Title
Sub Title
Author
Publisher
Publication year
Jtitle
JaLC DOI
Abstract
Notes
Genre
URL
『百科全書』研究 : 大事典の典拠と生成
Studies on the encyclopedie
鷲見, 洋一(Sumi, Yoichi)
井田, 尚( Ida, Hisashi)
井上, 櫻子( Inoue, Sakurako)
真部, 清孝( Manabe, Kiyotaka)
小嶋, 竜寿( Kojima, Ryuji)
逸見, 龍生( Henmi, Tatsuo)
隠岐, さや香( Oki, Sayaka)
小関, 武史( Koseki, Takeshi)
寺田, 元一( Terada, Motoichi)
2018
科学研究費補助金研究成果報告書 (2017. )
『百科全書』に散在する典拠データへの関心が私たちの研究の出発点であった。この大事典は16
世紀から18世紀にかけての複雑なテクスト間の照合関係の歴史に与しており, コピー・ペーストこ
そが項目著者の常套手段だった。私たちが開発するデータベースは『百科全書』に含まれる無数
の典拠情報を検討する「典拠研究」を実践することで,
この歴史に迫ろうとするものである。抽出するデータは「著者」と「タイトル」に関するもので,
それらの多くが不完全な形で表記されているため,
常時「正規化」という厄介な作業を強いられる。
The starting point for our study was curiosity for many bibliographical references in the
Encyclopedie. The text of the french dictionary is part of a complex intertexual history from the
sixteenth to the eighteenth centuries. Copy and paste are frequently used by authors in their
contributions and our database is specially designed to provide access to this intertexual history by
activating a "source criticism" devoted to the study of numerous references contained in the text of
the Encyclopedie. The bibliographical metadata that we extract from the text of the Encyclopedie is
related to "titles" and "authors". Many of them are always present in an imperfect way, abbreviated
or omitted, so a cumbersome task of restoring the whole notation by "normalization" is absolutely
required.
研究種目 : 基盤研究(B)(一般)
研究期間 : 2012~2017
課題番号 : 24320065
研究分野 : 人文学
Research Paper
https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=KAKEN_24320065seika
慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA)に掲載されているコンテンツの著作権は、それぞれの著作者、学会または出版社/発行者に帰属し、その権利は著作権法によって
保護されています。引用にあたっては、著作権法を遵守してご利用ください。
The copyrights of content available on the KeiO Associated Repository of Academic resources (KOARA) belong to the respective authors, academic societies, or
publishers/issuers, and these rights are protected by the Japanese Copyright Act. When quoting the content, please follow the Japanese copyright act.
Powered by TCPDF (www.tcpdf.org)
4版
様
式
C−19、F−19−1、Z−19 (共通)
科学研究費助成事業
研究成果報告書
平成 30 年
6 月
5 日現在
機関番号: 32612
研究種目: 基盤研究(B)(一般)
研究期間: 2012 〜 2017
課題番号: 24320065
研究課題名(和文)『百科全書』研究
―
大事典の典拠と生成
研究課題名(英文)Studies on the Encyclopedie
研究代表者
鷲見
洋一(SUMI, YOICHI)
慶應義塾大学・文学部(三田)・名誉教授
研究者番号:20051675
交付決定額(研究期間全体):(直接経費)
14,000,000 円
研究成果の概要(和文):『百科全書』に散在する典拠データへの関心が私たちの研究の出発点であった。この
大事典は16世紀から18世紀にかけての複雑なテクスト間の照合関係の歴史に与しており、コピー・ペーストこそ
が項目著者の常套手段だった。私たちが開発するデータベースは『百科全書』に含まれる無数の典拠情報を検討
する「典拠研究」を実践することで、この歴史に迫ろうとするものである。抽出するデータは「著者」と「タイ
トル」に関するもので、それらの多くが不完全な形で表記されているため、常時「正規化」という厄介な作業を
強いられる。
研究成果の概要(英文):The starting point for our study was curiosity for many bibliographical
references in the Encyclopedie. The text of the french dictionary is part of a complex intertexual
history from the sixteenth to the eighteenth centuries. Copy and paste are frequently used by
authors in their contributions and our database is specially designed to provide access to this
intertexual history by activating a "source criticism" devoted to the study of numerous references
contained in the text of the Encyclopedie. The bibliographical metadata that we extract from the
text of the Encyclopedie is related to "titles" and "authors". Many of them are always present in an
imperfect way, abbreviated or omitted, so a cumbersome task of restoring the whole notation by "
normalization" is absolutely required.
