2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧
◇今まで3冊の教科書(山川出版社の『詳説世界史』、東京書籍の『世界史探究』、実教出版の『世界史探究』)を比較・検討してきましたが、今回から山川出版社の『新世界史』と帝国書院の『新詳世界史探究』も検討対象に加えます(山川・新、帝国と略記)。 …
★大西洋三角貿易をどう取り上げるかは、世界史教科書の良し悪しを判断する際の「試験紙」みたいなものだと思ってきました。近世から近代にかけて行われた大西洋奴隷貿易と南北アメリカ・カリブ海地域の奴隷制は、二度の世界大戦やユダヤ人虐殺などと並んで、…
◆南宋(1127~1276)についての記述は、従来から簡単でした。中国史では、六朝時代は別ですが、統一王朝の時代が重視され、分裂の時代は軽視される傾向があったからだと思います。新しい「探究」の教科書でもほぼ同じ扱いです。また、南宋の政治・外交、経済…
◆旧課程の山川「詳説」(世界史B)には、17世紀イギリスの革命について奇妙な記述がありました。内戦~共和政(いわゆるピューリタン革命)期のみ「イギリス革命」と呼んでいたのです。 ◆今年度の高校2年生から使用されている「詳説」の記述は、とてもよく…
◆山川出版社の『詳説世界史』には、かなり辛口の評価をしてきましたが、宗教改革のページは旧課程の教科書から大幅に刷新され、充実した内容になっています。 ◆私は、「世界史の扉をあけると」でも述べたように、宗教改革期のイコノクラスム(聖像破壊運動)…
◇山川出版社の「詳説世界史」、東京書籍の「世界史探究」、実教出版の「世界史探究」を比較・検討しています。 ◆今回は、中国の道教を取り上げます。「今までの中国史は儒教と仏教に偏っていたのではないか」という反省が、私自身にあるためです。道教の成立…
◆実教出版の「世界史探究」と東京書籍の「世界史探究」の場合、ルネサンスの記述はどちらも旧課程版(世界史B)を踏襲しているようですので、簡単に感想を述べておきたいと思います。 <実教のルネサンスの取り上げ方> ◆必要な事項はほとんど網羅されており…
★山川「詳説世界史」のルネサンスの記述には、改善された部分と大きく後退した部分がありますので、授業では注意が必要です。 ◆改善された部分 ●「ルネサンスの精神」という項で、古代ギリシア文化の発見・再生が明解に述べられています。また、占星術や錬金…