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広島大学教育開発国際協力研究センター『国際教育協力論集』第 12 巻 第 2 号(2009)69 ~ 80 頁 教育プログラムのボロウィング・レンディング ─授業研究を例に─ 小 野 由美子 (鳴門教育大学) 1.はじめに Mundry & Hewson 2003; Schwille & Dembélé 2007; Stigler & Hiebert 1999) 。 効果的な現職教育システムを構築する 先進国における現職教育の動向は、途上 こ と は、 近 年、 途 上 国 だ け で な く 先 進 国 国の現職教育にも影響を及ぼす。なぜなら においても重要な政策課題となっている ば、 通 常、 教 育 協 力 に お い て は ド ナ ー 国 (Colinson & Ono 2001; Schwille & Dembélé は自国のベスト・プラクティスを途上国の 2007; Villegas-Reimers 2003)。 そ の 背 景 に 教育開発の手段として輸出・移転する。ド は、教師が子どもの学習成果に影響を及ぼ ナー国や国際機関による国を超えた教育プ すことがあらためて広く認識されるように ログラムの貸し出し(lending)を、Steiner- なったこと (OECD 2005) のほか、養成教育 Khamsi(2004) は次のように論じた。すなわ の終了をもって教師の学びが完結するので ち、一国の教育プログラムを他国に移転し、 はなく、実践の共同体の中で教職生涯を通 現地に適応させることは高いコストが伴う。 じて学び続ける教師という教師像・教師観 にもかかわらずドナー国や国際機関がベス の台頭(Ball & Cohen 1999; Villegas-Reimers ト・プラクティスを途上国に貸し出す理由 2003;Elmore & Burney 1999)も見逃せない。 の 1 つは、カウンターパートや他の国際機 それは「人はいかにして学ぶのか」とい 関に対して存在感を誇示し、自分たちのプ う認知科学領域での成果 (Bransford, Brown ロジェクトが効果的であることを立証する & Cocking 2000) と も 相 ま っ て、 従 来 の 伝 必要があるからである。そうすることによっ 達講習型の現職教育のあり方に転換を迫る て、相手国政府や教育関係者に対してより も の で あ っ た (Ball & Cohen 1999; Darling- 影響力を持つことが可能となる。さらに、 Hammond & Mclaughlin 1995)。 先 進 国、 途 独自の商標付ブランド=ベスト・プラクティ 上国で行われた現職教育をめぐる先行研究 スを持つことこそがドナー・コミュニティ を概観した Schwille & Dembélé (2007) は、 において知名度を高めるのであり、国によっ 現職教育のあるべき姿については研究者の てベスト・プラクティスは異なる。たとえ 間で合意が得られているが、それをどう実 ば、Save the Children と い え ば community- 践に移すのかに関しては、未だそのモデル based education であり、DANIDA は student- を模索中である、との結論を得た。こうし centered learning、UNDP はマイクロ・クレ た中、日本の授業研究 (lesson study) は、現 ジット、世界銀行は高等教育へのプライベー 職教育の有望なモデルとして先進国だけで ト・セクターの関与、といった具合である なく、途上国の教育支援においても関心を (Steiner-Khamsi 2004, p.205)。Steiner-Khamsi 集 め て い る (Hammerness, Darling-Hammond のこの論に従うならば、レッスン・スタディ & Bransford 2005; Fernandez & Yoshida 2004; (授業研究)こそは日本が JICA を通じて途 ル イ ス 2008;Loucks-Horsley, Love, Stiles, 上国に貸し出そうとしている商標付の、現 - 69 - 小野 由美子 職教育のベスト・プラクティスに他ならな その点を明らかにすることは、なぜ、途上 いと言える (JICA 2007)。 