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(156)「暮」 草むらに日が沈む

2011年08月11日 15時04分

 日の出の朝と、日の入りの夕暮(ゆうぐ)れ。どちらも空が赤くなるのは似(に)ています。「朝」の「日」の上下の「十」は草の形で、「朝」は「日」(太陽)が草の間から昇(のぼ)るさまのことです。今回は夕暮れの「暮(ぼ)」についてです。

「暮」

 「朝」は「草」と「日」とで日の出を表す字ですが、「暮」も「くさかんむり(くさかんむり)」と「日」をふくむ字です。

 その「暮」の前に、まず「莫(ばく)」を理解してください。「莫」は古代文字を見ると、現在(げんざい)は「大」となっている部分も草の形です。「莫」から「日」を除(のぞ)いた部分は「艸(そう)」(草)を二つ上下に書いた形で、草むらのことです。つまり「莫」は草間に「日」が沈(しず)む姿(すがた)で「暮」の元の字でした。

 だから「莫」は「日暮れ」「暗い」の意味でしたが、否定(ひてい)の「なし」などの意味に使われるようになりました。そこでさらに「日」を加え「暮れる」意味を明確(めいかく)にした「暮」が作られたのです。

 「莫」をふくむ字で、もう一つみんなも知っているのは「墓(ぼ)」です。「莫」と「土」を合わせた形ですが、「莫」は「暗い」こと、「土」は盛(も)り土の小高い丘(おか)・墳丘(ふんきゅう)のこと。「莫」と「土」で墳丘状(じょう)の墓(はか)のことです。

 でも古代中国の殷(いん)時代の墓は地下深くにありました。遺体(いたい)の安置場所は暗い世界なので「墓」の字ができたようです。

 「幕(ばく)」も「莫」をふくむ字です。「莫」には「暗くおおう」の意味があります。「巾(きん)」は布(ぬの)。「幕(まく)」は天幕・テントのことで、「幕」でおおえば「暗くなる」のです。

 「艸」を上下に重ねた文字をもう一つ紹介(しょうかい)しましょう。それは「葬儀(そうぎ)」の「葬」です。「葬」の「くさかんむり」も「廾」の部分も「艸」(草)の形で、草むらのことです。「死」は「歹(がつ)」「匕(ひ)」を合わせた字です。「歹」は死者の胸(むね)から上の骨(ほね)の形。「匕」は、その死者の白骨を拝(おが)み弔(とむら)う人です。

 昔は遺体を一時的に草むらに置き、遺体が風化した後で骨を拾い「ほうむり」ました。それが「葬」の字です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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