登録日:2019/10/12 Sat 21:34:35
更新日:2024/08/09 Fri 20:43:23
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ネオライダーとは、1990年代にTVシリーズ放映以外の形態で展開された
仮面ライダー作品とそのヒーローの総称である。
●目次
【概要】
この時期に展開されたライダー作品である『
ウルトラマンVS仮面ライダー』『マスクド・ライダー』はカウントしない。
これは前者は昭和ライダー作品の外伝的作品である事、後者は海外作品の上に昭和ライダー作品のリメイクであるため。
ネオライダーの名称に関しては公式で分類として定義された訳でなく、ライターのガイガン山崎氏が提唱したのが始まりとされていた…が、後にTwitterにて「便利な括りだし聞き覚えがあったので自分も使ってはいたが提唱はしていない」と否定している。
仮面ライダーJのメイキング映像のナレーションで本作品を「ZOから1年。石ノ森章太郎と雨宮慶太が再び挑む
ネオライダームービー」として紹介されており、総称の源流はここからとの見方もある。(雨宮監督作品、という括り)
寡黙な科学者の卵と人当たりの良いカメラマンという本家に近しい要素からZOとJをダブルライダーとして扱い(
シャドームーンと戦う
仮面ライダーワールドでもダブルライダーと呼ばれている)シンがちょっと浮いた扱いだった。
とにかく、ネオライダーという呼称はファン間で生み出された概念だったのだが、制作サイドの人間も一部で使い始めている。
このような現象は、後に
第二期平成ライダーシリーズでも発生している(「平成二期」も元々はファンの間で提唱された)。
…ただし関連商品や公式の
仮面ライダー図鑑や年表では使われないちょっと微妙なラインである。
他に制作された作品がない年代を支えた3人ということでいわゆる歴代主役のオールライダーという括りには含まれるものの
TVシリーズで展開しなかった影響で知名度的にはやや劣る傾向があり、商品展開も恵まれているとは言いにくい。
現にネオライダー作品が展開されている間でも、
ゲーム作品などへの出演は当時最後のTVシリーズだったRXが呼び出される事が多かった。
そのために世間的には1990年代は「ライダー冬の時代」と解釈されやすく、ネオライダーに関与している
白倉伸一郎Pなどもそのような趣旨の発言をしている。
一方で昭和ライダーシリーズから進化した作風であるネオライダー作品自体の評価は高く、後世でも根強いファンを獲得している。
なお、製作には仮面ライダーシリーズの原作者である石ノ森章太郎氏も携わっている。
石ノ森氏は1998年に逝去したため、ネオライダーに分類される『J』が最後の関与作となった。
【作品の特徴】
作風自体のベースは昭和ライダーシリーズから続いているが、一部は独特な新要素が生まれ始めていた。
そのようないくつかの要素には、後の
平成ライダーシリーズに影響を与えたと考えられる点も見られる。
- 主人公は全てバッタモチーフ
- 世界観が継続しておらず、各作品でそれぞれ独立している。(『仮面ライダーワールド』や小説版Jのみは例外)オールスター作品だけ曖昧に世界観が繋がるのは後の平成や令和ライダーと同じ。
- 変身ベルトがあまり重視されていない。シンに関してはそもそも変身ベルトに該当する物が完全に存在しない。
- 全ての作品に雨宮慶太が製作で関与している
- TV作品として放送されることはなく、Vシネマや映画の媒体で展開された
【作品一覧】
ネオライダー第一作目にして
仮面ライダー誕生20周年記念作品。ただし、正確には21周年目の作品である。
『RX』以来3年ぶりの新作だったが、TV媒体ではなくオリジナルビデオの形で提供される事になった。
初期案はコスプレしたライダー
オタクが事件に巻き込まれるシナリオだったが、白倉氏がそれに反対して「原点回帰」をテーマとする作品を提唱。
原点回帰のテーマを石ノ森氏も苦笑いで了承し、「大人向け
仮面ライダー」として作られる事になった。
展開する媒体も手伝ってか、昭和ライダーシリーズでは見られなかったリアル寄りな作風やエログロと言った過激な要素を多数導入。
変身ベルトや掛け声、専用
バイクといった
仮面ライダーの定番要素も廃止され、主役ライダーもスーツ的なヒーロー的デザインではなく完全な虫型人間として描かれる。
宮下隼一と小野寺丈が脚本を担当したが、執筆したストーリーは明るい要素がないハードな脚本となった。
これらの要素を取り入れた本作を、石ノ森氏は
「真の仮面ライダー」と評した。
