- 会員限定
- 2024/08/02 掲載
BYD次の一手は「日本車キラー」、超肝入りPHEV技術「DM-i」がトヨタすら脅かす
日本進出から1年半、BYDの車はどれくらい売れた?
中国の新エネルギー車メーカー「BYD」が日本に上陸をして1年半が経過した。2023年の販売台数は1446台であり、成功だったのか失敗だったのか微妙な数字だ。「中国の車など怖くて乗れない」という拒否感を持つ人が多い日本市場を考えればよくやっていると言えるし、BYDが目標としている「日本の新エネルギー車市場で一定程度のシェアを獲得する」から考えるとかなり寂しい数字だ。
BYDは、バッテリー製造から出発をした企業で、バッテリー技術に強みがある。「低コストで寿命が長く安全性が高いが、エネルギー密度が低い」という特徴を持つリン酸鉄系リチウムイオン電池の構造を工夫して、実質的なエネルギー密度を高めることに成功した「ブレードバッテリー」が核心技術になっている。
これにより、他メーカーを圧倒する性能と価格のBEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)を発売し、中国のNEV(New Energy Vehicle:新エネルギー車)市場を牽引している。
しかし、実はBYDの強みはもう1つある。
バッテリーだけじゃない、BYDが中国EV市場を制せた「技術」
その強みとは、意外なことにガソリンエンジンだ。BYDが発売しているPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:プラグインハイブリッド車)「秦L」「SEAL 06」に採用されている1.5Lエンジンは、「熱効率46.06%という世界最高水準を達成した」と発表している。この高効率エンジンを採用したPHEVは、中国でも売れている。BEVとPHEVの両方が売れることで、BYDは中国のNEV市場でNo.1メーカーの地位を築いた。
日本には、トヨタをはじめとするHEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド車)があり、特にトヨタのTHS(Toyota Hybrid System)は、20世紀の日本を代表する発明の1つだ。枯れた技術であった遊星歯車を洗練させ、エンジン動力とバッテリー動力をシームレスに合成するという機構は、日本のものづくりならではの技術によるものだ。
しかし、現在世界が挑戦しているのはCO2をまったく排出しないZEV(Zero Emission Vehicle:ゼロ排出車)であり、HEVは2035年以降、日本を除く先進国では販売規制される運命にある。
その代替として注目をされているのがPHEVだ。
関連コンテンツ
PR
PR
PR