国だけでなくアメリカやイギリスにおいて 本稿では、JICA による理数科教育協力の も授業研究が注目されているのかを理解す 柱として位置づけられている授業研究を教 るためには不可欠である。本稿では、アメ 師教育、中でも現職教育の議論の中に位置 リカを例に現職教育をめぐる議論を概観し、 づけ、なぜ授業研究が効果的な現職教育の 授業研究がどのように評価されているかを モデルとして先進国、途上国で注目されて 探ることとする。 いるのか、その理由を考察する。 途上国の 場合、日本(JICA)は理数科教育協力の中 核に授業研究を位置づけ、ベスト・プラク 2.アメリカにおける現職教育を めぐる議論 ティスとして貸し出そう (lending) としてい るのに対し (JICA 2007)、アメリカやイギリ スの場合は、自国の実践を改善するための (1)「危機に立つ国家」以降の教育改革動 向 モデルとして、明確な意思を持って授業研 アメリカでは、 「危機に立つ国家」(Nation 究を借り入れる (borrowing) ことを提案して at Risk 1983) の公表以来、「落ちこぼれ防止 い る (Dudley n.d; Fernandez & Yoshida 2004; 法 」(No Child Left Behind Act of 2001) を Stigler& Hiebert 1999)。アメリカやイギリス 経て今日に至るまで教育改革が継続してい が授業研究のどのような点を評価している る (U.S. Department of Education 2008 )。 そ かを探ることは、現職教育のグローバルな の間、教育改革の目的は一貫して生徒の学 方向性を探ることでもあり、それを手掛か 習成果の向上・改善であるが、その目的達 りに途上国の現職教育支援の潮流を予測す 成のための焦点・方策は当然のことながら ることが可能となろう。 変化した。「危機に立つ国家」の公表直後 教育開発・教育協力の文脈で現職教育を は、excellence が教育改革のキーワードと 論じた先行研究として相馬 (2005) がある。 なり、生徒に対しては高校卒業要件の引き その研究目的は、「日本の教員研修と教材開 上げ、教員に対しては教員養成プログラム 発の経験と蓄積を調査し、その結果を今後 への入学要件や教員免許取得要件の引き上 の基礎教育協力の案件形成や事業実施に役 げ、学校では年間授業日数の増加が州政府 立てること」(p.vi) である。相馬は主として 主導で実施に移された。改革のターゲット イギリスの議論を踏まえて教員研修の類型 は個々のクラスで起こっている事柄という 化を紹介するとともに、教員の学習を考え よりは教育システム全般であり、 「基準強化」 るにあたっては成人教育の視点が必要なこ がその主たる方策として採用された (Hunt とを指摘した。そして、教科内容の知識や 2008)。 基準強化が一段落した 80 年代末期から 教授学的知識を超えたところにある「反省・ 省察」(reflection)を教師の専門性を特徴づ は、restructuring movement が 起 こ る。 そ れ けるもの、と理解した (p.8-10)。相馬の研究 は規制緩和とアカウンタビリティをセット は、あくまでも日本の教員研修の経験を国 に し て、 学 校 組 織、 学 校 運 営 を 再 構 築 す 際協力案件にどのように活用するかに主眼 ることにより結果に対して責任を持つこ があるため、途上国の教員研修の課題には と、すなわち、テストで測られる子どもの 言及しているが、イギリスにおいて現職教 成績 (performance =結果 ) に対して責任を 育をめぐってどのような議論が展開された 持つこと(アカウンタブルであること)を のかについては言及していない。しかし、 学区や学校に求めるものであった。90 年 - 70 - 教育プログラムのボロウィング・レンディング─授業研究を例に─ 代に台頭した新しいアカウンタビリティ ファレンス、大学のコース、外部専門家に は、学校がアウトプットに対して責任を持 よる講演がほとんどであった。