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SCP-1111

登録日:2025/02/24 (月) 14:45:00
更新日:2025/02/26 Wed 09:12:43NEW!
所要時間:約 6 分で読めます。





真に優れた忠犬は死してなお主を守るものだ。


SCP-1111は怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」にて創作されたSCP。
項目名は「The White Dog(ホワイト・ドッグ)」。
オブジェクトクラスはEuclid。

概要


SCP-1111は木に吊り下がるSCP-1111-2とその下に横たわるSCP-1111-1の二つの構成要素で構成される。

  • SCP-1111-1
白い毛並みと赤い瞳を持つイエイヌの霊的実体。
忠義(Loyal)」と書かれた鑑札が色褪せた赤い首輪に付いている。侵入者に対して非常に敵対的で、記録によると、60㎞/h超で走り、中空を6m跳躍し、15㎜チタン装甲を噛みちぎる卓越した身体能力を有する。
SCP-1111-2からの距離によって大きさは変化し、その距離に反比例した光度で輝くが、SCP-1111-2から500mを超えると徐々に半透明になる。仮説の域を出ないが、この霊的実体への接近は未だ成功していないので、その速さ、強さ、機敏さも距離に反比例すると推測されている。


  • SCP-1111-2
木にかけられた縄の輪で吊るされた男性のように見える実体。背広と革靴を見につけたSCP-1111-2は絶えず痙攣し、時折、呼吸をするような喘ぎを出す。両者の距離が広がると、痙攣の激しさと勢いは、SCP-1111-1との距離に反比例する*1

事件ログ


その1

19██年05月02日、複数人のエージェントチームが格納施設への輸送のためにSCP-1111-1の無力化を試みた。SCP-1111-1の向いていた方角と反対方向である北側からチームはSCP-1111-2に接近した。エージェント達はSCP-1111-2の300m以内にまで接近することができたが、その地点でSCP-1111-1は立ち上がり警告なしで攻撃してきた。

任務が失敗したと気づいたエージェント████は、エリアからの脱出を開始した。SCP-1111-1は殺意をもって追いかけるが、SCP-1111-2から遠のくにつれて、大きさ、輝度、速度が減少していった。SCP-1111-1とSCP-1111-2の距離が900mに達した時、SCP-1111-2は完全に動かなくなった。この地点でSCP-1111-1も動きを止め、SCP-1111-2のほうへと方向転換した。SCP-1111-1は数秒ほどその場に留まった後一声吠え、SCP-1111-2の下へと駆け戻った。SCP-1111-2は再び痙攣し始めるのが観測された。

事件の録画記録は、エージェントへの攻撃によって歯や爪が固いと確認できるにも関わらず、SCP-1111-1への発砲された弾丸は接触することなく通り過ぎたことを示していた。ただエージェント████しか事件から生還することができなかった。

これ以降、O5-█の決定により、Dクラス職員と無人ドローン以外でのSCP-1111への接近が許可されなくなった。

その2

19██年05月20日、(何で武装したかは削除されているため知りようがないが)武装した複数名のDクラスがSCP-1111-2へ様々な方向から接近した。事件は前回と同様の展開を見せた。その場にいたDクラス全員をSCP-1111-1は殺し始めた。

事件の間、D-83011は殺される前にSCP-1111-2まで50mというところまで接近することができた。この時、カメラはSCP-1111-2の異常を記録した。痙攣はゆっくりとなり、目を見開きD-83011を視界に捉えた。SCP-1111-2の腕はD-83011のほうに上がり、それは観測者には歓迎の抱擁のように見えた。SCP-1111-1にD-83011が殺される直前、SCP-1111-2の唇が動いたのが認められ、
「だめだよ…座りなさい…」("no, down boy")
と口にしたように見えた。D-83011が死んだ後、SCP-1111-2は力を抜きいつも通り痙攣し始めた。

これ以降、O5-█の決定によって、これ以上の全ての実験は追って通知があるまで中止とすることになった。さらにそのO5はこのようにも言っている。

まるでSCP-1111-2を隔離することがSCP-1111-1を効果的に収容するのに十分だと言わんばかりのようだ。



おわかりいただけただろうか?

このSCPは、首をつって自殺したと思われる男性(SCP-1111-2)と、主人の安らかな眠りを邪魔するものを追い払う、忠義ある犬のお話なのである。

そして、SCP-1111-2が
「だめだよ…座りなさい…」("no, down boy")
と言ったのは、生前の飼い主であったSCP-1111-2が、その飼い犬であったSCP-1111-1が暴力的な性格であったため、それを諫めているのではないかとも考えられる。

ちなみに、この記事のメタタイトルは「The White Dog(ホワイト・ドッグ)」であるが、これは恐らくイギリスの都市伝説で、人を殺した黒い犬である「ブラック・ドッグ」をもじったものだと思われる。実際、それをモチーフにしたSCPがちゃんと存在する。後で解説します

また、番号が1111と、奇しくも日本人的には「」を連想させる番号が与えられているが、本家記事であるため著者が意識していたという線は薄く、ただの偶然である可能性が高い。
というか本作品は元はSCP-1000に相応しい記事を決めるコンテストのエントリー作品であり、つまり最初はSCP-1000のスロットに入るつもりで書かれた記事である。

余談 関連オブジェクト


SCP-023 黒い抜け殻

オブジェクトクラスはEuclid。
コイツは黒い犬であり、十字路という環境を好む、コイツの異常性は、SCP-023とアイコンタクトを取った人物が、アイコンタクトを絶った瞬間のちょうど一年後に、本人かその直系の親族がバタリと死んでしまうというものである。その遺体には、外見上は問題ないものの、高度に凝縮された灰のようなものが詰め込まれている。またこいつは好みの環境でないとき、壁をすり抜けたりすることができる。
元ネタは先に説明した「ブラック・ドッグ」。実際、本家記事ではSCP-1111との関わりを示唆する内容が書かれている。またファンアートでも一緒に描かれることが多い。

追記・修正は忠義ある人にお願いします。


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最終更新:2025年02月26日 09:12

*1 翻訳記事では「正比例」となっているが、これは直後の文と矛盾している。原文を読むと「proximity(近接性、接近の程度)」を「距離」と訳したことにより文のニュアンスが逆転していることが分かる。早い話が誤訳。