高頻度抗原を欠く稀な血液型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 04:56 UTC 版)
「血液型」の記事における「高頻度抗原を欠く稀な血液型」の解説
頻度が1%以下の低頻度抗原の血液型は適合血の確保が困難となるため、日本赤十字社において登録を呼びかけている。 日本で登録が必要とされる日本人における稀な血液型の例 ABO式 ボンベイ (Bombay) 型、Ohとも表現される型で赤血球と唾液にA・B・H抗原を欠き、血清中に抗A・抗B・抗Hすべての抗体を保有。便宜上O型の亜種とされるがこの抗H抗体のためA・BはもちろんO型赤血球も輸血すると凝集させてしまうので、元々日本人には少ない型に加え、輸血には原則同型の物しか使えない。パラボンベイ (para-Bombay) 型という類似型にも同じことが言える。 Rh式 -D-型(バーディーバー:Rh:欠失型)。Rh抗原のうち「D抗原はあるが、Cもしくはc抗原とEもしくはe抗原が存在しない」という型。定義上はRh+だが通常のRh+の血を輸血されるとC (c) やE (e) 抗原に自己の抗体が反応してしまう。同型同士とRh nullからの輸血は問題ない。 cD-型 Rh null型(―――:バーバーバー)。Rh抗原がすべて存在しない型、Rh抗原のある血液(Rh−や-D-なども含む)を輸血すると凝集するのはもちろんだが、これ以外に軽度の貧血や赤血球の変形や赤血球の寿命が短くなる問題を起こす場合があり、Rh null症候群という。 Rh mod型。Rh null型に似ているが、極めて弱いRh抗原がある。 これらは抗原を保有しているが少なかったり、一部が欠損しているもので、輸血の際受血者のときはRh0(D)(−)、供血者としてはRh0(D)(+)として扱う:(これ以外に「1%以下で登録が必要」ではないが、Rh式のプラスマイナス判定で重要なD抗原が少ない「weakD (Du)」やD抗原のタンパク質が一部しかない「partialD」などの変則な型があり、これらも受血者のときはRh0(D)(−)、供血者としてはRh0(D)(+)として扱う。)。 MNSs式 S+s- S-s-U- En(a-) MkMk Nsat/Nsat MiV/MiV P式 p型。 Pk型。 両方ともP抗原を持たないのでP抗体を自然抗体として持つため、多数派のP1、P2型の血液を輸血できない。(p型はPk型からの輸血もできない) P抗原のない副作用として、これらの血液型はP抗原を足場に感染する伝染性紅斑(リンゴ病)のヒトパルボウイルスB19が感染しない。 ルセラン (Lutheran) 式 Lu(a−b−)、基本的な型だが分布が偏っており、日本ではLu(a−b+)が100%近くなので稀型となる。 ケル (Kell) 式 この型は日本人の100%近くがK−のため、必然的にそれ以外は稀血となる。 Ko型。ケル抗原が全種存在しない。 K+k−型 Kp(a−b−)型 Mcleod型。厳密にはKx式血液型のKx抗原を欠く型、ケル関連抗原の減少を伴うので便宜上ここに入れる。 ダフィー (Duffy) 式 Fy(a−b+)、基本的な型だが分布が偏っており、日本人でFy(a)抗原がない人は少数派。 Fy(a−b−)、基本的な型だが分布が偏っており、日本人でFy(a)抗原がない人は少数派。 キッド式 Jk(a−b−)、基本的な型だがモンゴロイド系以外では未確認。モンゴロイド内でも少数派。 ディエゴ (Diego) 式 Di(a+b−)、基本的な型だがモンゴロイド系以外では未確認。モンゴロイド内でも少数派。 その他の型の登録が必要とされる日本では稀な血液型 Landsteiner-Wiener式(LW式)、LW(a−b−)型。免疫抗体 Gerbich式、Ge−型。 Cromer式、IFC−、UMC−、Dr(a−)。いずれも高頻度抗原が稀に存在しない人の型 Ok式、Ok(−)。ただし2009年時点で新生児溶血の報告なし。 JMH式、JMH−。ただし2009年時点で抗JMH抗体を持つ人にJMH+の血液を輸血したが問題が起きなかった例もある。 Ii式、I−型、i型。 Dombrock式、Do(a+b−)、Gy(a−)。Do(a+b−)は基本の血液型だが日本では少なく1.5%程度、Gyaは高頻度抗原で大半の人は持っているがこれを持っていない人は稀血。 以下の抗原は血液型システムに属していない。 Lan式、Lan−型。免疫抗体 Jr式、Jr(a−)型。1500人に1人ほどの割合で見られる。免疫抗体でこの型に対しJr(a+)型の血液を輸血して問題のなかった例もある。 Er式、Er(a−)型。免疫抗体。
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