ワークショッ つこと、アウトプットの結果を報償(ボー プで得た知識やスキルが現場に取り入れら ナス)・制裁(学校閉鎖・テイクオーバー) れることは非常にまれで(Joyce & Showers と連動させるという点で、インプットや規 1980)、「何千ものワークショップや会議ほ 則順守に対して責任を持つという従来のア ど、多くのことを約束し、ストレスがたま カウンタビリティから 180 度転換するもの るくらい無駄なものは他にない。参加した で あ っ た (Elmore & Fuhrman 2001; Fuhrman 教師が教室に帰っても、その実践にはなん 1999)。90 年 代 は ま た standard movement ら重要な変化がない」(Fullan 1991, p.315) の時代でもあった。子どもたちが達成す と酷評された。こうした現職教育の問題点 べき学力スタンダードにはじまり、教員 は早くから指摘されていたが、Little(1993) 養成学部で培うべき力量のスタンダード は、訓練(training)モデルに依拠している (INTASC 1992)、高度な専門職教師の力量 これまで通りの現職教育では、教育改革の スタンダード(NBPTS 1994)や教員養成に 標榜する目的を達成することはできないと 携わる者の質あるいは力量のスタンダード 批判した。Little によれば、伝統的な現職教 (NCATE1995,1998,2008) な ど、 様 々 な 育は、明確なスキルのように伝達可能な「技 スタンダードの開発が試みられた (Collinson 術的」(technical) なことにしか対処できな & Ono 2001)。「落ちこぼれ防止法」(2002) い、進行中の教育改革は伝達可能な技術的 の制定は standard movement に拍車をかける な答を持っているわけではなく、教師一人 ものであった。同法は一人一人の生徒に高 一人がそれぞれの実践の場で答を模索する い学力を保障すること、生徒集団間の学力 必要がある。そのために必要なのは教師の 差を解消することを目指すものであるが、 日常に埋め込まれた、教師が「学習する機会」 規制緩和により目的達成のため多様な手段 である、と主張した。 を可能にする見返りとして、各州に対して 1996 年 に は、National Commission on 州の学力スタンダードに対応した評価法 Teaching and America’s Future が “What (assessment) を開発し、学校・教師が子ども matters most: Teaching for America’s Future” の学習成果に責任を負うことを強く求めた。 と題する報告書を発表する。同報告書は、 スタンダード・アセスメント・アカウンタ 教師教育政策の研究者として著名な Darling- ビリティは相互に密接に関係する一連のも Hammond が中心になってまとめたもので、 のとして、学校教育だけでなく、教員養成 教師の質の重要性を訴えるものであった。 にも要求されるようになる。 報告書は「教師の知識と技能こそは、子ど もの学習に最も重要な影響を及ぼす。その (2)現職教育の批判 ため、優れた教師を確保することが学校を 「危機に立つ国家」に端を発する教育改革 改善する中心的な方略である。しかし教師 は、基準強化が一段落して以降、アカウン が十分に教えることができるような条件を タビリティの要求に比例して、教師の重要 作り出すことなしには、学校改革は成功し 性と現職教育の必要性を一層強調すること ない。」という明確なメッセージを発信した。 になった。ところが、アメリカの現職教育 さらに、報告書は、アメリカのすべての子 の効果については疑問視されていた。1970 どもが質の高い教師-専門的な教科内容を 年代、80 年代を通じて、アメリカの現職教 習得し、子どもたちを学ぶことに興味を持 育の典型的な形態はワークショップ、コン たせるために必要な教授スキルを持った教 - 71 - 小野 由美子 織化することが必要である。 師-の恩恵を受けることができるようにす るためには、スタンダードに基づいた養成 3. 授業へのメタ認知的なアプローチの仕方 教育の改革と、教職生涯を通じた継続的な によって、子どもたちは学習目標を設定 現職教育が必須であると主張した。