ストーリー・解説
「ミスティック・リバー」のデニス・ルヘイン原作の同名小説をマーティン・スコセッシ監督&レオナルド・ディカプリオ主演で映画化。1954年、失踪した女性患者の謎を探るためにボストン沖の孤島に建つ犯罪者用精神病院を訪れた米連邦保安官テディ・ダニエルズ(ディカプリオ)に次々と不可解な出来事が起こる。脚色は「アレキサンダー」「ナイト・ウォッチ/NOCHINOI DOZOR」のレータ・カログリディス。
2010年製作/138分/PG12/アメリカ
原題または英題:Shutter Island
配給:パラマウント
劇場公開日:2010年4月9日
引用元:https://eiga.com/movie/53192/
登場人物・キャスト
テディ・ダニエルズ | レオナルド・ディカプリオ | 加瀬康之 |
チャック・オール | マーク・ラファロ | 志村知幸 |
ジョン・コーリー医師 | ベン・キングスレー | 有本欽隆 |
ドロレス・シャナル | ミシェル・ウィリアムズ | 宮島依里 |
レイチェル・ソランド | エミリー・モーティマー | 高橋理恵子 |
ジェレマイアー・ネーリング医師 | マックス・フォン・シドー | 坂口芳貞 |
ジョージ・ノイス | ジャッキー・アール・ヘイリー | 青山穣 |
アンドルー・レディス | イライアス・コティーズ | 辻親八 |
エセル・バートン | パトリシア・クラークソン | 一柳みる |
警備隊長 | テッド・レヴィン | 向井修 |
マクフィアソン副警備隊長 | ジョン・キャロル・リンチ | 石住昭彦 |
ピーター・ブリーン | クリストファー・デナム | 河相智哉 |
フェリーの船長 | マシュー・カウルズ | 秋元羊介 |
看護師マリノ | ネリー・サイウット |
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/シャッター_アイランド
感想
1954年、連邦保安官テディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ)とチャック・オール(マーク・ラファロ)ら捜索部隊はボストン港の孤島(シャッターアイランド)にあるアッシュクリフ精神病院を訪れる。
この島でレイチェル・ソランドという女性が、「4の法則。67は誰?」(The law of 4.Who is 67?)という謎のメッセージを残して行方不明となった。
強制収容されている精神異常犯罪者たちの取り調べを進める中、その病院で行われていたマインドコントロールの事実が明らかとなる。
捜査を進めていく中で連邦保安官の2人は、島に謎が多すぎることに不信感を強めていく。
※あらかじめ警告しておきますが、ネタバレしてしまうので、これから観ようと思っている方はブラウザバックしてください。
では、あらすじで引用したように、主人公の連邦保安官テディとチャックは、失踪した女性患者を捜索するために、ボストン港の孤島(シャッターアイランド)にある、アシュックリフ精神病院を訪れます。
しかし、そのアッシュクリフ精神病院では、ロボトミー手術によるマインドコントロールが行われており、失踪したという女性患者から事実を知らされ、危険を感じたテディは島から脱出しようと考えるが……という感じの物語です。
ミステリものではお決まりなのですが、ミステリの手法に『信頼できない語り手』というものがあります。
『信頼できない語り手』とは、色々な種類がありますが、その中に主人公が「精神的な問題を抱えている」という項目があるんですね
(この『信頼できない語り手』の手法は様々な作品に使われているので、興味がある方は調べてください)
はい、これでピンと来た方もいると思いますが、本作の主人公テディは、第二次世界大戦時に兵士として戦った後遺症や、家庭問題などで精神に問題を抱えています。
もう、おわかりですね(-▽-;)
テディは自分が連邦保安官で失踪した女性患者の捜索のために、アシュックリフ精神病院にやってきたということになっていますが、実際には、テディはアシュックリフ精神病院の患者で、事件の捜査はすべてテディの妄想だったという衝撃の真実が、物語の最後に判明します。
確かに、改めて思い返してみると、おかしな伏線と思われるシーンがいたるところに散見されるんですよね(^▽^;)
なんとなく察しはついていたので、やっぱりかと思ったのですが、本作の面白いところは、最後の解釈が「どちらにもとれる」ということです
これは『信頼できない語り手』の面白いところでもあるのですが、観客でも何が本当で何が嘘なのかわからない状態なので、誰を信用すればいいのかわからなくなるんですね。
本作にはロボトミー手術という手術が登場します。
ロボトミー手術とは、脳の前頭葉にある白質を切除することで、精神病が治ると期待された手術のことで、当時はノーベル賞を取るほど精神病の治療法として期待されていました。
しかし、手術を受けた患者は人間としての感情を失い生きた屍のような状態になってしまうことが問題視され、その後ロボトミー手術は非人道的だと禁止されてしまいます。
しかし本作の時代設定は1954年、ロボトミー手術は1940年代から1950年代にかけて広く行われていたそうで、本作の時代設定上ではまだロボトミー手術が精神病の治療法として行われていたと思われます。
テディは最後、「怪物のまま生きるか、善人のまま死ぬか。どちらが良いだろう」という発言を残し、精神病の治療のためにこのロボトミー手術を受けることになるところで物語は終わりますが、本当にテディは精神病だったのか? それとも病院の陰謀にハメられたのかというモヤモヤを残します。
作中でアシュックリフ精神病院では、実験のためにテディを罠にハメ、手術を受けさせているのではないかという捉え方もできなくはないんですね。
もし、病院の陰謀のためにテディを薬か何かで記憶喪失にして実験台にしようと仕向けていたのなら、映画自体のとらえ方が変わってしまいます。
でも、他の考察サイトでも書かれていましたが、1951年の頃のアメリカでは2万もの手術例があるほど広まっていたそうで、連邦保安官を罠にハメてわざわざ実験台にする危険を冒すメリットがあるとは思えないので、本当にテディの妄想だったということだとは思いますが、もしかすると……と噛めば嚙むほど味がでるスルメのような映画なんですね。
これが、『信頼できない語り手』作品の醍醐味だと思います( ̄▽ ̄)ゝ