研究分野: 人文学
キーワード: 百科全書
メタデータ
情報工学
辞書史
データベース
啓蒙主義
18世紀
書誌学
1. ─研究開始当初の背景
ス」としてインターネット上に公開すること
(1)国内・国外の研究動向及び位置づけ
を目的とする。
18世紀フランス最大の百科事典『百科全
3. 研究の方法
書』に関する研究史上で最大の分水嶺をなす
私たちが『百科全書』本文テクストから抽出
のは、ジャック・プルースト、ジョン・ラフ
する典拠メタデータは、
「標題」と「著者」の
らによる本格的な実証研究が次々と刊行され
2種である。その多くは本文中では略述され
た1960年代であった。資料の緻密な読解
ていることが多いので、
「正規化」によって表
と体系的な方法論に基づいたこれらの基本研
記を完全復元する作業が必須である。典拠メ
究を出発点として、20世紀末までに、
『百科
タデータは、これまでアメリカのシュワッブ
全書』はかつてないほど動的で混成的な、新
を中心とするグループによって刊行された浩
しい側面から捉えられるようになった。また、
瀚な『インヴェントリ』でも回避されている
21世紀に入ってからは『百科全書』の電
大規模データ群であり、人文系の研究者が逐
子出版が種々試みられた。アメリカ・シカゴ
一テクストを読み込む営みを介してしか容易
大学の Artfl『百科全書』プロジェクト・サイ
に抽出できない特徴を持つ意味で、画期的な
ト、フランス国立図書館の提供する電子サイ
成果が期待できるものである。
ト Gallica、Wikisource 版『百科全書』などで
4.研究成果
あるが、コンピューターを駆使してえられた
(1)
『百科全書』第1巻典拠メタデータ抽出
データベースの成果にはおのずと限界がある
作業の完了。成果の一部が以下の(2)に収
ことも否めない。日本では1950年代に日
録されている。後続巻についても、順次、新
の目を見た、京都大学人文科学研究所による
たに科研費を取得して抽出作業を進める予定
先駆的な共同研究が嚆矢といえるが、もっぱ
である。
ら研究の範囲を思想史に限定して行われてい
(2)単著『
「百科全書の時空」
』刊行
たため、この巨大な百科事典の全体を展望す
フランス人共同研究者の寄稿を含め、科研
るような見通しは拓かれなかった。
費メンバーが執筆した大型の成果本。ただし、
(2)人文学と電子メディアの協力
刊行費用は私費で賄っている。巻末に(1)で
そこで私たちは、人文学系研究者による「読
述べた『百科全書』第1巻典拠メタデータを
み」を主体とした『百科全書』本文の「典拠
部分採録している。
情報」調査に基づき、電子メディアを活用し
(3)研究報告誌『
「百科全書」
・啓蒙研究』刊
つつ、文学研究ですでに大きな成果を挙げて
行。研究会のメンバー中心に、
『百科全書』と
いるテクスト「生成過程」の研究方法を、百
その周辺の啓蒙思想・文学・美術をめぐり、研
科事典という巨大な資料体に適用するという、
究成果を公表する器として研究誌を創刊。期
無謀ともいえる試みに挑戦しようとした。
間内に計4号を刊行した。
2.研究の目的
(4)
「百科全書」
・啓蒙研究会開催
『百科全書』パリ・オリジナル版全17巻
鷲見が中心となり、慶應義塾大学で10年
の本文について、テクストの生成に関わる書
にわたって、月一度の割合で継続されてきた
誌情報を、
「『百科全書』典拠情報データベー
『百科全書』研究会の活動が起点である。の
ちに『「百科全書」
・啓蒙研究会』に発展した
現状について意見交換してきた。また、分担
本研究会は、2007年より基本文献である
者数名と共に、2013年南仏のリュミニー
J. プルーストの博士論文『ディドロと「百科
にて ENCCRE メンバーと合宿を行い、
『百科
全書」
』を精読することから始め、続いて『百
全書』電子批評版作成のための検討会を行っ
科全書』初期巻数冊の書誌情報を抽出し、主
た。
要項目の会読を行い、今日、
『百科全書』研究
5.主な発表論文等
においていかなる新たな切り口が可能か模索
〔雑誌論文〕
(計12件)
してきた。
① 井上櫻子、サン=ランベールの道徳思想
(5)国際研究組織ENCCREへの協力
─ 『百科全書』項目「利益 « Interet (Morale) » 」
フランス科学アカデミー、およびフランス、
典拠研究、慶應義塾大学日吉紀要フランス語
スイスの複数の大学、研究所が共同で運営す
フランス文学、査読無、65、2017、pp.55-66
る『百科全書』電子批評版(ENCCRE)作成
② INOUE Sakurako, Saint-Lambert, de l’article
チームと国際共同研究を進めてきた。日本側、
‹ Luxe › aux Saisons, Revue d’histoire litteraire de
そしてフランス、スイス側の研究者が個別に
France, 査読有, 117/3, 2017, pp. 521-527
行ってきた成果を集約し、共同で『百科全書』
③ 井上櫻子、
『百科全書』の無記名項目の執
への注釈作成作業を進めることで、これまで
筆同定 ─ 項目「利子、利息 Interet (Economie
研究の掘り下げられてこなかった分野の項目、
politique) の場合、慶應義塾大学日吉紀要フ
あるいは等閑視されてきた寄稿者の執筆項目
ランス語フランス文学、査読無、63, 2016、