新しい し、学習の進展をモニターしながら、自 現職教育の特徴として、継続的であること らの学習をコントロールすることを学ぶ に加えて、仕事に根ざしたもので、教職生 のを支援することができる。 涯を通じたプロセスであること、計画的で、 同報告書によれば、上記の 3 つの知見は 教授学習(カリキュラム・授業・評価)に フォーカスしたものであること、個人、学 学習指導に次のような意味を持つ。 校ともに改善すべきものであること、個人・ 1. 教師は子どもがすでに持っている理解を 集団の探究 (inquiry) と省察 (reflection) を重 引き出し、それに働きかけなければなら 視すること、教師が教師自身の学びを主導 ない。 2. 教師は、同じ概念が働いている多くの例 することなどが挙げられた (p.83)。 1999 年には、2 つの注目すべき報告が公 を提供し、事実知識の強固な基礎を提供 にされた。1 つは、”How people learn: Brain, することにより、教科内容を深く教えな mind, experience and school” 1 と 題 さ れ た 認 ければならない。 知と学習に関する報告書で、米国学術研究 3. 様々な教科領域のカリキュラムの中に、 会 議 (the National Research Council, NRC) の メタ認知的スキルの指導を統合すべきで 行動社会科学・教育委員会 (Commission on ある。 Behavioral and Social Sciences and Education) 学習を容易にするための環境をデザイン が組織した特別部会による研究報告である。 この研究は、神経科学を始め、認知心理学、 するにあたって、上記の 3 原則から導かれ 社会心理学、人間の発達のほか、関連領域 る学習環境が持つべき特色とは以下のよう の研究成果を集め、効果的な学習プロセス なものである。 と、学習が起こる環境について、総合的な 1. 学校、教室は学習者中心でなければなら ない。 視点を提供することを目的とした。同報告 書は 2 年にわたる研究の成果として学習に 2. 知識中心の教室環境を提供するためには、 関わる 3 つの重要な知見を導いた。 何が教えられるのか(情報・教科内容)、 1. 子どもたちは世界がどのような仕組みで なぜ教えられるのか(理解)、能力、技能 機能しているか子どもなりの先入観を の習熟がどのようなものかに注意が向け 持って教室にやってくる。その初期概念 られねばならない。 を扱わない場合、教えられた新しい概念 3. 評価中心の教室環境では、教師も生徒も や情報を把握できない、あるいはテスト 進歩がモニターできるような形成的評価 が重要である。 のために学ぶかもしれないが、教室を離 れれば、以前の先入観に逆戻りしてしま 4. 学習は文脈によって影響を受ける。共同 体中心のアプローチでは、目標とする学 うかもしれない。 2. ある特定の領域で能力を発達させるため 習観を支持するような規範を教室(子ど には、事実に関する深い知識を基礎に持っ もたち)、学校(教師)の中に作りあげる ていること、概念的枠組みの中で事実や ことだけでなく、学校の外の世界とのつ 考え方を理解すること、取り出したり、 ながりも必要である。 応用したりできるような方法で知識を組 - 72 - 教育プログラムのボロウィング・レンディング─授業研究を例に─ このような児童観、学習観、共同体観は 材研究」、「研究授業」、「授業検討会」がサ 学界ではすでに一般的であったが、最も権 イクルとして繰り返される。「日々の授業の 威あるといわれる NRC がそれを裏付けるこ 中で研究を行う」ことが授業研究の真髄で とで、一般に広く知らしめる役割を果たし ある、とされる(馬場、小島 2005)。 そう たと推測される。同時に、報告書は教師教育、 した授業研究の特性として Stigler & Hiebert 現職教育のあり方について重大な問題提起 は 5 点指摘し、もし真剣に授業を改善する も行った。すなわち、「学習・学習環境に関 ことを願うのであれば、アメリカでも検討 する知見は、子どもに限らず、すべて、成 に値すると述べた。 人の学習=教師の学習にも当てはまる」と 1. 授業研究は長期的・持続的改善モデルに いう指摘である (p.26-27)。