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塵芥集とは? わかりやすく解説

じんかいしゅう〔ヂンカイシフ〕【塵芥集】


塵芥集

読み方:ジンカイシュウ(jinkaishuu)

戦国家法の一。


塵芥集

主名称: 塵芥集
指定番号 2525
枝番 00
指定年月日 2003.05.29(平成15.05.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 1冊
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文:  『塵芥集』は伊達家一四代稙宗【たねむね】が天文五年(一五三六四月十四日制定した分国法である。
 書名の「塵芥の意味は、世事万般事項規定した和光同塵という吉田兼倶唯一神道由来する謙譲解するなどの諸説があるが、定まってはいない。
 稙宗は、法令制定する当たって第一条神社巻末起請文を置く構成など体裁武家法の始である貞永式目倣っている。
 内容は、一七一か条からなり第一条から七条まで神社第八条から十五条まで寺院第十六条から七十五条まで殺害盗賊等の刑事法第七十六条から九十一条まで土地法、第九十二条から一七一条まで売買貸借質入婚姻損害賠償等の規定すこぶる周密挙げている。特に刑事法が全条文の約三分の一占め、他の分国法比較して詳細極めている点に特徴がある。
 本書体裁は、丸文唐花文金襴後補表紙装し袋綴冊子本で、題簽「塵芥集」が付けられ、五九丁からなる本文五六からなり、半およそ九行、一行二二前後書写されている。前遊紙一丁に「塵芥集」と首題がある。前文一丁(表)、次に条目五二丁(表)まで書き上げられている。五二丁(裏)に稙宗の花押があり、続けて伊達家評定衆起請文五六丁(裏)まで付されている。巻末に後遊紙二丁(後補、斐紙)の一丁伊達綱村識語がある。
 起請文連署する一一人のうち、現状では国分左衛門尉景広、中野上野介親時、冨塚近江守仲綱、浜田伊豆守宗景、牧野紀伊守景仲、牧野安芸守宗興の六人花押確認できるいずれも筆跡に力がなく同筆認められる。稙宗花押についても、花押形は天文年ころ間違いないものではあるが、筆運がなく均等に墨がついていることから、花押印認められる
 書写年代については、①第一条に「志んしやの事」の「志」と「し」に濁点があり、戦国時代用いられる三点符を使用している、②花押印とはいえ天文ころの特徴認められ書風等を勘案すると、天文五年以降のごく近いころに書写されたものである考えられる
 本書には、稙宗署名の右脇に擦り消した痕があり、一部に「門」の字が確認でき、臣下の名前であった可能性がある。伝来も、巻末伊達綱村識語延宝七年一六七九)村田親重から献上されたとある。そうなると、本書家臣配布するために制作され写本想定される
 本書は、分国法の中で条目の最も多く整備されたもので、伊達稙宗による奥州支配具体的に明らかにする『塵芥集』の最古写本として価値が高い。
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書跡・典籍:  在家人布薩法  地蔵講式  堀河中納言家歌合  塵芥集  塵袋  増壹阿含経  増鏡

塵芥集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/21 14:59 UTC 版)

塵芥集』(じんかいしゅう)は、陸奥国戦国大名伊達氏が制定した分国法天文5年(1536年)に、伊達稙宗によって制定された。条文はおよそ171条に及び、分国法中最大の規模。体裁に『御成敗式目』の影響が見える他、殺人強盗など刑事に相当する部分に詳細な規定があること、また地頭の支配権が広く認められている点などが特徴。

概略

塵芥は「ちり・あくた(ゴミ)」の意味であるが、ここでは多数ということで、あらゆる方面にわたり多くの事柄を網羅して作ったという意味である。

戦国期には多くの戦国領主が分国法を作成したが、その中でも特に不出来な分国法として知られ[1]、杜撰な内容から稙宗が一人で作成したと考えられている[2]

「生口」という特殊な制度があり、伊達家が犯罪捜査をしないため、被害者が自ら捕まえなければならなかった(一種の私人逮捕)。冤罪の場合は50日以内に真犯人(むかい生口)を生きたまま連れて来なければならなかった。

塵芥集が実際に裁判などで使用されたとする史料は存在しないが、仮に使われていたとしてもごく短期間であったと考えられている[1]。また内乱を引き起こし、晴宗や家臣団と対立した結果隠居に追い込まれた稙宗は家中で忌避された存在であったため、塵芥集は「忘れられた分国法」と化し[3]、以延宝8年(1680年)に家臣である村田親重が伊達綱村に献上するまで認知されていなかった[4]

蔵方乃掟

蔵方乃掟』(くらかたのおきて)は、塵芥集に先立って天文2年3月13日1534年)に出された質屋関係の法令13条であり、『塵芥集』が出された後も補助法として存続した。期限計算や質物の損壊、利子計算、質物が盗品であった場合の規定などが定められている。

参考文献

  • 桜井英治清水克行『戦国法の読み方 』( 2014年、高志書院) ISBN 978-4862151360
  • 桜井 英治「「塵芥集」の性格と成立過程について」『史学雑誌』第132巻第7号、史学会、2023年。 

脚注

  1. ^ a b 桜井 2023, p. 42.
  2. ^ 桜井 2023, p. 44.
  3. ^ 桜井 2023, p. 41.
  4. ^ 平松義郎 「近世法」(『岩波講座 日本歴史11 近世3』 岩波書店、1976年 p.333.)

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