【5634】流輝 松屋事変 純米吟醸 玉栄 キモト 無ろ過生(るか、まつやじへん)【群馬県】

【TU会 全9回の⑥】
異業種間交流利き酒会「TU会」のホームグラウンドはB居酒屋だが、年に2回、F居酒屋で開いている。今回は8人が集い、大いに飲み、大いに語り合い、楽しい時間を過ごした。
「翠露」「御慶事」「月山」「相模灘」「嘉美心」と飲み進め、次にいただいたのは「流輝 松屋事変 純米吟醸 玉栄 キモト 無ろ過生」だった。当連載ではこれまで、松屋酒造のお酒を「當選」1種類、「流輝」を3種類取り上げている。今回のお酒は、とてつもなく酸っぱいお酒で、メンバーは大いに戸惑う。
W 「上立ち香の段階で酸っぱい酒であることが予想される」
KO「これまで飲んだことがない酸っぱさ。駄菓子のスモモみたい」
TU「身体に良い酢って感じ」
KI「ちょっとどうかな? かなりどうかな?」
酒蛙「かなりさっぱりとした口当たり」
KI「一番最初に飲むお酒かな?」
酒蛙「ドライな白ワインをおもわせる強い酸だ」
ヨネちゃん「ワインじゃない!!!」
酒蛙「俺の口にはワインの強酸をおもわせるが…」
ヨネちゃん「ワインじゃない!!! 酢に近い。酸を強くするのなら甘くしなきゃ」
酒蛙「甘みがすこし出ているよ。軽快な酒質」
MI「斬新な酒です」
店主の奥さま「店主が『この酒は酒蛙さんが好きそうだ』と言っていましたよ」
酒蛙「うん。これ、好きだ」
TU「料理の脂を洗い流してくれますね」
W 「日本酒とは違う酒だ」
酒蛙「クラシックタイプの、ライトボディー酒。あるいは爽酒。あるいは淡麗酸味酒」
店主の奥さま「この酸は、梅干しの酸だとおもう」
酒蛙「なるほど、その通りだ! 分かる、分かる」
瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。。
「醪(もろみ)発酵初期の酵母の増殖より乳酸菌の増加が勝ったと思われる再現不可能な香りと含み味がくせになるかもしれません。酵母の特徴を引き出すために無ろ過で搾ったそのままのお酒を瓶詰めしております」
酒屋さんのサイトは、(蔵元コメント)と題し紹介文を掲載している。おそらくは、蔵元さんが酒屋さんに流したリリース資料とおもわれるので、以下に転載する。
「醸造時の乳酸菌の力により、酸度が高く仕上がっております。レモンのような強い酸、グレープフルーツの果実味、綺麗でありながらも『生酛』ならではの深い味わいが広がるお酒です。酵母の特徴を引き出すために無濾過で搾ったそのままのお酒を瓶詰めしております」
これらの文章からは、なぜこんなに酸が強いのか、よく分からない。これについて、蔵元さん(松原広幸さん)がX(旧ツイッター)で述べているので以下に転載する。ひとことで言えば、この強酸酒は偶然出来たもので、予想外の異常事態を「事変」で表現したとのこと。
「流輝とはちょっと異なる方向性のお酒に仕上がりました。
順調に育ってきた生酛酒母に最後の工程『温み取り』(※酒母を温めて悪い菌を死活させる作業)をあえてせずに段仕込みに移行したところアルコール耐性の強い乳酸菌が残っていたようです...。想定を超えた酸、梅干し?良く言えば白ワインのような酸の高い(酸度4)の感じられるお酒になりました。
流輝の飲み口とはちょっと異なる感じでしたので、尊敬する笑四季酒造さんのお酒『竹島事変』をイミテイションして『松屋事変』と名付けました(命名の許可頂きました)。
ファーストに酢酸のような香りがありますので、レモンを添えて飲んでいただけると爽やかなに飲むことができます。今後再現できないかもしれない方向性かも。苦手な人もいるかもしれませんが是非お試しください」
瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合60%、玉栄100%使用、アルコール度数14度、製造年月06.9」。使用米の「玉栄」は愛知県農業試験場が1954年、母「山栄」と父「白菊」を交配。育成と選抜を繰り返し開発、1965年に命名された酒造好適米。現在は滋賀県を中心に栽培されている。
酒名「流輝」の由来について、埼玉県所沢市の酒販店「雪乃屋 こぐれ酒店」のサイトは以下のように説明している。
「『流輝』は、平成20年に蔵に入った専務の松原広幸氏(現代表)が杜氏となり醸しています。銘柄名の由来は、成長していく酒という想いを込めているそうで、お子さんに付ける名前の中から名付けられ、松原氏の酒造りの成長とともに『流輝』も成長し続けています」
また広島市の酒専門店・大和屋酒舗のサイトは「子供につけるつもりの名前から選んだ。流れ輝く酒と共に子供のように成長するという意味が込められています」と説明している。
わたくしにとって、「るか」「ルカ」は、大ヒットした伝説のバスケマンガ「スラム・ダンク」の「流川楓」(るかわ・かえで)と、キリスト教の聖人ルカをすぐ連想する。
この蔵は、地元では、選挙事務所によく並ぶ縁起酒の「當選(とうせん)」が親しまれており、「平井城」も主な銘柄のひとつ。























