トンガ大規模噴火、「最大8万人に影響」 NZと豪が被害調査
国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)は18日、海底火山の大規模噴火とそれに伴う津波が発生した南太平洋の島国トンガについて、最大8万人が影響を受けた可能性があるとBBCに話した。ニュージーランドなどはこの日、軍用機を派遣して被害調査を開始した。
15日午後5時10分(日本時間午後1時10分)ごろ発生したフンガ・トンガ フンガ・ハアパイ火山の噴火では、火山灰が空高く吹き上げられ、爆音は2383キロ離れたニュージーランドでも聞こえた。この地域における噴火としては、過去数十年で最大規模とされる。
この影響で、トンガに高さ1.2メートルの高波が押し寄せるとの警報が出されたほか、日本やアメリカなどでも津波警報が発令された。トンガの島々はその後、火山灰に覆われ、停電が発生し、通信も途絶えた。
これまでのところ死者は報告されていない。衛星画像からは、トンガ中心部から離れたいくつかの島が完全に水面下に沈んだ状況がうかがえる。
IFRCのフィジー事務所のケイティ・グリーンウッド氏は、緊急支援が必要だと説明。
「噴火や津波、噴火が原因の浸水の被害を受けたのは、トンガ全域で最大8万人に及ぶ可能性があるとみている」と述べた。
現地情報が限られる中、ニュージーランドとオーストラリアは17日、被害状況を調べるため軍用機を派遣した。
ニュージーランドの国防軍は、「一帯と、海抜が低い島々の被害の初期調査を支援」するため、航空機1機が出発したとツイートした。
同国のジャシンダ・アーダーン首相は16日、津波が「深刻な被害」を引き起こしたと説明。飲み水は火山灰で汚染されているとされ、欠乏していると話した。
また、トンガの一部電力と携帯電話回線が復旧しつつあるとした。
トンガ駐在のニュージーランド外交官ピーター・ランド氏は、現地の状況について、火山灰が降り積もって「月面のようだ」と話した。
援助団体によると、火山灰の影響で、当局は住民らにボトル入りの水を飲むよう呼びかけているという。また、肺を守るためにマスク着用を指示しているという。
現地の映像では、火山灰で空が暗くなる中、低地から避難する人々が乗った車の渋滞が発生したことがわかる。この何時間か後、トンガではインターネットや電話の回線が断絶し、全人口約10万5000人との連絡がほぼ途絶えた。
今回の大規模噴火を起こす数日前から、海底火山では噴火がみられていた。トンガ気象庁は硫黄とアンモニアの臭いが報告されているとして、警戒を呼びかけていた。
津波が火山付近だけでなく太平洋の各地で発生した原因については、科学者らが解明に取り組んでいる。「気象津波」と呼ばれる、気圧の波が起こす現象だった可能性や、海底火山の未確認の崩壊が原因となった可能性なども検討されている。