の生成研究に共同で挑む点に革新性がある。
pp.19-30
イントラネットを利用した情報埋め込み作業、
④ 鷲見洋一、共時性のなかのディドロ ─1
ENCCRE サイトを利用した成果のウェブ公開
762年史への序論 ─(上)(中)(下)思
という方法も、デジタル人文学の現況に鑑み
想(岩波書店)、査読無、1079号、1081号、
て、画期的である。
1082号、2014年3月号、5月号、6月号、pp. 7-30、
(6)国際研究集会開催
157-178、55-84
2012年 ENCCRE のコアメンバーを慶應
⑤ 井田尚、外部の思想から思想の外部へ
義塾大学に招聘し、
「啓蒙思想と『百科全書』
─ 哲学者ディドロの知的冒険の三つの局面
に関する日仏研究集会」を行った。この時の
─、思想(岩波書店)、査読無、1076号、2013、
研究報告の一部については、日本語に翻訳し
pp.286‑302
て、2018年3月に単行本『百科全書の時
⑥ 寺田元一、『生理学要綱』の間テクスト
空』として刊行した。
的読解 ― ハラー『生理学初歩』との典拠関
(7)国際研究集会への参加
係を中心に ―、思想(岩波書店)、査読無、
代表者鷲見は 2 度にわたり国際18世紀学
1076号、2013、pp.187‑212
会(2007年モンペリエ,2011年グラ
⑦ 井上櫻子、サン=ランベールの『四季』
ーツ)で、
『百科全書』研究に関わるラウンド
と『百科全書』― 第二歌「夏」についての一
テーブルを主催し、日本での研究現状を報告
考察 ―、慶應義塾大学日吉紀要、フランス語
するとともに、欧米の18世紀学者と研究の
フランス文学、査読無、57号、2013、pp.1‑10
⑧ 逸見龍生、形而上学の時間と哲学の時間
grand dictionnaire: une etude genetique de
―『百科全書』ディドロ執筆項目「霊魂」の
l’Encyclopedie, What is the Enlightenment? New
生成論的解釈学の試み、日仏哲学研究、 査読
answers to the old question, 2017
無、18号、 2013、pp.16‑30
⑥ INOUE Sakurako, ‹ MELANCOLIE ›, Saint-
⑨ 逸見龍生、時間・知識・経験 ― 初期デ
Lambert, Seminaire de l’ENCCRE, 招待講演、
ィドロ思想の形成におけるベーコン主義医学
2017
史の位置 ―、思想(岩波書店)、査読無、1076
⑦
号、2013、pp.158‑186
産業に関する知識受容の諸相、『百科全書』・
⑩ KOJIMA Ryuji, Le Dictionnaire universel de
啓蒙研究会、2016
commerce dans l’Encyclopedie, Recherche sur
⑧
des articles dans le domaine du commerce, 百科
善と偽悪の問題 ― ルソーからアール・ヌー
全書』・啓蒙研究論集、査読有、2号、2013、
ヴォーまで、欧米の文化、招待講演、2016年
pp. 259-271
⑨
⑪ SUMI Yoichi, « Comment les Italiens lurent-
と課題、日本十八世紀学会、招待講演、2015
ils le premier tome de l’Encyclopedie ? ― au
⑩ TERADA Motoichi, Diderot et le milieu ;
sujet
en relation, avant tout, avec un vitaliste, Menuret
des
deux
reeditions italiennes
du
小嶋竜寿、『百科全書』における織物
鷲見洋一、近代ヨーロッパにおける偽
小嶋竜寿、電子版『百科全書』の活用
dictionnaire parisien », 百科全書』・啓蒙研究論
de Chambaud (1739-1815), Recherche
集、査読有、 2 号、2013、pp. 1-18
hypothetique sur la question : pourquoi Diderot
⑫ 鷲見洋一、巨大量への片思い ― 図書館、
consacre-t-il peu de part au milieu dans les
アーカイヴ、百科事典との交友録 ―、
『私立
Elements de physiologie ?, 14th International
大学図書館協会会報』、査読無、39 号、私立
Congress for Eighteenth-Century Study, 2015
大学図書館協会、2013、pp.75-87
⑪ INOUE Sakurako, La pensee economique de
〔学会発表〕
(計12件)
Saint-Lambert : de l’article Luxe aux Saisons,
INOUE Sakurako, « Article ‹ INTERET
14th International Congress for
(morale) › », Seminaire de l’ENCCRE, 招待講演、
Eighteenth-Century Study, 2015
2018
⑫ HEMMI Tatsuo, Philosophie et medecine :
