トンガで大規模な海底噴火、周辺国が津波警戒 日本やアメリカでも潮位上昇

動画説明, トンガで巨大な海底噴火 その瞬間の衛星画像

南太平洋の島国トンガ諸島で15日午後5時10分(日本時間午後1時10分)ごろ、海底火山が噴火した。日本とアメリカでは、津波が発生する恐れがあるとして、各地の当局が太平洋沿岸地域の住民に海岸から離れるよう呼びかけている。

大規模噴火を起こしたのはトンガ沖にあるフンガ・トンガ フンガ・ハアパイ火山。その爆音は南太平洋全域に響き渡り、アメリカまで到達した。

この噴火で、1メートル以上の波がトンガに押し寄せた。

日本の気象庁は津波が予想されるとして、奄美群島・トカラ列島や岩手県に津波警報を、太平洋側の広い範囲に津波注意報を出した。鹿児島県奄美市小湊では15日午後11時55分に、1メートル20センチの潮位上昇が観測された。奄美群島・トカラ列島の津波警報は16日午前7時30分に、岩手県の津波警報は同11時20分に、それぞれ津波注意報に切り替わった。

アメリカの気象当局は、強い潮流や波、沿岸部で洪水が発生する恐れがあると警告。ハワイや西海岸の各地で潮位上昇が観測された。

トンガの被害

トンガの首都ヌクアロファは、火山からわずか65キロの距離に位置する。同国の多くの地域は火山灰に覆われ、電力や電話回線、インターネットサービスがほぼ全面的に停止している。負傷者や被害の程度は今も分かっていない。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、教会や複数の家屋の中に波が流れ込む様子が映っている。目撃者の話によると、火山灰は首都に降り注いだという。

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ソーシャルメディア上の動画には、低地から逃げようとする車で渋滞が起きている様子が映っていた。

住民のメレ・タウファさんは、家族が夕食の準備をしているときに噴火が起こったと語った。タウファさんの弟は近くで爆弾が爆発したと思ったのだという。

「私はまず直感的に、テーブルの下に隠れました。妹をつかんで、両親や家の中にいる人たちに同じように身を守るよう叫びました」と、タウファさんはニュージランドのニュースサイト「stuff.co.nz」に述べた。

気が付くと、家の中に水が流れ込んできていたという。

「至る所で悲鳴が聞こえました。安全な場所を求めて、みんな高台に避難するよう叫んでいました」

トンガの地質学サービスによると、火山から流れ出るガスや煙、灰は上空20キロの高さにまで達したという。

A map shows location of Tonga in the South Pacific, and a close-up shows the vast plume of ash and steam seen from a satellite

画像提供, EPA

画像説明, 上段:トンガ(Pacific islands of Tonga)周辺の地図。下段:海底火山の噴火の瞬間。トンガの首都ヌクアロファ(Nuku'alofa, capital of Tonga)に火山灰が降り注いだ 出典:EPA/トンガ気象サービス
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近隣の島国の状況

フィジーの首都スヴァの当局によると、最初の8分間の噴火は非常に激しく、約800キロ離れた同国でも「大きな雷鳴」のような音が聞こえたという。

フィジー政府は津波注意報を発令し、沿岸部の住民に避難所を開設した。ヴァヌアツも同様の警告を発した。

オーストラリアの東海岸と南部タスマニア島の一部にも津波警報が発令された。豪政府の報道官は、スコット・モリソン首相とマリーズ・ペイン外相が状況を監視しており、要請に応じて支援を提供する用意があると説明した。

トンガから2300キロ以上離れたニュージーランドの国家危機管理庁は、北島の北部および東部の沿岸地域で「強くて異常な潮流や、海岸での予測不可能な潮位の上昇」が発生する可能性があると発表した。

ニュージーランド・オークランド大学の火山学者、シェーン・クローニン教授は、今回の噴火はトンガで起きたものとしては過去30年で最大規模だと述べた。

「かなり大きな噴火だ。少なくとも過去10年間で、より重要な意味をもつ噴火の1つと言える」と、クローニン教授はBBCに語った。

「最も注目すべき点は、噴火がいかに速く激しく広がったかということだ。今回の噴火はより大きく、横方向に広く、より多くの火山灰を噴出した。トンガに降り積もった灰は厚さ数センチに及ぶと思われる」

ニュージーランドの気象予報機関「ウェザー・ウォッチ」は、「今回の噴火によるエネルギーの放出はただただ驚くべきものだ」とツイート。「ニュージーランド全土でソニック・ブーム(衝撃波によって生じる爆発音)を聞いたとの報告が複数上がっている」と付け加えた。