「序章」の名前から分かる通り、シリーズ化を予定していたが現在も続編は発売されておらず、実質打ち切りとなり、公式側からも続編を製作する予定がない事が明言された。
なお、この事は『
ネット版 仮面ライダーディケイド オールライダー超スピンオフ』でもネタにされた。
この事情は、売上不振ではなくむしろ売上的には成果を出した(公式公認)のだが、あまりにも好評で劇場公開まで決まってしまったので続編作品は一般受けする新規作品にするとの方針でこのような結果になった。
実は、
週刊少年サンデー増刊号(作:正木秀尚)と別冊コロコロコミック(作:たかや健二)にて展開された漫画版が存在する。
ネオライダー第二作目にしてまたもや
仮面ライダー誕生20周年記念作品。正確には22周年目の作品である。
『東映スーパーヒーローフェア』として、他東映特撮作品と併映されたため48分程度の劇場版作品となった。
監督とキャラクターデザインは雨宮慶太が担当し、脚本は
杉村升氏が執筆。
前作からは生物的なデザインや変身ギミックの簡素さと言った要素は多少引き継ぎ、こちらでも「原点回帰」をテーマにしている。
しかし、真と比較すると一般向けな作風へと回帰しており、
初代を意識した「
陰を抱える正統派ヒーロー」的な作品になっている。
また、敵として悪の結社的な組織が存在せずに小さな人間関係内で展開される世界観が構築された。
続編の構想もあり、赤いマフラーと銀の手足の新1号テイストとなったZOのラフスケッチなどが有名であるが、結果的に下記の事情から完全新作品のJの登場となり立ち消えた。
ノベライズ版として『
仮面ライダーZO 闇の少年』(著:射口巌)が小学館スーパークエスト文庫から刊行されている。
漫画版も存在し、月刊少年キャプテンで掲載された島本和彦版とてれびくんで連載された青木たかお版、更に塚田秀一郎版が存在する。
青木たかお版は『RX』との
クロスオーバーストーリーになっている事が有名。
ネオライダー第三作目にして最終作。原作者の石ノ森章太郎氏が関わった最後の
仮面ライダー作品でもある。
前作同様に『東映スーパーヒーローフェア』の劇場版作品として公開された。
『
ウルトラマンVS仮面ライダー』の好評を受け、石ノ森氏との激論を経て
仮面ライダーの巨大ヒーロー化を実現した。
監督は前作から雨宮慶太が続投したが、脚本は特撮の大御所である
上原正三氏が執筆している。
前作よりも更に子供向けに特化した作品となっており、爽快感溢れるシナリオが描かれる。
当時エコロジーがブームになっていたこともあり、作品テーマに環境破壊や自然を推し出しているのも特徴。
小学館スーパークエスト文庫から上原氏自らが執筆した
ノベライズ版も刊行された。
こちらは映画本編を更にアレンジした実質的な翻案作品となっており、原作の1時間足らずの尺では描き切れなかったであろう設定が大幅に追加されている。
また、歴代仮面ライダーシリーズとの繋がりを持った描写もあるが、小説中ではサラッと触れただけでそこまで重要な設定でもなかったりする。
小石さとしによる漫画版も展開されており、てれびくんで掲載された。
本作を最後に仮面ライダーシリーズの完全新作の製作は終焉を迎える事になる。
こうして仮面ライダーシリーズは休眠状態に入り、平成の時代に生まれた3人の仮面ライダー達に続く者が
6年後の2000年の時代、未確認生命体“4号”とも呼ばれる、伝説を塗り替えし新たな英雄として現れるまでの沈黙の時期が始まったのだった。
ただしこの時期も商品展開自体は積極的に行われており、かの仮面ライダーSDなどが該当する。
歴代ライダーの総集編VHSヒーロークラブなどもこの時期のリリースである。
【関連作品】
東映シネファンタジー'94や全国各地の遊園地で上映された短編の3D映画作品。
『
仮面ライダー 世界に駆ける』の続編的立ち位置にあり、内容的にも一応繋がっている。
『ZO』と『J』のクロスオーバー作品となっており、更に敵役としてパワーアップした
シャドームーンが登場する。
ZOとJのダブルライダーを前面に出しており残念ながらシンはいないのだが
『ZO』のネオ生命体を除く『BLACK』~『J』までの歴代怪人も再生怪人として出演し、吉川進Pが制作に関わった
仮面ライダー作品の共存が描かれた。
ZO及びJの人間体は出演せず、オリジナルキャストによる声のみの出演となっている。
脚本は東利彦が執筆し、監督は
戦隊シリーズに多く携わっている渡辺勝也が担当した。
ネオライダーを昭和ライダーシリーズとして扱っている公式の分類に倣うと、本作が昭和ライダーシリーズ最後の映像作品である。
本作で描かれた要素は、後の
平成ライダーシリーズにおけるクロスオーバー作品の原型になったと見られる場所がある。
