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ロンギヌスの槍

登録日:2010/05/28(金) 16:34:45
更新日:2024/11/21 Thu 13:03:09
所要時間:約 6 分で読めます





1.聖書におけるロンギヌスの槍

イエス・キリストが磔刑となった際、その死を確認する為にキリストの体を突いたと言われる

「ロンギヌス」というのは、その槍を持っていた兵士の名前という説がある。
曰く、その兵士は白内障で目が見えなかったが、滴ったキリストの血が目に当たると視力を回復したという。
以後ロンギヌスは聖者とされた。
もっともこのロンギヌスさんのくだりは新約聖書には書かれておらず(兵士が刺したとだけ)、後世に作られた伝承と思われる。

キリストの血を受けた聖遺物、聖槍として非常に有名。所持する者は世界を制する力を得ると言われる。


中世のアーサー王伝説にもそれっぽい槍が聖杯伝説絡みで登場している。

後述の通り、現代のファンタジー作品の中でもよく登場し、槍の中では最高級の強さであることが多い。
また、本来ならば、ただキリストの死亡確認のために使用された槍でしかない。
が、「神=精霊=キリスト」の三位一体説やら何やらがごっちゃになったか、「神殺しの槍」という属性がつけられてしまっていることが多い。

2.ペルソナシリーズにおけるロンギヌスの槍

ペルソナ2 罪に登場。

ニャルラトホテプによる噂の現実化現象で復活したラスト・バタリオンが擁する聖槍騎士団ロンギヌス13と、その頭目であるヒトラー*1が所有する槍。
聖槍騎士団の武装の中に聖槍ロンギヌスのコピー品である「ロンギヌスコピー」があり、戦闘では命中したキャラのペルソナ能力を封じられ、ターン経過でしか回復しない。
もしくは、隊長機であろうロンギヌス1(アインス)を倒すと手に入るアイテム『スピリットリヴ』を使用すれば50%の確率で治癒出来るのだが、ロンギヌス1を倒した時点で聖槍騎士団との戦いは最後なので、実質的にはこの後に控えているヒトラー戦のみでしか使えない。
というかその戦闘中以外にはもう使い道が一切ない。もうちょっと早く寄越せ。

ヒトラーが所有するのは本物の聖槍ロンギヌスであり、こちらはペルソナを封じられるとスピリットリヴを使わない限り永続となっている。
ただしロンギヌスによるペルソナ封じは剣撃属性なので、剣撃もしくは物理反射の相性を持っているペルソナを降魔するか、テトラカーンなどで物理反射を付与すれば無効化はできる。
また、『2000年もの間を一度も絶える事なく語り続けられた伝説』という凶悪なまでに高められた噂の力により「刺されると傷口から水と血がとめどなく溢れ続ける」という特殊能力が付与されている。
更にペルソナ能力による治癒も効かないため急所を刺されると確実に致命傷となる。

ニャルラトホテプが変異したグレートファーザーを倒して油断した直後、舞耶の背後に現れた岡村真夜が聖槍ロンギヌスで舞耶を刺し貫いて殺害。
これにより、世界滅亡の予言である「マイヤの託宣」が成就され、罪の世界に残ったのは「地上の楽園」のみとなった。
舞耶の死と世界の滅亡、そして舞耶を守れなかった現実に打ち拉がれる達哉達に対し、フィレモンは仲間たちとの思い出と出会いを引き換えにパラレルワールドの創造を提案し、それは承諾されたがそれが特異点の呼び水となった。

なお、聖槍ロンギヌスはヒトラーが血眼で探し求めていたという説があり、本作の聖槍ロンギヌスはこのヒトラー絡みの(うわさ)と、
『アーサー王伝説』において聖槍ロンギヌスと同一視されることがあるロンの槍の逸話にある「常に血が滴り、最後の審判までそれが止まることはない」「槍で相手を傷つければそれは決して癒えない傷となって相手を苦しめ続ける」という記述をミックスさせたものであると考えられる。


