→第1回 mixiを使っているのは誰なのか、そして新インタフェースの理由
→第2回 サービス開始から2カ月、「mixiページ」は今どうなっているのか
→第3回 足あと廃止は改悪なのか、進歩なのか――ユーザーコミュニケーションの重要性
→最終回 1500万人を満足させることは可能か――問われる「ネットベンチャーの雄」の舵取り
2011年、mixiは大きな機能変更をいくつか行っている。その一つが本連載の1回目でも触れた新しいUIの導入だ。
もう一つ、ユーザーからの反応の大きさ、という点において大きな波紋を広げたのが、6月13日から始まった「『足あと』を『訪問者』に変更する」という機能変更だった。
「足あと」とは、自分の日記やプロフィールページなどを、いつ、誰が見にきたかを把握できるもの。足あとページにアクセスすると、訪問者がいつアクセスしたかというタイムスタンプとともに、マイミクやそれ以外の訪問者の名前が新着順にずらりと並んでいた。自分が訪問したことを相手に気づかれたくないときは、つけた足あとを消すこともできる。
足あとはmixi初期からの特徴的な機能であり、良いという人と悪いという人と意見が分かれることが多い(気にしない、使っていない、という人も大勢いる)。足あと機能を活用する人は、自分が書いた日記がマイミクに読まれているのかどうかを足あとを確認して把握したり(これが日記を書くモチベーションになる、という声もよく聞く)、コメントは残っていなくても足あとがあった人のページへ訪問の“お返し”をし、これがきっかけで新しい友人と知り合ったり……という使い方をしていた。また自分のページへの総アクセス数を「ペタ」と呼び、足あとページを見て1万人目(=1万ペタ)など切りの良いタイミングでアクセスした人を「キリ番は○○さんでした」などと日記やプロフィールページに書く、というmixi独自の文化もあった。
一方で、「何時何分に誰が見に来ているのかが分かるなんて、ストーカーのようで気持ちが悪い」「足あとをチェックして『自分の日記を読んでいるのにコメントを残さず”読み逃げ”する人がいる』と怒る、そういうmixiの文化がイヤ」(参照記事)などと、「mixiが嫌いだ」と言う人が理由の筆頭に挙げることが多いのもまた足あと機能だった。
足あとに代わり、2011年6月から導入された『訪問者』は、直近7日間(のちに5日に変更)に自分のページにアクセスした人数と、訪問者の名前をまとめて見ることができるという機能だ。「友人」「友人の友人」などと分けて表示されていることもあって、誰が何人見に来たかは一目で分かるが、通知が1週間分まとめてでリアルタイムではない点、タイムスタンプは表示しない点が「足あと」と大きく異なる。
この機能変更は、予想外の波紋を呼び起こした。足あと機能の改変に抗議するコミュニティに20万人以上のmixiユーザーが参加し、1万7000人以上が「mixiの足あと改悪の撤回を願う」署名を行ったのだ。8月、集められた署名はコミュニティのメンバーからmixiのスタッフに手渡しで渡され、取材NGだったというその様子は、ガジェット通信の記事になった(参照リンク)。
この記事によれば、署名を受け取ったミクシィの担当者は3人いたが、名刺交換をせず、名札などもつけていなかったため、どのような立場の誰だったのかは分からないという。また、署名を受け取ったことに対してmixiからユーザーへ向けたコメントがなかったこともあって(その後ガジェット通信編集部が広報部と書面でやりとりしている、参照リンク)、一部mixiユーザーの間で「署名を渡したのに、クレームだと思われているのではないか」といった不信感が広がることになってしまったのだ。
ミクシィは足あと改変についてその理由を公式ブログで説明しているが(参照リンク)、足あと廃止に反対したユーザーを納得させるには至っていない。この記事を書く前に、誠編集部ではmixiページを使って上記説明についての感想をアンケートでたずねたのだが、総投票数5048のうち、「納得いかないし、疑問も解消されていない」と答えた人が4457票、「納得がいき、疑問が解消された」と答えた人は48票しかいなかった(参照リンク)。その後も、「セキュリティ上の問題があったのではないか」「リアルタイム処理をやめることでサーバ代を節約しようとしたのではないか」などと、依然ユーザー間では推測が飛び交っている。
足あと機能廃止の本当の狙いは何だったのか、コミュニティ参加者の署名を受け取ったことへの感想は……以下、原田明典副社長へのインタビューの様子を掲載する。
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