報告書は、教師 教育や現職教育のプログラムを報告書が提 基づく 2. 授業研究は生徒の学習に焦点化しつづけ 示した学習の原則、学習環境デザインの指 針に基づいて見直すことの必要性を説いた。 る 3. 授業研究は学習指導が起こるその場面を 1999 年 は ま た TIMSS(Third International 重視し、その場面に即して改善すること 2 Mathematics and Science Study ) の 年 で も に焦点化する あった。よく知られているように、これは 4. 授業研究は協働的である 4 年ごとに第 4 学年と第 8 学年の生徒に対 5. 授業研究に参加する教師は、そうするこ して同一の数学・理科のテストを実施し、 とで自分たちが自らの職能開発にだけで 国際的に比較するものである。TIMSS 1999 なく、学習指導に関する知識の開発にも の一部としてドイツ・日本・アメリカの第 貢献していると思っている(p.120-127) 8 学年数学の授業ビデオの比較研究が行わ れたが、そのビデオ・スタディの結果は “The 1999 年以前はアメリカでほとんど知られ teaching gap”(Stigler & Hiebert 1999) と し て ることのなかった日本の授業研究は、2004 出版された。著者らのメッセージは明確で 年 5 月現在、全米 32 州に 150 の授業研究グ あった。「アメリカの子どもの数学の成績が ループ、335 校、125 学区、900 人以上の自 悪いのは、教師ではなく学習指導が問題で 動メーリングリスト登録者、2300 人以上の ある。学習指導は文化であり、自覚化され 教師が授業研究に関わっていると言われて ることが少ない。学習指導の文化を変える いる (Lesson Study Research Group http://www. ことは一朝一夕にはできない。アメリカ人 tc.edu/lessonstudy/timeline.html)。こうした授 教師の多くは、教育改革で提言されている 業研究への関心の高まりは、TIMSS1999 の 方法で(= NRC の報告書で明らかにされ 結果が公表され、”The teaching gap” が出版 た児童観、学習観に基づいて)教えている されたタイミングとも決して無関係ではな と言うが、ビデオを見る限り変化の兆しは い (Chokshi & Fernandez 2005; Lewis 2002; ほとんど見られない。学習指導に関する知 Lewis & Perry 2006; Takahashi 2002)。 ま た、 識を生成し、共有するためのシステムや学 Lewis や Fernandez、Yoshida のような有力な 習指導について学ぶ機会を与えるシステム 授業研究の理解者、代弁者がいることも見 が欠如している。日本の授業研究に学んで、 逃せない。当初、算数・数学をターゲット 少しずつ学習指導を改善していくべきであ にしていたことも関心を集めた理由の 1 つ る。」 であろう。それだけでなく、上述したように、 授業研究とは、「教員が同僚とともに授業 研究者の間では効果的な現職教育とはどう 改善を図っていく方法」であり、通常、「教 あるべきか、どのような特徴を持つべきか - 73 - 小野 由美子 を 明 ら か に し て い た も の の (Ball & Cohen 育のパラダイムの特徴を浮き彫りにした(表 1999; Bransford, Brown & Cocking 1999; 1)。Stigler & Hiebert が指摘した授業研究の Collinson & Ono 2001; Feiman-Nemser 2001; 特性を Collinson & Ono の提示したパラダイ National Commission on Teaching & America’ ムと比較すると、授業研究は新しいパラダ s Future 1996)、実際にどのように実施すれ イムの特徴とほぼ合致することが分かる。 ば良いのかを試行錯誤している時期に、目 Stigler & Hiebert は明記していないが、教師 に見える実践のモデルとして授業研究が立 間の持続的、協働的なインターアクション ち現れたといえるだろう(Lewis & Tsuchida は、授業者あるいは観察者として直接関わっ 1997, 1998; Stigler & Hiebert 1999;Yoshida た授業について反省的な思考に基づいてな 1999)。 