12月3日から新たな決済・金融連携プラン「auマネ活プラン+」がスタート。
撮影:小山安博
KDDIは11月26日、金融・決済領域と連携した通信料金プラン「auマネ活プラン+」を発表した。
2023年9月から提供されていた「auマネ活プラン」を強化したもので、月額料金がアップした代わりにPontaポイントへの還元が強化された。12月3日から提供を開始する。
既存のプランのリニューアルとなるため、auマネ活プランは12月2日でプラン変更や新規申し込みの受け付けが終了する。
決済の還元を大幅に「テコ入れ」
他社に先駆けて提供を開始したauマネ活プラン。特に金融連携が特徴だったが、決済連携に関しては後発に劣っていた。
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決済サービスとの連携でポイント還元を強化した通信料金プランは、携帯3社が力を入れている。
KDDIは2023年9月に業界で初めてのスマホ金融・決済連携プランとして「auマネ活プラン」をスタートさせ、2024年7月には契約者が100万を突破した。11月には140万を超えて、auスマホの新規契約者の3人に1人が選択しているほど好評になった。
auマネ活プランの契約者は、特典を提供する「au PAYカード」の決済単価や「au PAYゴールドカード」(年会費1万1000円税込)の利用比率、スマホ決済「au PAY」の決済単価、「auじぶん銀行」の預金残高の利用がそれぞれ多くなっており、解約率も減少する囲い込みや利用促進策として順調な成果となっていた。
金融・決済サービスの利用が増え、通信契約の解約率も低下して長期の利用に繋がる結果に。
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ただ、ゴールドカード特典が1年限定である点や、au PAYでの決済に対する還元が月150ポイントまでといった点など、不満の声も寄せられていた。
さらに他社が決済ポイントでの還元を強化していることから、ポイント還元の強化が必須と判断した。
新たに登場したauマネ活プラン+は、KDDIが先行したauじぶん銀行の円普通預金金利の優遇(税引き前年最大0.41%)、クレジットカード積立投信の還元最大3%(12カ月限定、それ以降は最大2%)は維持しつつ、au PAY決済で最大10%還元などを追加する。
2つの特典を活用することで、コード決済のau PAYが最大10%還元となる(それぞれ最大1500ポイント、最大1000Pまで)。
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au PAYの決済では、これまでau PAYで1%・最大150ポイント/月までだった還元を最大5%・最大1500ポイント/月に拡大。
au PAYゴールドカードだと1.5%・最大250ポイント/月までだった還元を、同じく最大5%・最大1500ポイント/月に拡大した。
auマネ活プラン+の特典では、最大4000ポイントの還元。
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これによって、従来最大400ポイントだった決済での還元が、最大3000ポイント還元されるようになった。
これまでは毎月固定のau PAY残高への還元として、au PAYカード保有で300円相当、auじぶん銀行口座保有で300円相当、auスマホの料金支払いをauじぶん銀行かau PAYカードに設定すれば200円相当、合計最大800円相当が還元されていた。
毎月固定の還元だったカードや口座の保有状況について、ポイント還元となり、還元額がプラスされる。
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これもauマネ活プラン+ではポイント還元となり、それぞれ300ポイントずつになり、さらにauスマホ料金支払いは、「au PAYカードを設定してその引き落とし口座をauじぶん銀行口座にした場合」に400ポイント還元となり、最大1000ポイント還元となった。
これらを足し合わせると、auマネ活プラン+だけで毎月最大4000ポイントの還元となる。
auマネ活プラン+はデータ使い放題(月間200GB超で最大5Mbpsの通信制限、テザリングは月間60GBまで)で月額8778円(税込)。
auスマートバリュー適用時の1100円割引と、還元分をauマネ活プラン+用の通信料金に充当することで、月額3678円(いずれも税込)に抑えられる。
