3500
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/26 06:43 UTC 版)
ローバーは高いポテンシャルを持つP6の動力性能を更に高めることで、英国内のライバルであったトライアンフ・2000との差別化を進め、かつ厳しくなりつつあった米国の排気ガス規制に対応しようと考えた。 そこでローバーは、1960年代初頭にGMがビュイック・スペシャル向けに開発したオールアルミの215型ユニットに着目、米国ではあまりに進歩的であったため不振に終わったこのエンジンの製造権を譲り受けた。このローバー・V8エンジンは比較的軽量かつコンパクトで、P6にも大きな変更を加えず搭載することができたが、ラジエータキャパシティ拡大の関係からフロントノーズの開口部は拡大された。 このV8は欧州車に搭載するパワーユニットとしては強力でもあり(その代わり燃費は論外であったが)、ローバーにおいて熟成され、ローバー系上級モデル向けの汎用エンジンとして非常な長命を保つことになった。当時のP6はもとより、在来型でより上級のP5B、後継型のSD1、更には1990年代のランドローバー・レンジローバーやランドローバー・ディスカバリーにまで継承されたのである。 V8モデルはローバー3500と称され、1968年にデビューし、1977年までに8万1057台が生産された。当初はオートマチック仕様のみであったが、4速マニュアルの3500Sも追加された(米国向け3500SはAT仕様で、派手なホイールやボンネットのエアスクープ、パワーウインドウ等を装備する別モデルであった)。 1967年、ローバーはレイランドに買収され、さらに1968年には合併によって同社がブリティッシュ・レイランドとなるに至って、同クラスのライバルであったトライアンフ・2000/2500とは同一企業内の併存モデルとなった。両ブランドは1977年にSD1が登場するまで並行生産され、市場を分け合ったが、企業合同による方針の混迷や、当時の英国に蔓延したストライキや労働意欲の低下による品質悪化など、英国自動車産業の低迷の悪影響は、P6にも容赦なく襲いかかることとなる。 1970年に受けたマイナーチェンジによりシリーズ2に移行した際には、メーターパネルの刷新など改良点も少なくなかったが、まるで阿弥陀くじのような奇妙なデザインのオーバーデコレートなフロントグリルを与えられた。
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