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アウディS5 詳細データテスト 強力で高効率なV6MHEV 完成度高いシャシー 内装の質感は不足

公開 : 2025.02.01 20:25

走り ★★★★★★★★☆☆

367psという出力は、先代から特段上がったわけではない。旧S4のガソリン版は354psで、ライバルのBMW M340iは374psだ。とはいえ、われわれとしては十分と思えるパワーで、楽しくて速いスポーツセダンだ。

2021年にテストしたBMW M440i xドライブに比べると、わずかにパワーが落ち、かなり重いS5だが、直線加速はだいたい同じくらい。129km/hまでは0.1秒差に収まっているが、アウトバーンの速度域に入ると、BMWがやや優勢だ。0−100km/hが4.3秒というのはかなり速いし、これ以上のパフォーマンスがほしくなることはそうそうないだろう。

パワーは十分で、速さも文句なし。ただ、トランスミッションやハイブリッドパワートレインには、もう少しファインチューンが必要だ。
パワーは十分で、速さも文句なし。ただ、トランスミッションやハイブリッドパワートレインには、もう少しファインチューンが必要だ。

パワーの使い方は驚くほど緻密だ。もっと派手に出すこともできただろうが、そうしなかったことを歓迎したい。これ見よがしな走りを望むユーザーばかりではないだろうし、それが希望ならRS5を待てばいい。

日常使いでは、このV6はすばらしくスムースで静かだ。走行モードをダイナミックにすると、エキゾーストノートがやや高まるが、常に上品さは失わない。

少なくとも室内では、V6特有のサウンドはとくに感じない。音の性質はむしろM340iの直6に近く、スムースでハスキー。人工的な感じはなく、特定の回転数で内部からのメカニカルな打撃音がかすかに出る。

ハイブリッドシステムは、このパワートレインに新たな広がりを与え、市街地を流したり、ひどい渋滞の中をノロノロ進んだりするときにはガソリンを浪費しなくて済む。モーター出力はたったの24psなので、エンジンを目覚めさせないようにするにはペダルの踏み込みをきわめて軽くすることが求められる。とは言え、それもゲーム感覚でチャレンジすればおもしろいかもしれない。

比較的大きいバッテリーのおかげで、S5は電力だけでもまずまずの距離をカバーする。加速や回生の際にはわずかに唸りを上げ、ちょっぴり個性を付け加えている。おかしなことに、バッテリーの充電量をモニターする方法は用意されておらず、そのせいで低電力量時の性能テストができなかった。ただし、感覚的にパフォーマンスの低下はわからなかった。

トランスミッションは7速DCTとなったが、われわれとしては8速トルクコンバーターATを使い続けてほしかった。DCTは変速スピードに明らかな優位性が見られず、低速ではモーターのおかげでまごつきが消されるが、低いギアでシフトダウンする際や、急加速する際などにクルマがよろめく。カタカタいうのもはっきり聞こえる。

場合によっては、エンジンとモーターを切り替えるとき、どちらかがうまく接続できていないような唸りが多少ながら聞こえた。このドライブトレイン、コンセプトは将来有望だが、明らかにもう少し磨きをかける必要がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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