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ピトー管とは? わかりやすく解説

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ピトー‐かん〔‐クワン〕【ピトー管】

読み方:ぴとーかん

流速計一種流れ総圧計るための先端に穴をあけた管と、静圧計るための側面に穴をあけた管とを用い総圧静圧の差から動圧測定して流速を知る。フランス物理学者ピトーHenri Pitot)が1728年考案


【ピトー管】(ぴとーかん)

航空機対気速度計測する装置
現代では、一部軽航空機を除くほぼ全ての航空機装備されている。
機体によって乱され気流避けるため、通常機首先端側面取り付けられるが、場合によっては主翼垂直尾翼前縁に付けられる場合もある。

フランス水理学者、ヘンリー・ピトーが水流速度測定するために考案したことからこの名がついている

構造二重構造の管で、先端側面に穴が開けられている。
この二つの穴に流体が通ることで、それぞれに加わる圧力の差を計測し、そこから速度割り出すことができる。
前述通り元来水流速度測定するために造られたが、気流速度測定する事も可能であるため、航空機用いられている。

穴が塞がると機能不全陥るため、地上ではカバー取り付けて詰まりを防ぐ。
また、氷点下では着氷で氷が詰まってしまう事があるため、高空ではヒーターなどの防氷装置必須となる。
実際、穴に泥がつまったり、離陸時にカバー外し忘れた事が原因計器故障により墜落した事故存在する

関連指示対気速度 較正対気速度 リムーブビフォアフライト


ピトー管

英語 Pitot tube

先端開口した管を、気流の上流に向け、全圧測定する器具をいう。フランス人ピトーによって考案され単管式のものである。ピトー管で測定される全圧と、壁面などに平行に開いた孔で測定される静圧の差(動圧)から、流体流速求めることができ、風洞などの、気流流速測定するために使われる全圧静圧の差(動圧)をΔp、流速をV、空気密度をρとすると、Δp=ρv{2}÷2の関係があり、これから流速求めることができる。現在は、全圧孔と静圧孔を1本の管に設けたL字形ピトー静圧管が汎用性高く多く用いられている。ピトー静圧管を慣用的にピトー管ということもある。

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

ピトーかん ピトー管 pito tube

流速求め計測器流体流れ方向対する穴と、流れに直角に対する穴とをもつ管をいい、 これをU字管導いて圧力差を測定するもので、定常流における流体流速流量測定用いられる。 (ベルヌーイの定理による)

ピトー管

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 05:04 UTC 版)

プラントルによるピトー管の図面

ピトー管(ピトーかん、英語: Pitot tube)は流体流れの速さを測定する計測器である。発明者であるアンリ・ピトーにちなんで命名され、その後ヘンリー・ダルシールードヴィッヒ・プラントルドイツ語版により改良された。航空機速度計風洞などに使用される。

アンリ・ピトーは1732年11月12日にパリ科学アカデミーでこの流速を直接計測できる発明を発表した。当時ベルヌーイの定理はまだ発表されていなかったため、彼はまったく直感的な根拠によってこの装置を利用した。ピトー管の動作とその使用における合理的な理論をベルヌーイの定理に基づいて調査したのはジョン・エアレイで、1913年のことであった[1]

原理

ピトー静圧管の概念図。黄色い部分には静圧が、白い部分には全圧がかかっており、その差圧を赤色のセンサ部(ダイヤフラム等)で検出する。(注意、図左根本、Ptと書かれた上に本来壁がある。Ptへは白からの圧力のみが伝わる。)

基本的な構造は二重になった管からなり、内側の管は先端部分に、外側の管は側面にそれぞれ穴が空いている。二つの管は奥で圧力計を挟んで繋がっており、その圧力差を計ることができるようになっている。

ピトー管は、先端を流れに正対させて使用する。側面の穴(外側の管)は流れの影響を受けないため、ここには静圧 Ps がかかる。一方、先端にある穴(内側の管)はよどみ点であり、ここには全圧(総圧とも)Pt がかかる。この全圧から静圧を引いた差圧(動圧 Pd )を測定し、ベルヌーイの式を適用することで流体の速度V を計算することができる[2]

機首先端にピトー管を備える F-16。保護カバーから垂れ下がる赤いタグ(ストリーマー)には "REMOVE BEFORE FLIGHT(飛行前に外せ)" と書いてある
F/A-18のピトー管

ある程度以上高速の航空機において、ピトー管は最も一般的な速度計測手段である(飛行船程度の低速が計測下限)。他の航空機に比べ相対的に揚力の少ないジェット機では、特に着陸時の対気速度が分からないのは致命的となるので、離陸前にピトー管カバー取り外しの確認作業が重要である。実際に1996年には、アエロペルーボーイング757が機体洗浄の際にピトー管に取り付けられたマスキングを外さないまま離陸してしまったために正しい高度・速度が検出できなくなって墜落してしまうという事故(アエロペルー603便墜落事故)が起きている。

