第1回五輪まで1カ月、迫られる決断 首相の脳裏によぎる二人

有料記事五輪は誰のため

石井潤一郎 小野太郎
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 東京五輪の観客のあり方を決める政府などの「5者協議」を翌日に控えた20日、菅義偉首相は周辺に言い放った。「分かってるよ。宣言になったら、やめればいいんだろ」

 5者協議では、五輪の観客を「上限1万人」とすることで合意予定だった。ただ、それも東京などが新型コロナ対応の緊急事態宣言から脱し、感染状況が落ち着いていることが前提だった。宣言下なら観客は入れられない――。五輪を開くことができる最低限の条件を確認する周辺の言葉に、首相はいら立ちを隠さなかった。

 新型コロナの災厄下にある東京で、首相が掲げる「安心・安全な五輪」が本当に実現できるのか。開会まで1カ月を切る中、政権与党でもいまだ疑念は晴れていない。東京などの緊急事態宣言が延長された5月半ば以降は、首相に中止を求める直言も相次いだ。

東京五輪・パラリンピックの開幕まで1カ月を切りました。世界が新型コロナ禍にさらされる中の五輪は、何を問いかけているのか。6回の連載でお伝えします。

 「この状況を考えれば、中止…

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この記事を書いた人
石井潤一郎
政治部|首相官邸取材キャップ
専門・関心分野
国内政治
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    プチ鹿島
    (時事芸人)
    2021年6月24日19時43分 投稿
    【視点】

    安倍前首相は「感動の政治」だと定義したことがあります。感動とは人々の感情を動かすという意味です。政敵やマスコミに対して強い言葉で攻撃して支持者の感情を動かした。また、SNSでは芸能人との記念写真などを積極的にアップ。共感や親近感を取り込もう

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2021年6月24日11時4分 投稿
    【視点】

    政治はスケジュールとのたたかいです。東京都議選(6-7月)→東京五輪・パラリンピック(7-9月)→自民党総裁任期満了(9月)→衆院議員任期満了(10月)。こうした予定はずっと前からわかっていたものでした。コロナ禍なかりせば、都議選で前回自民

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