弾性波
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弾性波(だんせいは)は、弾性体中を伝わる変形波で、弾性応力波、弾性ひずみ波とも呼ばれる。体積変化を伴う「体積波」と、形状変化は生じるが体積変化を伴わない「等体積波」とに大別される。一次元物体中の圧縮波、引張り波は前者に対応し、剪断波、あるいはねじり波は後者に対応する。弾性波の伝わる速度は弾性係数、ポアソン比と密度に依存する。
- ^ 井田喜明 『自然災害のシミュレーション入門』 朝倉書店、2014年、15頁。ISBN 978-4-254-16068-0。
- 1 弾性波とは
- 2 弾性波の概要
弾性波
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一般に液体と固体の基本的違いとして、固体がせん断応力に対して弾性的抵抗を示すのに対して、液体はそうではないという点が挙げられる。したがって液体の分子運動は縦波(フォノン)に分解でき、横波は非常に秩序立った結晶質の固体でのみ現れる。すなわち、単純液体はせん断応力という形で加えられた力に耐えることができず、力学的にそれに降伏し巨視的には塑性変形(粘性流)を起こす。さらに言えば、固体はせん断応力に対して局所的に変形するだけで全体の形が保たれるのに対して、液体はナビエ-ストークス方程式で表される粘性流となって大きく変形・流動する。この点が固体と液体の力学的な違いとされている。 しかし連続性についての観測によれば、横波は必ずしも固体のみで伝わるわけではなく、液体でも伝わると結論付けられる。通常の液体での実験でこの結論が確認できないのは、現代の音響学や光学の技法(超音波やレーザー)で得られる振動周期に対して液体中での横波の減衰が極めて素早く起きるためである。そのような条件下では、液体での横波は急激に減衰する。 それらの結論の検証には、単原子分子の液体やガラスの分子動力学法のコンピュータシミュレーションが使われ、短い波長では液体が横波を伝播できることが確認された。この粘弾性の振る舞いは波数が増加するにつれて液体の剛性が重要な要素になるという事実と結びついている。 高周波の横波と縦波の減衰機構は、粘性の液体や重合体やガラスを考慮していた。その後、広範囲の時間的・空間的スケールで観測される構造緩和スペクトルを使って粘性液体のガラス転移を解釈する新たな成果が生まれた。動的光散乱法(または光子相関法)を使った実験では、10−11秒という短い時間における分子の動きを研究できる。これは、周波数の範囲を 109 Hz かそれ以上に拡張したのと等価である。 したがって、横音響フォノン(横波)と硬化あるいはガラス化の開始には密接な関係があることがわかる。硬化が観測される波長の増大を考慮すると、その現象の周波数への依存性が明らかになる。 液体の熱運動を弾性波の重ね合わせで表すという方法は Brillouin が最初に導入した。したがって凝集系の原子の動きは定常波のフーリエ級数で表され、それらは物理的には様々な方向や波長の原子の振動(密度のゆらぎ)の縦波や横波の重ね合わせと解釈できる。音波の伝播という意味では、縦波すなわち粗密波の速度は物質の体積弾性係数に制限される。密度ρと体積弾性係数 K の比の平方根、すなわち√(K /ρ)は、縦フォノンの伝播速度と等しい。横波の場合密度は一定なので、伝播速度は剛性率によって制限される。 密度と剛性率 G の比の平方根は、横フォノンの速度に等しい。従って、波動の速度は次のようになる[要出典]: V long = K / ρ {\displaystyle V_{\text{long}}={\sqrt {K/\rho }}} V trans = G / ρ {\displaystyle V_{\text{trans}}={\sqrt {G/\rho }}} ここでρは、粒子密度または比体積の逆数である。
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