【米中間選挙】 なぜこんなに時間がかかっているのか 両院とも勝敗決まらず
米中間選挙の投票日から2日が過ぎたが、10日夜(日本時間11日朝)の時点で連邦上下両院とも、与野党のどちらが掌握するのか明確になっていない。いまどんな情勢なのか。なぜこれほど時間がかかっているのか。
下院
全435議席が改選となる下院は、与野党いずれも過半数の218議席以上を獲得できていない。
ただ、BBCが提携する米CBSニュースは、野党・共和党が211議席を確保したとしており、下院での主導権獲得へと近づいている。ジョー・バイデン大統領率いる政権党の民主党は、193議席を獲得したとされている。
上院
上院も与野党どちらが握るのか決していない。定数100のうち、今回の選挙では35議席が改選となった。
これまでに確保している議席は、非改選も合わせ、民主党が48、共和党が49となっている。民主党は50、共和党は51に達すれば、上院の主導権を握る(議決で同数となった場合、議長を務める副大統領が決定票を投じられるため)。
まだ勝者が確定的になっていないのは、アリゾナ、ネヴァダ、ジョージアの3州。
アリゾナは民主党候補がリードしており、ネヴァダは互角の争いになっている。ジョージアはどの候補者も得票率が50%に届いておらず、州法の規定に沿って、来月上旬の決選投票の実施が発表されている。
郵便投票と期日前投票
未確定の初期データだが、今回の選挙では有権者全体の約47%に当たる1億1234万人超が全国で投票したとされる。2018年中間選挙より低い数字だが、一部の州では投票率が記録的な高さになった。
期日前投票と郵便投票をした人は4200万人に上り、2018年の3910万人より増えた。このことが、集計に時間がかかっている要因の1つになっている。
郵便投票の扱いは州によって異なる。ペンシルヴェニアなど8州では、投票当日にならないと処理を進められない。また、メリーランド州には、投票翌日の午前10時まで開票できない規定がある。投票日前に開票作業を進められるのは10州だけだ。
投票日の後に届いても、投票日に投函されたなら有効票として集計するのは19州に上る。それらの州は、郵便投票が届くのを待つ期間を設定している。一方、アリゾナ州は、投票日までの到着分しか認めていないが、最終集計を出すまでに最大20日間かけられるとしている。
再集計と決選投票
僅差の接戦となった場合や、州によっては候補者から要請があった場合に、再集計が実施される。これも、結果確定が遅れる原因となりうる。
再集計の要請が可能なのは41州と首都ワシントン(コロンビア特別区)。22州では条件次第で自動的に再集計となる。
ジョージア州の上院選は、来月6日に決選投票が行われる。州法で、当選者は有効票の50%以上を獲得していなければならないと定められているためだ。同州では2020年の上院選でも決選投票となった。
どの州で時間がかかっているのか
まだ全国各地で集計が続いているが、遅れが最も目立つのがアリゾナ州だ。同州では投票の圧倒的多数が郵便によって行われた。
同州当局は選挙前、集計には最大12日間かかるとしていた。投票翌日の9日時点で、数十万票が未集計だった。
ネヴァダ州でも未集計の票が多い。ラスヴェガス・クラーク郡では何万もの票がまだカウントされていない。
他の国でも起きていることなのか
開票作業に時間がかかる国は他にもあるが、アメリカほど長期間かかる国はほとんどない。アメリカは投開票のシステムが州によってばらばらなことが大きい。
例えば、今月1日にあったイスラエルの総選挙では、結果が3日に発表された。先月30日のブラジル大統領選の決選投票は、同日中に結果が判明した。
ヨーロッパではスウェーデンの選挙が、投票率が高く僅差となって、結果が遅れやすいとされている。9月11日にあった同国の総選挙では、結果の速報が出たのは15日で、正式結果はそれから約1週間後に発表された。
インドネシアで2019年4月17日にあった大統領選では、結果は1カ月以上あとの5月21日に発表された。それでも当初の予定より早かった。同国では投票所が80万カ所以上あり、開票作業は市民らが見ることができる場所でほぼ手作業で行われる。