固定回線とのセット割引であるauスマートバリューの割引を加えて、実質月額3678円となる。
撮影:小山安博
従来のauマネ活プランは、通信プラン月額7238円に各種の特典を利用することで月額5338円となっていた。そのため通信料金自体は1500円程度の値上げとなっているが、実質料金は2000円近く下がった計算となる。
KDDIのパーソナル事業本部マーケティング本部副本部長の渡邊和也氏は、auマネ活プラン+が他社の同種プランに比べて月額料金を抑えつつ、各種特典での割引が適用される点を特徴と説明する。加えて、auじぶん銀行とauカブコム証券の金融サービスの特典もプラスされる点がメリットだとしている。
「日本の預貯金率は50%を超えているので、どうせ銀行に預けるなら金利の高い口座を利用してもらえれば」と渡邊氏はアピールする。
KDDIパーソナル事業本部マーケティング本部副本部長の渡邊和也氏。
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ただし今回、金融サービスの特典の強化は見送られた。
auカブコム証券におけるクレジットカード積立の還元がau PAYカードの場合に1%から0.5%へと下げられたことで、auマネ活プラン+での還元率は最大1.5%から最大1%へと減少した(au PAYゴールドカードでの還元率は変更なし)。
渡邊氏は「金融・証券の特典も増やしてほしいという声はあった」と認めつつ、まずは決済の拡充を重視したという。
「今後とも、通信と金融の融合に関しては先駆者として連携を維持しつつ、業界をリードできる立場を目指す」(渡邊氏)
auカブコム証券のポイント還元率の変更(12月6日利用分から)。auマネ活プラン+ではこれにプラン特典としてau PAYカードで0.5%の還元を追加する(合計1%還元)。
出典:KDDI
クレジットカード積立の特典。au PAYゴールドカードだと最大3%。
出典:KDDI
こうしたauマネ活プラン+の特典に加えて、「au PAYゴールドカードのau PAYオートチャージ設定」をすることで常時最大5%・最大1000ポイント/月の還元をする「ポイントアップリワード」も提供する。
au PAYゴールドカード+オートチャージ設定でポイントアップリワードが適用される。ほかのauサービスの設定などで還元率が加算される。
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au PAYは、残高が足りないときにau PAYカードから自動的に足りない分をチャージする「オートチャージ設定」機能がある。
これにau PAYゴールドカードを設定すると1%分のポイント還元をプラス。さらに、以下の条件をそれぞれ達成すると各1%ずつの還元を追加する(すべてau PAYゴールドカードが必要)。
- カードの支払い口座にauじぶん銀行を設定する。
- カードでのauでんきの料金支払い。
- 家族カードの発行と利用。
- ETCカードの保有と年1回以上の利用。
これを加えると、最大5%、月間1000ポイントまでの還元となる。このポイントアップリワードはau PAY支払時の還元となるため、au PAYだと最大2500ポイントの還元となる。
ちなみに、今回の試算は全てau PAYゴールドカードが前提で、年会費1万1000円が必要となる。
au PAYゴールドカード単独の特典もあり、例えば毎月の通信料支払いに対して10%還元があり、KDDIは「年間7000ポイント以上貯まる」としている。
全てあわせた場合の試算として、auマネ活プラン+とポイントアップリワードで最大4000ポイント還元、auサービス利用での毎月1000ポイント還元と5000ポイントの還元になり、さらにau PAYゴールドカード単独で毎月の通信料支払いに609ポイントが還元される。これにauじぶん銀行の金利とクレジットカード積立のポイントが加算される、という形になる。
auマネ活プラン+とポイントアップリワード、固定ポイント、金融・証券サービス連携、さらにau PAYゴールドカードの通信料支払いに対する還元を組み合わせれば、年間で9万ポイント近くが貯められる。
撮影:小山安博
KDDIの試算では、毎月7400ポイント、年間では約8.9万ポイントが貯まる。
毎月の利用では、au PAYで3.3万円、au PAYカードで3.7万円を利用すれば上限4000ポイントに達するため「無理なく貯められる」としている。
