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嘯狂狷

登録日:2025/01/22 (水) 13:21:07
更新日:2025/01/22 Wed 13:21:49NEW!
所要時間:約 ? 分で読めます






そうだとも。刑部こそは法の守護者。
だからこそ、法の外にあるものに対しては、どこまでも悪逆非道な仕打ちもできるというものさ。




嘯狂狷(ショウキョウケン)とは、特撮人形劇『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』シリーズの登場人物の一人。


CV:新垣樽助
キャラクターデザイン:源覚
二つ名:追命靈狐(ツイメイレイコ)



概要


初登場は映画『生死一劍』の「殤不患編」。殤不患が東離に逃げたことを聞きつけ、直ちに彼を追い東離に入ることを命じた。

長い青髪に、博識さを思わせる丸眼鏡、そして清廉そうな顔つきながらも悪意を秘めたような歯を剥き出しにする厭らしさを兼ね備えた外見が特徴。

西幽の宮廷に仕える役人であり、官職としては、皇帝の勅命を受けて特別な権限を与えられた捕吏(現代日本で言う警察官のこと)の一つである緝察使(しゅうさつし)の位にある。*1
法を司る役人として表向きは宮廷に忠実な正義漢に見えるが、その内面は利己的にして悪辣。
「法の外にあるもの=犯罪者に対してはどこまでも悪逆非道に振る舞ってもいい」という考えに基づき、法を大義名分に、恐喝、窃盗、暴力等、如何なる外道行為を繰り返している、役人の風上にも置けない卑劣漢である。
おまけに、犯罪者だけではなく、無辜の一般市民や自分の部下ですら、「犯罪者の巻き添えになった」を言い訳にして躊躇なく殺せるというとんでもない男。

西幽で聖剣、魔剣ばかりを狙う大盗賊・啖劍太歳こと殤不患の捕縛に執念を抱いており、東離まで鬼歿之地を超えてまで入国し、東離の衙門に協力を仰いで殤不患への囲い込みをかける。




戦闘面


作中では主に策略を巡らせるのが得意で、剣術としては目立った活躍はないが、自身も戦闘はできる。
七殺天凌を奪おうとした際は、浪巫謠相手と互角の戦いを演じて見せた。


冰焰不測


嘯狂狷愛用の武器。ノコギリのようなギザギザした刃がついた剣。




活躍


西幽玹歌


TVシリーズより前の時系列で、当時は捕吏の一人だった。
違法な料金と薬物入りの酒で繁盛していた酒楼に殴り込み、その原因である魔性の声を持つ楽士・浪巫謠を逮捕し、恩赦の代わりに宮廷直属の楽士になることを強要させる。
浪巫謠というお気に入りを手に入れた皇女の嘲風は機嫌が良くなり、この功績で嘯狂狷は緝察使の地位を得る。
この時から、浪巫謠は嘯狂狷に対して嫌悪感を剥き出しにするが、「誰のおかげでこんな暮らしができたと思っている」と開き直り、浪巫謠をいびっていた。

だがある日、浪巫謠と睦天命の演奏合戦が行われる中で宮中に啖劍太歳こと殤不患が侵入し、貯蔵していた神誨魔械を奪ってしまい、逃亡した睦天命を追って浪巫謠は王宮を脱走。
嘲風の命を受けて浪巫謠奪還のために殤不患達を追い詰めるが、紆余曲折あった結果浪巫謠は琵琶の聆牙と共に殤不患の仲間になり、完全に嘯狂狷とは敵対する。
殤不患達には部下の捕吏の大半を倒され、自身も深手を負い、悔し紛れに逃走するほかなかった。


第2期


東離に入るや否や衙門に殤不患の逮捕の協力を依頼したが、直後に「手助けしたい」と言う四方御使(宮廷の内務監査官のこと)が現れる。
その男の名は鬼鳥―――要するに、盗賊・掠風竊塵こと凜雪鴉であった。
凜雪鴉は、「殤不患の周囲には厄介事や悪党が舞い込むに決まっている」と睨み、彼の噂を徹底的にマークし、目ざとくも殤不患の逮捕を目論む嘯狂狷を次の「獲物」としたのである。

凜雪鴉と協力することになった嘯狂狷は、手始めに、毒蠍による強襲と魔剣目録盗難の憂き目に遭った仙鎮城へと趣き、口八丁手八丁を使って、伯陽侯ら護印師達を「全て殤不患の自作自演だ」と説き伏せ、殤不患に疑惑の目を向けさせる。
凜雪鴉も詐術のアシストをしたため*2、「あなたとは気が合う」とすっかり彼を信用した。

