世界最高齢74歳の野鳥が産卵 コアホウドリの「ウィズダム」

「Z333」のタグが付けられたウィズダム(左)と、卵を温めるパートナー

画像提供, アメリカ魚類野生生物局

画像説明, 「Z333」のタグが付けられた「ウィズダム」(左)と、卵を温めるパートナー

世界最高齢とみられる74歳前後の野鳥が卵を産んだと、アメリカの生物学者らが発表した。

卵を産んだのは、「ウィズダム」と名付けられたコアホウドリ。太平洋のミッドウェー環礁国立野生生物保護区で、最新のパートナーと共に卵を世話している様子を、米魚類野生生物局(USFWS)が撮影した。

アホウドリの寿命は通常12~40年だが、ウィズダムは1956年、5歳くらいの時にタグ付けされた記録が残っている。

ウィズダムは直近では2021年に自分の卵を孵化(ふか)させた。生涯で30羽以上のヒナを育てたと考えられている。

USFWSはソーシャルメディアで、ウィズダムが今年、新しいパートナーと一緒にいると説明。以前のパートナーだった「アケアカマイ」はここ数年、姿を見せていないとした。

アホウドリは通常、同じパートナーと生涯を共にする。ウィズダムはこれまでに少なくとも3羽のパートナーと死別していると考えられている。

同保護区を監督している野生生物学者、ジョン・プリスナー氏はBBCのラジオ番組で、ウィズダムは産卵のためにミッドウェー環礁を訪れる300万羽のコアホウドリの一員だと話した。

また、他の鳥でも最高年齢は45歳と、ウィズダムほど長生きしている鳥を知らないと述べた。

「ウィズダムは世界中の人々の関心を引きつけているようだ。毎年、ウィズダムの帰還を息をのんで待っている」

プリスナー氏によると、ウィズダムにはまだヒナを育てるエネルギーと本能が備わっているようで、この卵が孵化する確率も70~80%あるという。

アホウドリの親は抱卵の役割を分担し、ヒナが孵化すると、餌を与える役割も共有する。

ウィズダムは、1956年に卵を産んだ後に初めて識別され、タグ付けされた。コアホウドリは、5歳未満での繁殖は確認されていない。

ミッドウェー環礁はハワイ諸島の一部だが、米ハワイ州には含まれず、アメリカの未編入地域とされている。

この野生生物保護区は、アホウドリの世界最大のコロニーとなっている。