auマネ活プラン+とポイントアップリワードを組み合わせ、コード決済のau PAYとクレジットカードのau PAYカードを併用すると1カ月で最大4,000ポイントが貯まる。2人世帯平均消費支出に対して3.3万円、3.7万円程度。
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また、従来のauマネ活プランは基本的にau PAYゴールドカードを前提としたプランだったが、auマネ活プラン+では年会費無料のau PAYカードも特典が提供されている。
例えば、au PAYカードだとau PAY決済の還元が最大2%・最大1500ポイント/月、au PAYカード決済還元が最大2%・最大1500ポイント/月、クレジットカード積立利用時の還元が最大1%などとなっている。
au PAYカードとau PAYゴールドカードとの違い。
出典:KDDI
他にもKDDIではローソンとの資本業務提携で、ローソン店舗での決済を強化している。
10月2日に「auスマートパスプレミアム」からリニューアルした「Pontaパス」(月額548円税込)を使うことで、ローソンでのau PAY決済利用に対する還元が最大2%となり、auマネ活プラン+とポイントアップリワードの併用で最大12%の還元となる。
渡邊氏は「コンビニの還元としては最強クラス」とアピールする。
コンビニ還元最強クラス、をうたう12%還元。
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なお、auマネ活プラン+での通信プランは無制限とされているが、毎月の利用量が200GBを超えると通信制限を行う。
下り最大5Mbpsへと制限するが、同社では「ごく一部で大量データ通信する人がいるため、公平性などの観点から設定した」としている。なお、テザリング・データシェアは月間60GBまでとなっている。
ライバルのドコモとソフトバンクのとの差は?
各社の金融サービス+無制限プランを比較。
画像:Tech Insiderが作成
他社のプランでは、NTTドコモの「eximoポイ活」「ahamoポイ活」、ソフトバンクの「ペイトク」がライバルとなる。
eximoポイ活は月額料金が1万615円で、決済利用において上限5000ポイントまで還元し、様々な割引を充当することで実質月額2728円になる。
カード種別によって「dカード PLATINUM」は10%(キャンペーン期間中は10%+1%)、「dカード GOLD」は5%(同)、「dカード」は3%(同)を還元する。
例えばeximoポイ活はキャンペーンで+10%還元で、Amazonだと12%還元。
出典:KDDI
ahamoポイ活は容量110GBで月額7150円。これに対して決済におけるポイントが上限4000ポイントまで還元される。
ポイント還元分を基本料金に充当すると、実質月額2750円(税込)で110GBの容量が使えることになる(基本料金2700円にポイント充当後、オプションを加算した後に消費税を適用)。
ソフトバンクのペイトクは、月額9625円の無制限プランに対して、3回線以上の新みんな家族割(-1200円)、おうち割ひかりセット(-1100円)、PayPayカード割(-187円)を差し引いた7128円に対して、PayPayでの買い物に対する還元を加算することで割引を提供するもの。
ペイトクはPayPayの決済で最大+10%(キャンペーン期間中)。
出典:KDDI
PayPayは基本の還元率が0.5%だがこれに+5%、最大4000円相当までを還元。基本料に充当することで、実質月額3128円で利用できるようになる。
容量30GBのペイトク30(月額7425円)、容量50GBのペイトク50(月額8525円)も用意され、還元額はそれぞれ+1%・最大1,000円相当、+3%・最大2500円相当となっている。
いずれも当初3カ月は加算する還元率が倍になるキャンペーンも提供する。
auマネ活プラン+の場合、コード決済のau PAYとクレジットカードのau PAYカードでそれぞれ還元額が割り当てられていて、分かりづらい点はデメリットだが、クレジットカードしか使えない加盟店でも還元対象となるメリットはある。
auマネ活プラン+の状況が確認できるポータルサイトも提供。
撮影:小山安博
KDDIでは決済特典の達成状況や各特典の適用状況などを確認できるポータルサイトを提供しており、au PAYとau PAYカードの上限獲得ポイントまであとどのくらいか、などといった確認ができる。
また、利用状況に応じてどの程度お得になるかといったシミュレーションも同社サイト内に提供するので、プラン変更前に確認するといいだろう。