伊勢丹が猫を虐待 “目くり抜き&著作権侵害”の看板設置、猫写真家が提訴し一審で原告勝訴
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新宿伊勢丹3階の婦人服ブランド・アンダーカバーは12年12月から13年1月末にかけて、猫写真家の写真集に載っている猫を無断で切り抜き、猫の目をくり抜いて看板を作成。三越伊勢丹は当の写真家がそれを発見するまで漫然と、著作権侵害かつ猫虐待の看板を放置した(写真はイメージ、写真素材足成を基に作成) |
- Digest
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- 猫の目がくり抜かれた看板
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猫の目がくり抜かれた看板
訴状や準備書面、一審判決文などの裁判資料等によると、原告の新美敬子氏(50代前半、実名)は、子どもの頃から自宅の猫を撮り始め、高校卒業後にテレビ番組制作の会社に勤め、海外取材の傍ら現地の猫を撮り始めた。
その後独立して、世界中の犬猫との出会いを求め、自腹で世界を旅し、これまでに実に世界55か国、約200地域を回り、「猫s(NEKOS)―世界の猫ポートレート」(93年/誠文堂新光社刊)、「旅猫三昧」(98年/講談社刊)」、「新美流 猫がよろこぶ写真の撮り方」(02年/河出書房新社刊)、「職業 犬猫写真家―猫とわたしの東京物語」(06年/日本カメラ社刊)などの猫本や犬本を計約60冊も手掛けている。その他、雑誌への寄稿、講演会、写真展も行い、フリーの猫写真家(犬も撮影するが近年は主に猫)として生計を立てている数少ない人物である。
その新美氏は、2013年1月29日、信じ難い光景を目の当たりにした。
この日、新美氏は東京都内の「伊勢丹新宿店」3階の婦人服ブランド「アンダーカバー」に立ち寄った。
すると、この店にある、横2m×縦2mと、横3m×縦2mの二面看板に、猫の写真が300~500匹ほど貼り付けられていた。その多くは猫の顔だけ切り抜かれており、なんと猫の目が一様にくり抜かれていた。しかも、猫のなかには、あろうことか、新美氏の写真集にある猫が大量に貼り付けられている。
猫の大量虐待写真といってよいものだった。
もちろん、この写真使用に新美氏の許可はなく、看板に新美氏のクレジットもなかった。そして、この看板には、大きな文字で「UNDERCOVER JUN TAKAHASHI」と記されていた。これはアンダーカバー社長兼デザイナーの高橋盾氏を冠したブランド名だ。
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上は「新宿伊勢丹」。下は同3階の婦人服ブランド「アンダーカバー」(14年8月11日撮影)![]() |
看板を観た新美氏は、伊勢丹の店員を呼び、著作権侵害である点を指摘し、看板は撤去せず、猫の写真が隠れるようにした状態で残しておいて欲しい、と伝えた。
翌1月30日、伊勢丹側は白地のパネルで看板を覆った。
2月19日、新美氏は弁護士と共に伊勢丹新宿店3階に赴き、看板の写真を撮った。その写真を精査した結果、新美氏の写真集5冊、延べ156匹の猫が使用されていたことが判明した。写真集と、使われた猫の延べ数は以下の通り。
「化け猫のつくり方」(00年/雷鳥社刊)、43匹(看板に使われた猫の延べ数、以下同)
「猫を旅する」(01年/河出書房新社刊)、30匹
「猫っ旅」(04年/文春ネスコ刊)、28匹
「Cat Trip Vol.1 世界の旅ネコ編」(05年/ぴあ刊)、18匹
「Cat Trip Vol.2 世界の子ネコ編」(05年/ぴあ刊)、37匹
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著作権侵害プラス猫虐待の看板に使われた猫写真家・新美敬子氏の写真集五冊。(上から三番目はヤフーショッピング、それ以外はアマゾンより)![]() |
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アンダーカバー代表取締役社長兼デザイナーの高橋盾氏(2012年2月7日付EYESCREAM.JPより)
三越伊勢丹代表取締役社長の大西洋氏(同社HPより)
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2014/08/14 平成25(ワ)13369 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=84243
著作権侵害はまだしも、「虐待」呼ばわりにはジョニオさんもびっくりだろう・・・ でも動物好きや飼い主からしたら屈辱だよなー ううむ。
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読者コメント
アンダーカバー代表取締役社長兼デザイナーの高橋盾か・・・デザイナーの癖に著作権を甘く見ているのか?
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