されていることも授業研究の特徴の 1 つで たとえば、Collinson & Ono (2001) は、伝 ある。 統的なモデルとの比較から、新しい現職教 表1 新旧現職教育の理論的枠組みの比較 古いパラダイム 新しいパラダイム 短く、一時的 持続的なインターアクション (1) 私的、個人の活動 公的、プロセスの共有 (4) 教師は受動的で聞き手 積極的な教師の参加 (5) 外部の専門家が講師 内部の専門家の知識+研究 (3) 即席、内容中心のセッション 学校改善に向けた継続的プロセス (1,2) 学習指導のハウツー(技術的側面) 学習指導のハウツーとともに、なぜかも 強調 強調 (2) 無関係なトピック 学校に関係のある実践の問題 (3) 理論に基づかない 理論を組み込み、理論を評価 *( )内の番号は Stigler & Hiebert の指摘した授業研究の 5 つの特徴の番号を示す。 (Collinson & Ono 2001 p.234) ら、途上国の現職教育をめぐる議論を要約 3.途上国における現職教育をめぐる 議論 する。 Leu(2004) は途上国で有能で高い動機付け 途上国ではこれまで養成教育に比べて現 をもった教師が必要とされる理由として、 職教育が軽視されてきたが、近年、EFA 実 以下の諸点を挙げている。 現に向けた政策や、カリキュラム改革等に ● キュラム改革の広がり 伴って、現職教育の重要性が増している (Leu 2004; Leyendecker, Ottevanger and van den ● ● 教育の質に果たす教師の質の重要性への 認識の高まり 2007;Verspoor 2008;Villegas-Reimers 2003)。本節では、主として MacNeil(2004) 、 それに伴って、できるだけ素早く効果的 に教師の変革をする必要性 Akker 2008; MacNeil 2004; Ottevanger, van den Akker and de Feiter 2007; Schwille & Dembélé アクティブ・ラーニングを強調するカリ ● Schwille & Dembélé(2007)を参考にしなが - 74 - 教師の質を改善するため、その結果教育 の質を改善するためには、教職を通じた 教育プログラムのボロウィング・レンディング─授業研究を例に─ ● 継続的な現職教育が必要と見なされるよ ある。表 3 の教師の学習のうち、現在の動 うになったこと 向 / アプローチは表 1 にまとめた現職教育 就学児童生徒の急激な増加により非常に の新しいパラダイムとも重なり合うところ 多くの教師が必要となり、経験の浅い教 が多く矛盾しない。 アクティブ・ラーニングを強調するカリ 師や無資格教員を教育し支援する必要性 ● ● が生まれたこと キュラム改革は、先に述べた認知、学習に 十分なリソースがないまま、教育の急激 関わる新しい知見と密接に結びついたもの な量的拡大を行った結果、質の低下を招 である(Leyendecker et al. 2008)。カリキュ いたこと ラム改革の導入は現職教育だけでなく、養 その結果、政府、ドナーは教師の質の向 成教育の内容・方法とも関係する。ところが、 上に投資する必要性が生じたこと 養成教育機関それ自体が保守的で、改革へ の抵抗も強く、改革のスピードは決して早 近年途上国で導入されている新しいカリ くない (Tatto 1997) 。その結果、途上国の多 キュラムがどのような生徒の学習、教師の くは、新しい現職教育のモデルを見つけら 学習を擁護しているかを示すのが表 2,3 で れないまま、古い学習モデルに基づいた、 表2 生徒の学習 過去の動向 / アプローチ 現在の動向 / アプローチ 受け身的学習 アクティブな学習 機械的暗記 高次の思考スキルの使用 教師中心 生徒中心 実証主義的基盤 構成主義的基盤 (Leu 2004 p.2) 表3 教師の学習 過去の動向 / アプローチ 現在の動向 / アプローチ 目標は厳格な定められたルーティンに 従って教えることができる教師 目標は情報に基づく専門的な選択が 