次に、殤不患、浪巫謠と蠍瓔珞の戦いの後で駆け付け、殤不患に濡れ衣を着せるために、蠍瓔珞が喪月之夜で操っていた一般市民達を皆殺しにするという外道ぶりを見せつけた。

そして、凜雪鴉が衙門を離れて毒に侵された殤不患の手助けをしていた頃、嘯狂狷は蠍瓔珞と接触し、「魔剣目録を渡す代わりに殤不患の首を差し出せ」と交換条件を提示する。
あくまで自分の緝察使としての沽券に関わる領域として、「目録が西幽にあれば禍世螟蝗が手に入れても構わない」と自分の仕事を放り出す行為であり、蠍瓔珞を呆れさせている。

その後、蠍瓔珞の案内で殤不患の隠れ家を突き止め、毒で瀕死の殤不患を追い詰めるが、浪巫謠が用意した解毒剤により殤不患は復活し、一気に形成が不利になる。
この時、殤不患は「お前に悪事の嫌疑がかかっているぞ」という嘯狂狷の脅しにも大して反応を見せず、彼との格の差を見せつけている。
だがここで、劣勢になった蠍瓔珞を見限り、彼女を背後から襲って喪月之夜を奪い取った。
そのまま殤不患にトドメを刺そうとしたが、応援に駆けつけたと見せかけた凜雪鴉により撤退を進言され、大人しく従う。
このやり取りから、殤不患から「凜雪鴉の次の獲物にされた」ことに憐れまれたが、彼はまだ知る由もない。

喪月之夜を手に入れたことで蠍瓔珞は用済みとなり、今度は彼女を待ち伏せて捕吏を総出で嬲り殺しにしようとした。
だが、蠍瓔珞は切り札として魔剣・七殺天凌を抜刀し、結果捕吏達は彼女や、魅了にかかった自分の手により皆殺しになる。
駆けつけた浪巫謠相手にも襲いかかり、逃げる蠍瓔珞を殺そうとしたが、凜雪鴉の幻術により前後不覚となって気絶し、衙門へと運ばれた。


「外道」同士の探り合い


……だが、衙門にて目覚めた嘯狂狷は凜雪鴉の正体が掠風竊塵だと言い当てた。
殤不患の発言からその単語が引っかかった彼は、巡檢から詳細を聞き出し、更に幻術をかけたことが決定打となり、疑惑が確信へと変わった。
幻術に関しては、彼の眼鏡が幻術を見破る宝具だったこともあり、七殺天凌の魅了から覚めたきっかけにもなっている。

嘯狂狷は凜雪鴉に「正体をバラさない代わりに言うことを聞け」と脅迫し、手始めに、七殺天凌で暴れる蠍瓔珞を討伐しようとした浪巫謠を一緒に妨害させた。
この時初めて喪月之夜を使用したが、一般人を巻き込むのに躊躇なく駆使している。

次に、彼は凜雪鴉の「収穫物」の隠し場所に案内させ、彼が七罪塔から盗んだ蔑天骸のコレクションの宝剣の数々を、「自分の盗品と交換しないか」と持ちかける。
実は彼は、西幽にて逮捕した盗賊を殺した後、宝石といった盗品をこっそり着服していた。
東離に来たのも、その盗品を密輸し、異国で売り捌くためだったのだ。
その提案に乗った凜雪鴉は、後日、盗品の交換を約束する。

そして、嘯狂狷が持ち込んだ盗品の数々を拝見し、凜雪鴉は「こちらの額が釣り合わないから、半分だけ引き取りたい。残りは東離で直接売るといい」と提案。
眼鏡で幻術もかけていないと判断した嘯狂狷はそれを信用し、自分の盗品半分を引き取るのだった。

しかし、嘯狂狷が質屋で盗品を売ろうとしたところ、箱から出てきたのは凜雪鴉が盗んだはずの宝剣の数々だった。
あらぬ疑いをかけられ動揺した彼は、店主や目撃者の捕吏を打ち倒して逃走。
完全な現行犯に、最早得意の言い逃れすらできず、おまけに自分の盗品は西幽へと持ち出され、汚職もバレるのが時間の問題となり、追い詰められてしまう。

実は凜雪鴉は彼の眼鏡をこっそり偽物にすり替え、幻術をかけて箱の中身を誤魔化したのだ。
全ては役人を騙る悪党・嘯狂狷の驕慢を打ち砕いて面白がるため。

そして、凜雪鴉の元へ駆けつけ事情を話す彼だが、当の凜雪鴉は他人事のようにとぼけるばかり。
やがて、自分に残された道がないことを悟った嘯狂狷は決意する。



逃げ場はない、打つ手もない。ならば、開き直るしかない!

