記・修正は、ゴルゴのルーツを見つけてから……

ズキューン!

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最終更新:2024年12月10日 11:57