出来る反省的実践家としての教師 教師はパターンに従うように訓練される 教師は自信をもった専門家になる ように教育あるいは養成される 受動的な学習モデル 能動的、参加的な学習モデル カスケード・モデル:少人数の教師へ 全教師が参加する、学校ベースモデル 大規模な中央研修で学校レベルのフォロ アップはほとんどない 専門家中心 教師がファシリテートする 教師の知識や教室の現実をほとんど 含まない 教師の知識、教室の現実が最重要 教師が生徒のニーズを知り、ニーズに 敏感であることをほとんど強調しない 教師が生徒のニーズを知り、ニーズに 敏感であることを強調 実証主義的基盤 構成主義的基盤 (Leu 2004 p.2) - 75 - 小野 大規模なカスケード方式の現職教育に依存 由美子 (1996-2002)を紹介している。その特徴は してきた (Leu 2004; MacNeil 2004;Schwille 次のようなものである。 & Dembélé 2007) 。カスケード方式のワーク ● な数の教師には届かず、教授・学習にはほ ● 採用されたプロポーザルに少額の予算措 置 とんど効果をもたない。現職教育は臨時に 短期間、計画・実施されるのが普通で、中 小学校の教師がチームとなってプロポー ザル作成 ショップは手間と費用のかかる割に、十分 ● チームは基礎的な教科内容のうちトピッ 央からの指示であったり、特定のカリキュ クを決め、その授業を改善するために、 ラム・パッケージや政策の伝達が目的であ 教師がお互いに授業を参観し、フィード る場合が多い。上述のように、現職教育の バックを与えて、形成的評価をすること を実施 講師は養成教育の講師である場合がほとん どで、その質は養成教育の質と同じくらい ● 成果をまとめて他の教師と共有 に低く、内容も理論を重視しすぎて教師に ● 教育省の職員をファシリテーター、評価 者として育成 とっては実践的な価値に乏しい、と批判さ れている。それは、表 2 にある生徒の学習 ● 的に学校訪問 古いパラダイムの現職教育によって実現し ようとしていると言って良い。政策として ファシリテーターはプロポーザルの作成、 プロジェクト実施を支援する目的で定期 への新しいアプローチを、表 3 に示された ● 評価者は年 3 回、形成的評価のため学校 訪問 のあるべき教師の学習指導と、教室で教師 によって実践される学習指導が乖離しすぎ ギニアのこのプロジェクトは日本のプロ ていることは明白であり、成果が期待でき ジェクトではなく、プロジェクト設計段階 ないのは当然であろう。 で授業研究をモデルにしたとは考えにく そのため、最近は、現実的なアプローチ い。結果的に授業研究と類似するところが として、全体研修から学校に基礎を置くア 多い(Schwille & Dembélé;2007)というこ プローチへと関心が移っており、途上国の とであるが、ギニアの国情に合わせた工夫 教育行政が地方分権化とアカウンタビリ が、日本の授業研究にはないどのような特 ティ重視の傾向を強めていることも、校内 徴を生み出したのかを知ることは意義があ 研修への関心を後押しすることになってい る。残念なことに、Schwille & Dembélé は、 る と い う(MacNeil 2004)。 学 校 に 基 礎 を 日本の教育プロジェクトについては一言も 置くアプローチは、単一学校とクラスター 触れていない。「授業研究」を柱にすえた (学校群)それぞれの単独方式である場合 JICA の教育支援事例は、フィリピン、イン と、両方式を組み合わせる場合など、研修 ドネシア、ボリビア、ザンビア、バングラ の形式にはバリエーションがあるが、より デシュ、ベトナム他、理数科教育プロジェ 学校に近いところで教員の研修を行う、と クトの多くに見いだせる。プロジェクトの いう考え方が主流になりつつある、と言っ 概要だけでなくプロジェクト自体を研究の て良い。新しい教師の学習パラダイムに 対象として、その成果を様々な場所、機会 基づく現職教育のモデルとして Schwille & に英語で発信していくことの重要さを改め Dembélé(2007)は日本の授業研究を評価 て指摘したい3。