第1回生活保護利用者、10年で半減 「厳しい指導」「仕送り強要」の疑い
有料記事「最後の安全網」半減の衝撃 生活保護窓口で何があったのか
編集委員・清川卓史社会保障の「最後の安全網」である生活保護。その利用者が約10年で半減した自治体がある。
コロナ禍も物価高騰もあったのに、そんなことがありうるのか。
群馬県桐生市。人口約10万人のまちで生活保護費を分割で利用者に渡し、満額を支給していなかったという前代未聞の問題が明らかになって1年。違法、不適切な制度運用が続々と明らかになっている。
窓口で何が起きていたのか。
母子世帯が激減
まずデータを確認する。
桐生市の生活保護利用者数は2011年度の1163人をピークに翌12年度から減少がはじまった。22年度には547人と半減した。
同じ期間に保護率が横ばい・増加傾向だった全国や群馬県全体のデータとはかけ離れている。
際立つのが母子世帯の激減だ。
市の資料によると、10年から20年の期間に市内の母子世帯数は3割ほど減ってはいる。しかし、11年度には母子世帯26世帯が生活保護を利用していたが、22年度にはわずか2世帯と、13分の1になった。
母子世帯の急減について市は「理由は分析できていない」(小山貴之・福祉課長)と言うのみだ。
窓口の実態はどうだったのか。
群馬県が6月に公表した桐生市に対する特別監査によって、その一端が明らかになった。
面接相談記録などを点検した県監査報告は、「手持ち金や預貯金がわずか、けがや病気で就労できない、家賃・税金の滞納があるなど、急迫した困窮状態と思われる相談者が申請にいたらず、その理由が読み取れない」などの事案が複数あったと指摘する。
申請を却下したり生活保護を必要としなくなったとして「廃止」したりするための前提となる仕送り・扶養が本当に可能なのか、確認できない事案も数多く見つかったという。
「仕送り強要」の疑いも
具体的には以下のようなケースだ。
○世帯収入が生活保護を受ける基準となる最低生活費以下なのに、「家族で協力すれば困窮に陥らないことが確認された」と記録されている。
○年金振込額が本来より少な…