かぶとの緒を締めよ

　なぜかぶとなのか。米国で人気の配信ドラマ「ＳＨＯＧＵＮ　将軍」に着想したそうだが、確かにこの方は、作中描かれる天下取りやどんでん返しが好きかもしれない▼先の日米首脳会談で石破茂首相がトランプ米大統領に贈った「金のかぶと飾り」が話題だ。作った人形店には早速注文が殺到し、納品は来年になるという▼初顔合わせはひとまず成功と評される。「同盟国を１００％守る」と言質を取ったし「彼は強い男」とも言わしめた。就任後２人目の会談相手に選ばれた外国首脳として面目を保った格好だ▼１人目はイスラエルのネタニヤフ首相だった。こちらの土産は「金のポケベル」。レバノンの民兵組織ヒズボラを狙って通信機器を一斉爆発させた作戦にちなむ。パレスチナ・ガザ地区での戦闘と同じく民間人が多数死傷した▼だが、この友人を戦争犯罪者扱いするのは不当だとトランプ氏は不満なのだ。逮捕状を出した国際刑事裁判所（ＩＣＣ）の職員らに資産凍結などの制裁を科す大統領令へ署名した。法より力、と誇示する振る舞いである▼加盟各国が批判の共同声明を出す中で、日本が「ＩＣＣの活動を支持していく」との態度にとどめるのは、日米関係の難しいバランスゆえだろう。初の会談を無事終えた石破首相も「かぶとの緒を締めねば」と、自戒しているに違いない。