ピトー静圧管若しくは純粋なピトー管と胴体側面などに設けられた静圧孔とからなる。こうした、速度や高度(静圧は高度指示にも利用される)といった非常に重要なシステムでは、複数のピトー管と複数の計器を互いに独立して設け、冗長性が高められていることが多い。

また、当然のことながら正確な速度を計測できないので全圧をピトー管からセンサや計器へと導くチューブやホースにはリーク(漏れ)があってはならない。

設置位置

正確な測定のために、ピトー管は境界層の外側で、かつ流れの乱れが小さな場所に設置される:

  • 機首先端 - 現代の戦闘機F1 に多い。また、試験飛行を行うプロトタイプの航空機では、さらに正確な計測が要求されるため[注 1]長いブーム(棒)の先端に設けられることがある(これを標準ピトーもしくは計測ピトーと呼ぶことがある)
  • 機首側面 - 旅客機ヘリコプターに多い。横風の影響も考慮してそれを補正するため、ふつう機首の両側面に1対設けられる。最新の大型化した戦闘機では、機首側面に取り付けるものも増えてきている。
  • 翼下 - 単発の小型プロペラ機などで機首に設置できない場合、胴体からやや離れたの下面に置かれることがある。片翼下のみのことが多い(おそらくコストの点から)

機首側面と翼下の場合、流速の遅い境界層から距離をとるために、ふつうL字型に曲げられている。ピトー静圧管ではなく、静圧孔を別に持つようなシステムの場合、横風による誤差を軽減するため、多くの場合、静圧孔は胴体両側面に設けられる。

防氷

気温が氷点下に達する上空では、水分が凍結し、ピトー管や静圧孔を閉塞してしまう可能性がある。速度や高度システムの指示が異常となり、事故に繋がる危険性がある。これを防ぐために、電熱線などによる防氷システムが備えられていることが多い。

ピトー管が関連する事故・故障

  • 実例
    • バージェン航空301便墜落事故
      1996年2月6日バージェン航空ボーイング757型機301便が、離陸直後、機長側の速度計が機能せず、正常だった副操縦士側の速度計も故障していると誤認し、速度超過を避けようとスロットルを絞って失速し墜落。25日間の駐機期間にピトー管カバーを付け忘れていたため、ピトー管にハチが入り込んで巣を作ったものと考えられている。
    • アエロペルー603便墜落事故
      1996年10月2日アエロペルーボーイング757型機603便が、離陸直後、高度計及び速度計が機能しない旨を管制官に通告し、リマに引き返した。しかし、夜間の海上飛行だった為に目測の目印がなく、超低空飛行状態で主翼を海面に接触させ墜落、乗員乗客全員が死亡した。原因は、出発前に機体を洗浄する際にピトー管の静圧孔を保護するために貼ったマスキングテープを、作業完了後に剥がすことを忘れて離陸したためであった。
    • アウストラル航空2553便墜落事故
      1997年10月10日アウストラル航空DC-9がウルグアイ川沿いの沼地に墜落した。ピトー管が氷結し速度計の数字が落ち始めたため、パイロットは推力を増大させた後にスラットを展開した。スラットにより翼の気流が乱れ機体はコントロールを失い時速1200kmで墜落、搭乗していた74人全員が死亡した。
    • チャイナエアライン佐賀空港の滑走路をオーバーラン
      2007年平成19年)10月チャイナエアラインボーイング737型機が佐賀空港の滑走路をオーバーランして離陸した後、計器異常により引き返すトラブルが発生した。原因は、ピトー管の管内に虫が入り込んでいたためであった。このようなトラブルを防ぐために、航空機は地上駐泊する際にはピトー管の先端にはカバーを掛ける事になっているが、トラブルの発生した当該機は予定では当日中に折り返しのフライトを行うプランであったためにカバーを用意しておらず、カバーを掛けないまま駐泊していたのが原因であった。
    • エールフランス447便墜落事故
      2009年6月1日エールフランスエアバスA330型機が大西洋上に墜落した。原因はピトー管が凍結し速度計が動かなくなった際、失速警報が鳴っているにもかかわらず、経験の浅い副操縦士が操縦桿を機首上げ方向に引いたことであった。機体は制御不能のまま海面に叩きつけられ、乗員乗客全員が死亡した。

脚注

注釈

  1. ^ これによって得られる正確な対気速度が位置誤差較正に必要であるため

出典

  1. ^ ジョン・D・アンダーソンJr. 著、織田剛 訳『空気力学の歴史』京都大学学術出版会、2009年、68-71頁。ISBN 978-4-87698-921-8 
  2. ^ 巽友正『流体力学』培風館、1982年、70頁。ISBN 4-563-02421-X 
  3. ^ E. クラウゼ『流体力学』シュプリンガー・ジャパン、2008年、13頁。ISBN 978-4-431-10020-1 
  4. ^ 松尾一泰『圧縮性流体力学』理工学社、1994年、109頁。ISBN 4-8445-2145-4 

関連項目


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