番外:『仮面ライダーSD 怪奇!?クモ男』
1993年にOVAとして発売された
史上初のライダー関連アニメ作品。漫画『仮面ライダーSD マイティライダーズ』をベースに制作されている。
ネオライダーとの直接的関連は
仮面ライダーシンがモブとして少し登場するだけなのだが、メインキャストが小野寺丈氏な事もあり2015年発売の『
仮面ライダー:真・ZO・J Blu-ray BOX』に特典映像として再録されている。
【関連キャラクター】
追記・修正は、額に目を持つ
バッタ人間で革ジャンと
ジーンズが似合う青年で大地の精霊の力で巨大化できる人にお願いします。
- ZOは短い時間ながらきっちりと仮面ライダーとして物語作ってるから初心者に勧めやすい作品だと思う。敵が怖すぎるのが難点だけど -- 名無しさん (2019-10-12 21:52:33)
- もうひとつ共通点としてメインスーツアクターが全部次郎さんてのも。ブラック~Jまでを次郎さんシリーズと呼んでる人もいる -- 名無しさん (2019-10-12 21:57:46)
- シンの変身シーンやネオ生命体の作り物とは思えない生々しさ、Jの迫力ある巨大戦とか90年代特撮の粋が詰まってる、と思う。 -- 名無しさん (2019-10-12 22:15:04)
- パワードとグレートとF91とは仲がいいイメージ -- 名無しさん (2019-10-13 00:15:46)
- >初期案はコスプレしたライダーオタクが事件に巻き込まれシナリオ 柴田ヨクサルのライダー漫画だコレ!何という偶然… -- 名無しさん (2019-10-13 00:20:14)
- 媒体によってはRXの次がクウガとして扱われて存在を無かったことにされたりする不遇な子達… -- 名無しさん (2019-10-13 00:31:03)
- 各章4話×3=12話ぐらいの1クールで、配信作品によるリブートとかされないかな? -- 名無しさん (2019-10-13 08:27:42)
- ライドウォッチを奪われた場合のネオライダーは、真はレーサーを続けていて、勝は望月博士の助手を経て学者になって、耕史はカメラマンとして多忙な日々…かな? -- 名無しさん (2019-10-13 16:16:16)
- ↑3 けどディケイド以降はそういうことも少なくなって多少は扱いがよくなった気がする -- 名無しさん (2019-10-13 16:48:22)
- ↑でもアパレル関係では未だに不遇なんだよね…ドライブとかゴーストの時のハンカチやトイレットペーパーではZX→RX→クウガ→アギトって感じで並んでた… -- 名無しさん (2019-10-13 17:16:38)
- 正直リメイク系では、まだ公式ライダー(昭和15人、平成20人、ゼロワン)と同列に扱われるアマゾンズもネオライダーに含んであげていいと思うの。…まあアレをどういう風に扱ったらそうなるって話だが。 -- 名無しさん (2019-10-13 19:59:28)
- ゾンジスの名前はネオ3人のアナグラムかな。真(SIN)・ZO・J→ZONJIS -- 名無しさん (2019-10-13 20:37:11)
- ↑YES。でもアナグラムで「ゾン」って付いたせいでアマゾンズがモチーフのザナモスと混同してるファンも少なくない… -- 名無しさん (2019-10-14 16:19:59)
- ↑5 アナザーじゃなくライドウォッチだから、基本設定自体は変わらず能力だけなくなってるんじゃない? -- 名無しさん (2019-10-14 17:09:46)
- ネオライダー3人に続き「4人目の平成ライダー」となった仮面ライダークウガが「未確認生命体『4号』」の別名も持っていたのは果たして意図したものか -- 名無しさん (2020-11-06 23:27:03)
- 平成初期にライダーの看板を守り続けてクウガにバトンを繋いでくれた功労者なのに、公式からの扱いが悪すぎて泣けてくる -- 名無しさん (2021-01-29 23:06:42)
- シンのスーツ、素材が無いんだろうけど今後また客演することを思うと作り直してあげてほしい… -- 名無しさん (2023-03-05 21:32:52)
- 件のメイキングムービーの語源の件とか仮面ライダーワールドの共演もそうだけど、当時はZOとJで新世代のダブルライダーって感じだったんだよな。真だけ浮いてた -- 名無しさん (2024-03-04 03:25:41)
- ガンバレジェンズでネオライダーだけ主題歌が収録されてないのは権利関係かなあ -- 名無しさん (2024-08-09 20:43:23)
最終更新:2024年08月09日 20:43