Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

E1系新幹線電車

登録日:2025/01/29 Wed 13:55:02
更新日:2025/02/03 Mon 13:30:26
所要時間:約8分36秒で読めます




E1系新幹線電車とは、1994年に登場したJR東日本の新幹線電車である。
新幹線として初となる全車両2階建てを採用した形式である。
Multi Amenity eXpress」、略して「Max」の愛称がついていた。
後年登場したE4系にもこの愛称がつけられ、両形式で運行される列車には「Max+列車名」で案内されていた。


導入経緯

本形式導入の少し前まで、日本はバブル景気によって都心部の地価が異常に高騰し、郊外からの遠距離通勤の需要が高まり、宇都宮・高崎あたりからの新幹線の使用も選択肢に上がるレベルであった。
導入時点ではバブル崩壊直後だったが、当面の間は遠距離通勤せざるを得ない状況にもある乗客が絶えない中、通勤時間帯における東北上越新幹線の着席保障を目的に製造された。

形式は当初、100系以降慣例となった「新幹線の形式はJR東日本エリアの車両は百の位を偶数、そうでない車両は奇数とする」ルールに則り、600系を名乗る予定であった。
しかし、1993年度以降登場したJR東日本の新型車両は頭に「E」をつけることが決まり、新幹線としては初めてこの形式がその法則に該当することになったため、形式番号の枯渇対策兼ねて、E1系を名乗ることとなった。
なお、600系を名乗る新幹線電車はこれ以降一度も登場していない*1


車両解説

外観

12両編成、最高速度は240km/hと、当時東北・上越新幹線で主力であった200系の大半の編成の編成長・速度性能に合わせてあるが、このせいでデビュー数年で立場を失うこととなる(詳しくは後述)。

車体は400系ともども初の要素があるためか普通鋼製となった。既に新幹線電車はアルミ合金製が主流となっていたため、この形式が最後の鋼製車体を採用した新幹線電車である。

車体塗装は上半分がスカイグレー、下半分がシルバーグレー、1階窓上にピーコックグリーン帯をまいた独自のもので、後年のリニューアルでは上半分が白、下半分が紫苑ブルー、帯色が朱鷺色に変更されている。

なお、Maxのブランド名が決まる前は「ダブルデッカー新幹線」、略して「DDS」と仮称がつけられた。落成当初はこのロゴも車体に取り付けられたが、営業運転開始直前にはMaxマークへと変更された。

車内

2階建て車両12両の輸送力は1235席。
この輸送力は落成時点の東北・上越新幹線で一番輸送力のあった、200系のH編成(16両固定・2階建て車両連結)の輸送力と肩を並べる。

普通車の一部座席はリクライニング不可能な3+3の座席が並んでいるが、落成当初は中央席に肘掛けを格納しており、閑散時には2+2座席として広く使えるように配慮されていた。
なお、後述するリニューアルに際してはグリーン車がE4系、普通車がE2系の座席にそれぞれ交換されている。

自動販売機は通常の飲料に加え、食品の自動販売機が設置されていた。
これは車内販売が2階建て車両ゆえに全車両を周る場合、往復ではなく一巡することとなるため、購入の機会が半減してしまうための救済措置として設置されたものである。
しかし、列車内の自販機は売れない傾向にあり、飲料よりも高額かつ需要も限られたためか、2008年3月をもって稼働を終了した。


運用の変遷

1994年7月に運行開始。
その輸送力を生かした近距離列車はもちろん、東北新幹線においては200系H編成を使用するレベルで需要の高い、速達タイプの「やまびこ」にも運用されていた。

しかし、1997年に秋田新幹線長野新幹線の開業に伴い併結列車の方が主流となると、併結を考慮していなかったE1系はデビュー3年目にして逆風が吹き始める。

8両編成にして連結運転を可能にすることで後者を解決しつつ、2編成併結でE1系以上の輸送力を誇るE4系が同年末にデビューし、東北新幹線内では完全に立場を失ってしまう。
1999年12月の山形新幹線新庄延伸に伴い東北新幹線から撤退した(但しこれ以降も臨時代走で東北新幹線を走ったことがある)。

その後、上越新幹線内では浦佐から先の各駅で16両編成にホームが対応していないこともあり、最も輸送力を持った車両として活躍。
2003年から2006年にかけて順次リニューアル工事が行われた。

以降も上越新幹線の顔として活躍したが、すでにこの時期になると老朽化が進んでいたことに加え、交通バリアフリー法の観点から鉄道車両全般で2階建車両は敬遠される傾向が強くなっていた。
本来の目的であった通勤需要についても都心回帰もあってか、平屋の車両で賄えるほど混雑率は低下していた。

東北新幹線で活動していたE4系もE5系の導入に伴い上越新幹線への転出が続き、浦佐駅以北の各駅ホームが16両編成に対応することになった。
これが意味することはE1系の引退であった。
2012年10月28日をもって、E1系は営業運転を終了した。

引退後はE153-104が5年以上新潟の車両基地で留置されたのち、2018年より大宮の鉄道博物館で展示されている。


登場作品

新・旧塗装両方とも発売。引退後の2014年まで発売された。旧塗装時代は音声認識による遠隔操作車両や、新塗装登場初期には複線レイアウト付きのセット品も発売されていた。
旧塗装のみ発売。
1996年2月~1997年1月放送。アーマーライナーからダグアーマーへと合体・変形する。
プラレール初のロボット系派生商品でも、展開早期からラインナップに登場。「超特急」ではマックスとして旧塗装の姿で、「電光」ではE1スナイパーとして、旧塗装の上半分を迷彩服のような緑色にした色で登場した。更にトンネル工事用装備と黄色塗装の「建設マックス」という派生形態もある。
前作「電車でGO!2高速編」のボーナスステージであった東北新幹線盛岡~新花巻間だけを遊ぶダイヤ「MAXやまびこ70号」にて運転可能。
200系やE4系と比較すると車両性能や天候はどんぐりの背比べレベルではあるが、一応東北新幹線区間のみのダイヤの中では最難関扱い。
ワームの一種にE1系旧塗装がモチーフの「エクスプレス」が登場。鉄道系の曲から再生出来る。



追記・修正はE1系車内で茶そばを購入した人にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 新幹線
  • E1系
  • JR東日本
  • 鉄道
  • 鉄道車両
  • 電車
  • 1990年代
  • 新幹線電車
  • ヒカリアン
  • Max
  • 東北新幹線
  • 上越新幹線
  • 2階建て車両

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2025年02月03日 13:30

*1 一桁目の文字に6を使用した形式は秋田新幹線のE6系がある。