2.転勤可能性と転勤サイクルを見通せる ♯【勤務地を選べ家庭生活と両立できる】
❐勤務環境―生活軸『いい会社はどこにある?』
勤務地を選べる/選べない 会社・職業 |
いい会社の条件#【勤務地を選べ家庭生活と両立できる】の、2つめの基準が、住む場所を自分で決めることができ、転勤を見通せることである。みずほ銀行では、辞令が出る当日に転勤を言い渡され、本当に1週間以内に移動しなければならない。みずほ銀は全国に支店がある。「例えば那覇支店の勤務者が、1週間以内に網走支店へ行ってくれ、という辞令を受けることも十分ありえます」(若手社員)。別のみずほ銀30代社員は、入社後の10年余りで、大阪府・兵庫県・神奈川県の3拠点を経験。神奈川への異動の際は「湘南ライフを楽しんでいこうかと思います」と、転勤生活は苦ではないようだった。
- Digest
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- 転勤族を生み出す3つの要件
- 転勤と表裏一体のジェンダー問題
- 自衛隊より少ない大手金融総合職の女性比率
- 転勤ブロック制と賃金減のトレードオフ
- 「お金を貰えるなら転勤してもよい」
- 転勤ブロック制度がある会社
- 地位と待遇の差が合理的範囲内かつコース転換可能か
- 海外赴任族とプロジェクト単位の出張
- 顧客が大手
- 専門職は支店に行かない
- ある程度読める「研究開発職」
- 医療・ガテン系は転勤なし
- 「超・地元安定就職」の日本郵便一般職
- 転勤コースの人数比が高すぎる
- 通えるのに1人暮らし強制のユニクロ・GU
- 情報開示による市場原理で
- 配偶者が転勤した場合
転勤族を生み出す3つの要件
第2章生活軸の構成(本稿は単行本『いい会社はどこにある?』の元原稿 《一部アップデート完全版》です |
日本の法体系では、会社側は社員を解雇できない代わりに、実に幅広い「転勤命令権」を持っており、全国どこへでも転勤を命じることができる。従わなければ懲戒解雇してよい。転勤辞令は、原則として法的にかなり強い。
ただし、雇用契約書で勤務地の範囲が予め明記されていたり、「労働者が通常甘受すべき程度の不利益」を著しく越えている場合の転勤命令は、違法である。※
※NTT東日本事件では、北海道→東京への転勤を伴う異動辞令が、父親の介護の必要性が強いことから「育児介護休業法」の趣旨に照らして不利益が著しく、権利濫用だとして違法認定された(札幌高裁2009年3月26日判決)。会社側に150万円の慰謝料支払いを命じる判決が最高裁で確定した。
全国展開する企業は、転勤の有無によってコース別採用を行うことで、入り口から分けている。ほとんど別会社に入ると思って良い。だから、大手金融の総合職に、転勤ナシの一般職について聞くと、キャリアパスから報酬から仕事内容から、ほとんど何も知らない。逆もまた然りである。よって新卒・中途とも、入社時にそうとう考えなければいけない。
いわゆる「転勤族」は、下記3つの要件を満たす場合に発生する。
①広域性:ビジネスモデルとして全国に正規雇用職を常時配置する必要アリ。②生産性:同一拠点に長期で所属させると人材育成が難しく、組織全体の生産性が落ちる。
③機動性:拠点を増減する際に社員を解雇できない。
日本では③の解雇規制が厳しいため、必然的に転勤させることで雇用維持する必要があり、これが国内共通の制約条件となっている。
これら要件を満たすのは、
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