INOUE Sakurako, Saint-Lambert et Rousseau,
Diderot, traducteur du Dictionnaire universel de
Seminaire Jean-Jacques Rousseau, 招待講演、
medecine de Robert James, 14th International
2017
Congress for Eighteenth-Century Study, 2015
③SUMI Yoichi, Le Neveu de Rameau hier et
〔図書〕
(計 9 件)
aujourd’hui, Journee Le Neveu de Rameau a la
① 逸見龍生・小関武史(編)
『百科全書の時
Sorbonne, 招待講演、2017
空典拠・生成・転位』法政大学出版局, 406 p.,
④ SUMI Yoichi, Le Neveu de Rameau dans sa
2018
descendance internationale, Societe Diderot, 招
② 鷲見洋一、寺田元一、逸見龍生(編)
『百
待講演、2017
科全書』
・啓蒙研究論集(Recueil d’etudes sur
⑤ SUMI Yoichi, A la recherche des sources du
l’Encyclopedie et les Lumieres)
、
『百科全書』研
究会、第4号(2017)137 p.
③ HENMI Tatsuo, Lecture critique de Diderot
et de l'Encyclopedie : Genese, Dynamique et
Contexte, Niigata University Scholors Series, v.
16, 2016, 235p.
④ HENMI Tatsuo, Stephane Lojkine et Adrien
Paschoud (dir.) , Temporalite et savoirs, Presses
Universitaires de Provence, 2016, 328p. (81-92)
慶應義塾大学・文学部・名誉教授
研究者番号:20051675
(2)研究分担者
井田 尚(IDA, Hisashi)
青山学院大学・文学部・教授
研究者番号:10339517
井上 櫻子(INOUE, Sakurako)
慶應義塾大学・文学部・准教授
研究者番号:10422908
⑤ Simon Gallegos Gabilondo, Takeshi Koseki,
Gilles Palsky, Evgeniy E.Rychalovsky, Nicolas
Verdier, M. A. Petrova, K. Kuntzel-Witt, J. F.
真部 清孝(MANABE, Kiyotaka)
慶應義塾大学・文学部・講師(非常勤)
研究者番号:40704250
Furtado, D. Kopelev, L. Gauci, M. Frumin, S.
Mezine, N. Plavinskaia, P. Zaborov, Serguei Karp,
K. Goltsova, E. Lebedeva, E. Sharnova, M. A.
Pozharova, M. Schippan. Le Siecle des Lumieres.
V. La Geographie a l'epoque des Lumieres: entre
imaginaire et realite, Moscou, Naouka, 2015, 584
p. (27-41)
⑥ 鷲見洋一、寺田元一、逸見龍生(編)
『百
科全書』
・啓蒙研究論集(Recueil d’etudes sur
l’Encyclopedie et les Lumieres)
、
『百科全書』研
究会、第3号(2015)134 p.
⑦ 鷲見洋一, 小嶋竜寿 『
「百科全書」—情報
の玉手箱をひもとく—』
、慶應義塾図書館、
2013、92p.
⑧ 鷲見洋一、寺田元一、逸見龍生(編)『百
科全書』
・啓蒙研究論集(Recueil d’etudes sur
l’Encyclopedie et les Lumieres)
、
『百科全書』研
究会、第2号(2013)288 p.
⑨ 鷲見洋一、寺田元一、逸見龍生(編)『百
科全書』
・啓蒙研究論集(Recueil d’etudes sur
l’Encyclopedie et les Lumieres)
、
『百科全書』研
究会、第1号(2012)239 p.
6.研究組織
(1)研究代表者
鷲見 洋一(SUMI, Yoichi)
小嶋 竜寿(KOJIMA, Ryuji)
慶應義塾大学・文学部・講師(非常勤)
研究者番号:50704269
逸見 龍生(HENMI, Tatsuo)
新潟大学・人文社会・教育科学系・教授
研究者番号:60251782
隠岐 さや香(OKI, Sayaka)
名古屋大学・経済学研究科・教授
研究者番号:60536879
小関 武史(KOSEKI, Takeshi)
一橋大学・大学院法学研究科・教授
研究者番号:70313450
寺田 元一(TERADA, Motoichi)
名古屋市立大学・大学院人間文化研究科・
教授
研究者番号:90188681