3.HELLSINGにおけるロンギヌスの槍。

聖遺物とされているが“千人隊長の槍”と表記されている。

本編時点では聖骸布・聖杯と共にことごとくローマから散逸したとアーカードが語っており、現存する「真の聖遺物」はバチカン法王庁聖遺物管理局第三課「マタイ」が特秘として保管していた、キリストを磔刑に処す際に用いられた約30本の釘「"奇跡の残り香"エレナの聖釘」のみだった。
なので、槍自体は登場しない。

聖釘を自らの心臓に刺したアンデルセンが神のための化物と化した事を踏まえると、聖遺物全てをひっくるめてキリストという神を肯定した化物を生み出した呪いのアイテムとしてアーカードは認識していたのかもしれない。


4.孔雀王におけるロンギヌスの槍

マンガ「孔雀王」(荻野真、1985~1989)におけるロンギヌスの槍。

本作において、聖書の「イエス・キリストは全人類の罪を自分の身に引き受けて磔刑にかかった」という記述は、
強大な光の聖者イエスが地上の全ての闇のもの・魔のものをその身に集め、封印した行いが後に伝わったのだとされた。
その結果、イエスの死体の頭蓋骨(本作における「真の聖杯」)にはその時集められた神代の闇が詰まっており、資格のあるものがこれを身につければ真の闇の神として覚醒できる。
そして「地上全ての闇」と化したイエスにとどめを刺したロンギヌスの槍は、真の聖杯をも破壊できる光の究極兵器に成り果てた、とされていた。


5.新世紀エヴァンゲリオンにおけるロンギヌスの槍

二重螺旋で二叉の巨大な赤い槍。
セカンドインパクト後に南極で発見され回収、ネルフ本部地下に存在する磔のリリスに刺された。

A.T.フィールドを無力化する力があり、第15使徒に対し投擲して使われた。
この際槍がにぶっ刺さり、回収は困難になった。
ゼーレの人類補完計画に必要とのことだが…

セカンドインパクトの際、アダムを卵に還元する作業に用いられたが、その結果南極大陸周辺は死滅してしまった。

+ ネタバレ注意
旧劇場版で登場するエヴァンゲリオン量産機はこのロンギヌスの槍のコピーを装備している。
普段は両刃の大剣のような見た目だが、灰色のロンギヌスの槍へ変形する。勿論アンチATフィールドも再現されており弐号機の頭部を貫通した。

そもそもこの槍は、第一始祖民族と呼ばれる宇宙人使徒(被造物)の制御棒として産み出したものである。
つまり1.の死亡確認の槍は名前の由来になっただけで時代も場所も無関係。こうなったのは裏死海文書を発見したゼーレが解読の際に自身の信仰に基き聖書の語句を用いて訳したため。
極端に言えばA.T.フィールド、及びデストルドーを利用したアンチA.T.フィールド発生器。
デストルドーとは、フロイトが提唱した「始原に回帰しようとする力」である。

その能力を利用して生命のDNAを書き換える、あるいは生命活動を停止させる事も可能で、
アダムを卵に回帰させようとした際は周囲のあらゆる生物を巻き込んだアンチA.T.フィールドを展開、南極を死の海にした。

以降はターミナルドグマの地下に安置されたリリスを制御する為、その胸を貫いて生命活動を大幅に低下させている。リリスに下半身が存在しないのはこの槍のせいである。実際投擲のために槍を引き抜いた際にはモリモリと足を再生させている。
リリスがアンチA.T.フィールドを発生させないのは、リリスには既に魂が存在しないからである。

ゼーレとしては、そのアンチA.T.フィールド発生能力を利用して人類補完計画を実行する為の貴重な存在だが、
ゲンドウにとってはただのリリス制御棒で、時期を見て処分するつもりだった。
アラエル襲撃時、迷わず槍の使用を指示したのは体よく槍を廃棄する為。

