最終進入まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 06:45 UTC 版)
「ユナイテッド航空232便不時着事故」の記事における「最終進入まで」の解説
15時51分、管制官は、UAL232便が空港の北21マイル(約39キロ)の地点にいると知らせた。続けて、旋回を少し広げて経路を左へ向けることを求めた。これは、UAL232便が最終進入経路に入るためであり、当該機を市街地から遠ざける狙いもあった。これに対し機長は、何であれ当該機を市街地から離してほしいと応答した。数秒後、管制官はUAL232便に方位180度へ旋回するよう求めた。15時52分には進行方向右側に高さ約100メートル前後の障害物があると注意喚起した。続けて管制官は、どの程度急な右旋回が可能か質問した。機長は、バンク角30度を試みていると答えたが、乗員の1人はそんな急バンクはできないと発言している。 15時55分ごろ、機長は「放送して彼らにあと4分と伝えよ」と指示。副操縦士が管制官に「あと3、4分で到着」と通信したが、機長はすぐに「放送、放送。乗客に伝えよ」と正した。これを受けて航空機関士が「あと4分で着陸」と機内放送した。 当初、進入管制官は滑走路31に着陸させようとしていた。「あと4分」と機内放送されたころ、UAL232便は、空港の北西約18マイル(約33キロ)の地点を飛行していた。機長は、ここから滑走路31に回り込むことは困難と判断し、ほぼ直線上に位置していた滑走路22への着陸を決めた。 15時57分から59分にかけて、UAL232便と管制塔との間では、おおむね以下のような交信が行われた。 管制官「ユナイテッド232、空港は12時の方向、13海里(約24キロ)」 機長「OK、探している」 機長「空港の標高は?」 管制官「1,100フィート(約335メートル)」 機長「ありがとう…、当機は降下を開始している」 管制官「ユナイテッド232、了解。空港は12時の方向、10海里(約19キロ)」 管制官「ユナイテッド232、もし空港までたどり着けなければ州間高速道路がある。空港の東端、南北に通っている、4車線だ」 機長「たった今われわれは道路を通過した。空港への着陸を試みる」 機長「滑走路が見えた、滑走路が見えた、滑走路が見えた。まもなくだ。支援を感謝する」 管制官「ユナイテッド232、風は360度(の方向)から11ノット、どの滑走路でも着陸を許可する」 機長「(笑い声)了解(笑い声)。でも君は滑走路を指定して着陸させたいんだろう?」 機長「OK、3本の滑走路を把握している。風の状況をもう一度」 管制官「風は010度から11ノット。滑走路のうちの1本は閉鎖されているが、おそらく使えるだろう。北東から南西へ走っている」 機長「我々は非常にうまく、この滑走路と一直線になっている…」 管制官「ユナイテッド232、一直線になっている滑走路は、滑走路22で閉鎖されている。使用可能にする。今、滑走路から機材を取り除いている。この滑走路と一列になっている」 機長「滑走路の長さは?」 管制官「6,600フィート(約2,012メートル)、機材を撤去中」 管制官「滑走路の終端はオープンフィールド(開けた場所)だ」 滑走路が目視できた直後、機長の指示で、コックピットから「あと2分」と機内放送がされた。そして、乗客に衝撃防止姿勢をとるよう客室乗務員が大声で呼びかけた。
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