第1回中国が警戒する台湾総統に「独立派」からも批判 頼清徳氏の実像は
台北=高田正幸
「中華民国113歳、誕生日おめでとう!」
東京ドームと同じ「ビッグエッグ」の愛称がつく台北ドーム。中華民国の誕生につながる1911年の辛亥革命を記念した「双十節」を5日後に控えた10月5日、祝賀イベントで民進党の頼清徳(ライチントー)総統が声をあげると、会場では大きな歓声があがった。
「お隣の中華人民共和国は75歳を迎えたばかりだ。年齢から言えば中華人民共和国(中国)は中華民国(台湾)の人々の祖国にはなりえない」
会場がざわめいた。野党国民党の韓国瑜(ハンクオユイ)・立法院(国会)院長は思わず笑い出したような表情を浮かべて頼氏を見つめていた。
【連載】「海峡のキーパーソン 台湾・頼清徳総統の実像」
中国が「独立派」として警戒する台湾の頼清徳総統が就任して半年を迎えました。そもそも頼氏はなぜ政治を志し、どのような台湾を目指しているのでしょうか。頼氏をよく知る人物への取材を重ねて、実像に迫りました。
この日と双十節の演説の後、中国は台湾を包囲する大規模な軍事演習を開始。頼氏の発言が中国を刺激したと国際社会は受け止めた。
だが民進党内を含む台湾の一部でも、別の意味で波紋を広げていた。
「独立派」が解体を望む「中華民国」
民進党のある老幹部は「まる…