旧劇場版「Air/まごころを、君に」で月に刺さった槍が初号機の元に戻ってきたのは、神となった初号機がシンジのデストルドーを極大化させ、
それを槍が感知した為である。
露出した初号機のコアに槍が突き刺さるのも同様の理由。

因みに、前述したシーンで槍は月から一瞬で初号機の元に到着している。
とんでもないスピードである。

その後、量産機が次々に槍を自らのコアに突き刺すのは初号機の発したデストルドーに触発された為。



ヱヴァンゲリヲン新劇場版においてもロンギヌスの槍は引き続き登場した。加えて、対になる新たな槍として「カシウスの槍」も登場した。こちらは螺旋のロンギヌスとは違い単根で形としても槍らしい鋭利な形。名前の由来は上記のキリストの死を確認した兵士の洗礼前の名前カシウスの引用と思われる。

新世紀同様リリスに刺さっている他、ミサトによるセカンドインパクトの回想の際にアダムスと共に4本の槍が登場している。

また月面にはカシウスの槍が存在し、渚カヲルエヴァンゲリオンMark.06にて覚醒した初号機を停止する際にその槍を投擲した。

+ 新劇場版:Q及びシンエヴァのネタバレ注意
「Q」では、セントラルドグマにてサードインパクトから14年間、首の抜け落ちたリリス及び合体したMark.06を二本の槍が貫いていた。
カヲルの「ドグマに刺さっているロンギヌスとカシウスの二つの槍を使えば世界は修復できる」という発案を受け、
シンジカヲルと共にエヴァ第13号機で地下に降りるが、そこにあったのは対の槍ではなく全く同じ形の二本の槍だった。
これを受けカヲルは自分がゲンドウに騙されたことを悟るがシンジは忠告を聞かずに槍を抜いてしまい、
槍によって抑えられていたと思われるMark.06の封印が解け内部の使徒が復活し、第13号機によるフォースインパクトが発動してしまった。

その後、インパクトを止めるためにカヲルが槍を第13号機のコアに刺すことで第13号機の軌道を停止させた(インパクトは止まっていない)。


「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」でも後半のキーアイテムとして登場する。
ロンギヌスの槍は第13号機の再起動に使用され、その後はアディショナルインパクトのために温存された。
この間に起こったフォースインパクトの再発動にはロンギヌスでもカシウスでもない、黒き月を変形させた名もなき槍を使用してインパクトの儀式は遂行された。
アディショナルインパクトのために第13号機がマイナス宇宙へ向かった際には、再起動した初号機がロンギヌスの槍を一本奪取した。
この際ロンギヌスの槍はカシウスの槍に変形している。
神の槍を手にした二機は死闘を繰り広げた。ロンギヌスの槍が本編で投擲以外の武器らしい使い方をされたのはこれが最初で最後である。
その後はロンギヌス及びカシウスの2本の槍を使用してアディショナルインパクトが行われた。

失われた槍の代わりとしてヴィレクルー達の意志によって作られた新たなる槍こと「ガイウスの槍」が誕生した。こちらは三叉の槍で、羽のような意匠も施されている。この槍をミサトが自らの命と引き換えにシンジの元へ届けて、シンジはこの槍を使用し世界をエヴァのない世界へ書き換えた。

またロンギヌスの槍とカシウスの槍は同質のもので互いに変化できる、それぞれ絶望の槍と希望の槍である。
これらの槍は神がアダムスと共に6本の槍としてゴルゴダオブジェクトに残した事が語られた。

ちなみに「カシウス」とは前述の聖人「ロンギヌス」がキリストの洗礼を受ける前の名前であり、同一人物を指しているという説がある。
それらに対し「ガイウス」は聖人ではなく普通の人の名前であるのだが、これは神が与えた槍と人の作り出した槍で命名法則を変えているからでは?とも推察されている。





追記・修正は槍で死亡確認されてからお願いします。

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最終更新:2024年11月21日 13:03

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