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マニュアルで操る駿馬 フォード・マスタング GTへ試乗 お買い得な本物のマッスルカー

公開 : 2025.01.26 19:05

5.0L V8エンジンに6速MTを組んだマスタング GT ダークホースより優れる運転体験 エンターテインメント性は非常に高い サスは硬め お買い得な本物のマッスルカー 英編集部が評価

高性能なクルマにMTを望むアメリカ人は多い

現在の英国で、10万ポンド(約1950万円)以下の予算で買える、マニュアル・トランスミッションと4本より気筒数の多いエンジンを積んだモデルは、何台あるだろう。かなりの金額だが、選択肢はだいぶ限定される。

直列6気筒のBMW M2とZ4、トヨタスープラに、V6のロータスエミーラ、フラット6のポルシェ718ケイマンか718ボクスターといったところ。しかしもう1台、忘れてはいけない選択肢がある。

フォード・マスタング GT(英国仕様)
フォードマスタング GT(英国仕様)

これには、V型8気筒「コヨーテ」エンジンが載っている。スーパーチャージャーやターボチャージャーで、過給はされていない。古き良き趣を漂わせる、フォード・マスタング GTだ。

アメリカ車といえば、世界に先駆けてATを積極的に採用してきたカテゴリーといえる。だが英国では、最後まで生き残ったMT車の1台を構成している。実際のところ、高性能なクルマにMTを望むアメリカ人は少なくない。

むしろ、巨大な北米市場での需要が少なければ、ポルシェはMTを採用し続けていないだろう。BMWのMモデルも、ATのみのラインナップになっていたはず。

既にAUTOCARでは、マスタング・ダークホースへグレートブリテン島で試乗している。だが、自然吸気のV8へ組み合わされていたのは10速AT。サーキット志向のチューニングと相まって、野性的なポニーカーらしさを充分に味わえてはいなかった。

ほぼすべてがダークホースより優れている

今回試乗の機会が巡ってきたのは、6速MTが組まれたマスタング GT。英国仕様ではベーシックな位置付けにあるものの、先に触れてしまうと、ほぼすべての部分でダークホースより優れていたといえる。

まずは、トランスミッションから確認していこう。クルマのイメージからして、腕力でシフトレバーを押し込むような操作を想像するかもしれないが、実際は驚くほど滑らかで繊細。軽い力と短いストロークで、ゲートへ滑り込ませられる。

フォード・マスタング GT(英国仕様)
フォード・マスタング GT(英国仕様)

せっかちに扱うと、若干引っかかりを感じることはある。しかし、自らギアを選択するという、ATでは得られない楽しみを享受できる。キックダウンを待ったり、勝手にシフトアップすることもない。

クラッチペダルは重めだが、左足が疲れるほどではない。アクセルとブレーキのペダル配置は、ヒール&トウに理想的ではないとしても、不可能ではない。シフトダウン時にエンジンの回転数を合わせてくれる、レブマッチ機能も備わる。

この6速MTは、ダークホース用とはまったく別物とか。トレメク社製ではなくゲトラグ社製で、ギア比はロング。2速で引っ張ると、130km/hに届くほど。マスタング・マッハ1の印象の限り、トレメク・ユニットは無骨な印象だった。

フォード最新のV8エンジンは、以前と異なり、貪欲にトルクを生み出すタイプではない。高めの回転域を保つことで、豪快に走れる。80km/hから勢いよく速度を乗せるには、シフトダウンの必要がある。ショートなギア比の方がベターだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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