それはドナーの中でプレゼ し、日本の授業研究と共通点が多いプロジェ ンスを高めることはもちろんであるが、新 クトとしてギニアの現職教育プロジェクト たな知識を生成し、教育開発、教育支援の - 76 - 教育プログラムのボロウィング・レンディング─授業研究を例に─ 知識基盤をより豊かで強固なものにするこ ない、ということを意味する。では、どう とに役立つはずである。 すればものの見方や価値観が変わり得るの か。著者は成人学習理論のうち、変容的学 習理論 (transformative learning theory) の理論 4.おわりに 的枠組が有用ではないか、と現時点では考 本稿では先進国(アメリカ)と途上国の えている。変容のプロセスはこれまでの考 現職教育の議論の中に授業研究を位置づけ、 え方や感じ方、行動の仕方に違和感を引き なぜ、授業研究が今注目されているのかを 起こすジレンマを感じることに始まるとさ 考察した。授業研究を導入し実践すること れ、変容に至る過程での、ディスコースと で途上国の教員の質が改善したかどうか、 リフレクションが決定的に重要と考えられ その結果、子どもたちの学力が向上したか ている (Gravett 2005; Mezirrow 2000)。授業 どうかは信頼できるデータをもとに考証し 検討会にはディスコース、リフレクション なければならない。その点に関わって、今 の要素が含まれており、授業研究が教師を 後の課題を以下に掲げる。 変容させることが出来るかどうかは、授業 JICA プロジェクトが途上国に対して貸し 出そうとする授業研究が、どのような文脈 検討会の質に依存していると言わねばなら ない。 において、どのように導入され、実践され、 アメリカでの研究の多くは授業研究が教 受容されたのかも、意図した成果に影響を 師の孤立感を打破し、実践の共同体の形成 及ぼす。授業研究をベスト・プラクティス に効果があるかどうかという視点から論じ として途上国の教育支援プロジェクトに「貸 られることが多い。授業研究のボロウィン し出そう」とするこうした JICA プロジェ グ(借り入れ)、レンディング(貸し出し)も、 クトでは、借りる側(必ずしも自らの意思 最終的な目的は子どもの学力の向上であり、 ではない)のレディネスの違いによって、 その前提としての教師の力量の改善である。 貸し出す側の方針と体制はどのように異な 同一教師の研究授業と授業検討会での発言 るのだろうか。傾向やパターンのようなも の内容を定性的に、かつ継続的に研究し、 のが見いだせるだろうか。レディネスの違 教師の力量の変化(授業計画、教材理解、 いには、行政システム(学校運営を含む)、 教材開発、児童理解)を長期的に追跡調査 行政官のマネージメント能力、学校の物的・ することも不可欠である ( 小野・近森・小澤・ 人的リソースの質・量、教師観、児童観、 喜多 2007)。今後の課題としたい。 学習観などを含めた教育的価値観も含まれ る。貸し出す側は、貸し倒れにならないた 注 めには、借りる側のレディネスを把握した 上で、貸し出したものの上手な使い方をも 1 当初、“How people learn” としてこれまでの研 合わせて指導する必要があるのかもしれな 究成果をまとめたものが公刊されたのち、そ い。 の成果を現場での実践にどう活かすかという Stigler & Hiebert(1999) の 言 う よ う に、 視点から書き加えたものが ” How people learn: 教え方が文化であり、文化に特有のものの Bridging Research and practice”(1999) である。そ 見方、価値観に基づいているとすると、も のオリジナル版をさらにより詳しく展開した のの見方を変えない限り、教え方(教師観、 ものが ”How people learn: Brain, mind, experience 児童観、学習観に規定された教室での教師 and school”(1999,2000) であるという (Bransford, 行動、教師と生徒との相互作用)は変わら Brown, Cocking 2000, p.vii) - 77 - 小野 2 由美子 1999 年の教育調査が第 3 回であったことから Collinson, V. & Ono, Y. 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