【5716】紗利 五割諸白 純米大吟醸(さり ごわりもろはく)【福井県】
【S居酒屋にて 全9回の④】
仕事で知り合った友人たちと年に1~2回、飲み会を開いている。名付けてオタマジャクシ会。メンバーの1人がカエルのわたくしより年下なのでオタマジャクシを自称しているのが会名の由来。このほど、1年ぶりの開催となった。いつものS居酒屋に4人が集った。
「三冠」「天吹」「月の井」と飲み進め、続いていただいたのは「紗利 五割諸白 純米大吟醸」だった。毛利酒造のお酒は当連載でこれまで、3種類を取り上げている。今回の「紗利」は8年近く前、同じS居酒屋でいただき、当連載で取り上げているが、だいぶ期間が空いたので、再び取り上げる。
酒蛙「さらり、すっきりとした口当たり」
S 「やさしい感じのお酒だ」
ウッチー「いいね。好みのタイプだ」
オタマジャクシ「美味しい。いいね。上品な味。いいね」
S 「お酒だけで飲める」
オタマジャクシ「白い下着の女性をおもわせる酒だ。燗酒が合いそうだ」
酒蛙「香りほのか。甘旨みがややあり、酸と辛みは適度。バランスが良い。クセが全くない。ただ、含み香と味わいはけっこう独特で、これが個性か」
酒蛙「クラシックタイプの、ライトボディー酒。あるいは爽酒。あるいは淡麗旨辛口酒」
オタマジャクシ「清純派だね」
瓶のラベルは、この酒の酒質と酒名の由来について、以下のように紹介している。非常に読みにくいが、原文のまま掲載する。
「『sari』ハ梵語(サンスクリット語)デ『米』ヲ意味シ日本ニ於イテ『スシ飯』ヲ表ス『シャリ(舎利)』ノ語源トスル説ガアリマス。此ノ酒ハ米由来ノ物ノミデ醸サレシ芳醇ナル酒デアル事ヨリ名附マシタ。
古来ヨリ傳ハル醸造法ヲ頑ニ守リ 手作業ニヨル麹造リ櫂入レ槽搾リヲ行フ故ニ特有ノ『酸』ヲ生ジマス。獨特ノ『旨味』『酸味』『キレ』ハ壽司・和ノ柑橘類ヲ用ヰタ日本ノ料理ニ良ク合ヒマス。
其ノ口當タリ田園ヲソヨ吹ク軽ヤカナ風ノ如シ。盃ヲ重ネル度ニ身體ニ馴染ミ飲ミ疲ルコト無キ味。品ヤカニ食ニ寄リ添ウ清爽ナ冷酒向ケ食中酒デス」
瓶の裏ラベルの表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原材料品種 山田錦100%、精米歩合50%、アルコール分15度、製造年月24.10」。
この蔵の主銘柄は「越の桂月」。ウェブサイト「日本の酒蔵めぐり」(地酒.COM佐野吾郎さんの酒蔵訪問記)に、興味深い蔵の歴史がレポートされているので、以下に転載する。
「毛利酒造合資会社は昭和13年、毛利淳吉氏によって創業された、比較的歴史の新しい酒蔵です。創業の経緯は変わっています。税務署の職員として働いておられた毛利淳吉氏が、宿場街であった東郷にて売りに出されている酒蔵の存在を知ります。その蔵の免許等を買取り酒造業に参入。詩人、大町桂月が好きであったことから『越の桂月』という酒名を命名。現在のその創業酒名を引継ぎ酒造りを行っています」
酒名の副題「五割諸白」について。「五割」は精米歩合50%の意味。また「諸白」(もろはく)は、麹米、掛米とも白米で造った酒をいう。「諸白」という言葉の初出は室町時代末期の文献という。