最終運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 02:26 UTC 版)
Chazy (1922) は、三体問題の特異性のない解の t → ∞ {\displaystyle t\to \infty } での最終的な振る舞いについて研究し、以下に述べる7パターンのいずれかであると結論した。なおここで添え字 i {\displaystyle i} , j {\displaystyle j} は 1, 2, 3を走り、例えば r 1 {\displaystyle r_{1}} は第2体と第3体の距離を表す。 二体間距離がすべて無限大に発散する場合 r j → ∞ {\displaystyle r_{j}\to \infty } ( j = 1 , 2 , 3 {\displaystyle j=1,2,3} )。この場合、極限 r j / t → C j {\displaystyle r_{j}/t\to C_{j}} が存在し、その値に応じて次の3パターンに分類される。The hyperbolic motions H {\displaystyle H} : C j > 0 {\displaystyle C_{j}>0} ( j = 1 , 2 , 3 {\displaystyle j=1,2,3} ). The hyperbolic-parabolic motions H P i {\displaystyle HP_{i}} : C i = 0 {\displaystyle C_{i}=0} かつ C j > 0 {\displaystyle C_{j}>0} ( j ≠ i {\displaystyle j\neq i} ). The parabolic motions P {\displaystyle P} : C j = 0 {\displaystyle C_{j}=0} ( j = 1 , 2 , 3 {\displaystyle j=1,2,3} ). ひとつの二体間距離が有界 sup t > 0 { r i ( t ) } < ∞ {\displaystyle \sup _{t>0}\{r_{i}(t)\}<\infty } であり、かつ残りの二体間距離は無限大に発散 r j → ∞ {\displaystyle r_{j}\to \infty } ( j ≠ i {\displaystyle j\neq i} ) する場合。この場合も極限 r j / t → C j {\displaystyle r_{j}/t\to C_{j}} に応じて次の2パターンに分類される。The hyperbolic-elliptic motions H E i {\displaystyle HE_{i}} : C j> 0 {\displaystyle C_{j}>0} ( j ≠ i {\displaystyle j\neq i} ). The parabolic-elliptic motions P E i {\displaystyle PE_{i}} : C j = 0 {\displaystyle C_{j}=0} ( j ≠ i {\displaystyle j\neq i} ). それ以外の2パターン。The bounded motions B {\displaystyle B} : sup t > 0 { r 1 ( t ) , r 2 ( t ) , r 3 ( t ) } < ∞ {\displaystyle \sup _{t>0}\{r_{1}(t),r_{2}(t),r_{3}(t)\}<\infty } . The oscillatory motions O S {\displaystyle OS} : lim ¯ t → ∞ sup j { r j ( t ) } = ∞ {\displaystyle \varlimsup _{t\to \infty }\sup _{j}\{r_{j}(t)\}=\infty } かつ lim _ t → ∞ sup j { r j ( t ) } < ∞ {\displaystyle \varliminf _{t\to \infty }\sup _{j}\{r_{j}(t)\}<\infty } . このうち振動運動 (oscillatory motions) については、Chazy は理論的可能性としてこのパターンを指摘したものの、それが実際に三体問題において存在するのかどうかは不明だった。この問題については1960年に Sitnikov が制限三体問題に(現在シトニコフ問題として知られる配位において)振動運動解が存在することを証明し、その後 Alekseev (1968), Saari and Xia (1989) といった研究を経て Xia (1994) が平面三体問題において振動運動解の存在を証明した。
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最終運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/07 14:00 UTC 版)
ピタゴラス三体問題は最終的に第2体と第3体が連星を組み第1体は単独でエスケープする。この型の漸近解は、Merman (1958)およびAlekseev (1961)による分類では「elliptic-hyperbolic」と呼ばれるものである。Szebehelyらの論文はこの最終状態に至るまでの軌道を詳細に図示しているが、その軌道の複雑さを目に見える形で示したことにより「三体問題の最終運動予測の難しさが多くの人に理解された」と谷川清隆らは評価している。 なお、三体問題はカオスな系であり、ピタゴラス三体問題は初期値鋭敏性を持つ。Aarsethらによる1994年の研究は、このことを初期条件をわずかに変えたときに最終状態においてエスケープする質点が飛んでいく方向がどのように変化するのかに注目して明白に示したものである。
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