あぁいいさ。寧ろ清々したわ。
地位も権力も失ったなら、もう妙に気取った上っ面も取り繕う必要もねェ。
こっから先は、気楽なもんだ!


そう、彼は本来「誇りや矜恃など欠片も持ち合わせないタイプの外道」であった。
役人という外面の肩書きを無くした彼は、本来の性格である「下卑た悪党」としての本性を曝け出したのだ。
ちなみに、一人称も「私」から「俺」に変わっている。
このあまりの変わりように凜雪鴉は動揺し、「もっと往生際悪く足掻いてみたらどうだ?」「貴様の悪の華とはその程度だったのか?」と斜め上の説得をしている。
だが、嘯狂狷はそんな凜雪鴉を鼻で笑う。




あのなぁ、悪党が矜恃なんざ抱えてどうするよ。
いざとなれば、自分自身さえ裏切り、踏みつけ、切り捨ててなお笑って済ますのが、本当の外道ってもんさ。



この驕慢もへったくれもない下衆さ加減に失望した凜雪鴉は、憤慨した挙句「金輪際顔も見たくない」と言い放ち、そこで2人は別れた。
皮肉にも、凜雪鴉が「悪党の悔しがる顔が見たい」という非合理的な動機で動き、自分を陥れた張本人だとは、最後まで気づかないままだった。
なお、この後凜雪鴉は、嘯狂狷の話題を出されると「知るか!考えたくもない!あんなクズとは金輪際関わりを持つ気はない!」と激昂するほど彼を毛嫌いするようになったという。




本物の下衆に堕ちた男の末路


蠍瓔珞から奪った喪月之夜を使って山賊業をする決意をした嘯狂狷は、手始めに東離の衙門を強襲し、巡檢をはじめとする捕吏達を傀儡にする。
そこへ、浪巫謠と聆牙が立ち塞がるが、「操られた人間を殺せない」浪巫謠の弱点を突き彼を追い詰め、
更には敢えて喪月之夜を渡すことで「自分に殺される前にこいつらを逃してみろ」と挑発、上手く扱えない彼を尻目に、傀儡を次々と殺していく。
これ以上ないくらいの外道ぶりに、浪巫謠達は怒りと呆れで絶句するほどだった。

やがて、傷が祟って困憊した浪巫謠を殺そうとしたが、瀬戸際で殤不患が応援に駆けつける。
殤不患に人質は殺せないと睨んだ嘯狂狷は躊躇なく傀儡を殺そうとしたが、将帥の心得もあった殤不患は喪月之夜を余裕で操作し、傀儡達に統率の取れた動きで回避、そして攻撃をさせる。
結果、見るも無惨な状態になるまでボッコボコにされた嘯狂狷は吠える。




軍を率いる匠気を備え、あまつさえ、天地を揺るがす魔剣を揃えておきながら、
そんな貴様が、何故江湖の根無し草なのだ!?何故だァ!?

何故もへったくれもねぇよ!俺がそう望んだまでのこと!
お前も、清く正しく生きているなんざ御免だろ?同じことさ!



追い詰められた嘯狂狷は煙幕を投じて逃走。
逃げる途中で殤不患への恨み言と、今後の逆転の手段を考える中、ある男とすれ違う。
男が七殺天凌を持っていると気づいた彼は、「剣を奪おうとする殤不患に追われているから助けて欲しい」と恥をかき捨てて懇願。
だが、不運なことにその男、婁震戒もまた、殤不患に殺意を抱いていた。



ほほう。殤不患は追っていると。貴方を。

礼には及ばぬ。代わりに手伝って欲しいことがある。

そして、嘯狂狷を探す殤不患達だったが、彼らはあるものを目撃する。
それは、見るも無惨な姿となって首を吊るされた嘯狂狷の死体だった。
死体には婁震戒からの挑戦状が貼り付けてあり、彼はいわゆる「見せしめ役」としての役目を終えたのである。

外道を貫いた男の、ある意味当然の最期であった。




余談


  • 脚本の虚淵玄氏曰く、「鬼畜眼鏡」としてデザインオーダーしたキャラ。予想を上回る外道ぶりに自身も満足しているとか。

  • 『サンファン』には珍しい、誇りや矜恃を一切持ち合わせないタイプの「本物の悪党」。「一周回って好き」という声も少なくない。






自分の追記・修正に自分で酔って有頂天になってるようじゃ、お前もまだまだ小物だな。

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最終更新:2025年01月22日 13:21

*1 なお、緝察使とは実在の官職には存在しない架空の役職である。

*2 「紹介状を書いた丹翡はまだ若いから殤不患に騙されたに決まっている」という内容。「その丹翡を騙した張本人であるお前が言うな」という話である。