PLC
「PLC」とは・「PLC」の意味
「PLC」とは、工業分野における制御装置である「プログラマブルロジックコントローラ」や、イギリスの会社形態である「公開有限会社」、化学分野における「低懸念ポリマー」など、複数の意味を持つ言葉である。ほとんどの場合で、特定の分野の専門用語として使用される。工業分野のPLCは、主に製造業で使う、機械の動作を制御する役割を持った装置を指す。「programmable logic controller(プログラマブルロジックコントローラ)」を略す形で「PLC」となっている。そして、工業機械だけでなく、エレベーターや信号機などを制御する用途でも使われる。PLCは、コンピュータプログラムによって、機械を制御することができる仕組みとなっている。
工業機械の制御は、配線によって物理的に電気信号を送る、リレー回路が主流であった。そのリレー回路は、複数の機械を用いた、複雑な制御には適していない。使用する機械分の配線を用意しなければならず、回路が複雑になりやすいからだ。また、制御の内容を変える場合、回路を組み替える必要がある。複雑な制御では、その組み換え作業が大きな手間となる。PLCは、そのリレー回路の弱点を補える制御装置である。
PLCを用いれば、制御内容は、プログラムによって変更可能だ。そして、コンピュータを用いた効率的な制御ができるため、複数の機械をまとめて制御することも困難ではない。さらに、リレー回路よりも、必要なスペースが少なく済むことが多い。ただ、コスト面に関しては、PLCの方が高額になりやすい。機械に応じた、PLCソフトを、新しく作らなければならないからだ。したがって、工業分野では、コストや制御の複雑さを考慮した上で、PLCとリレー回路を使い分けることが多い。
また、機械制御を行うためには、PLCではなく、パソコンを用いることも可能だ。産業用パソコンとプログラミング言語を組み合わせれば、PLCと同様の制御を実現できる。PLCとパソコンの違いは、osを搭載しているかどうかである。osを搭載していないPLCは、制御処理の速度が高い。そのため、処理の遅れが許されない場所では、PLCが選ばれる。ただ、pcは、osがあることで、操作がしやすいという強みがある。また、シェア率の高いプログラミング言語であるc言語を使用できるため、c言語を使った他の機器との連携も容易である。そのような違いがあるため、PLCとパソコンも、状況に応じて使い分けることとなる。
PLCは、通信分野では、「電力線搬送通信」という意味で使用される。電気を送るための電力線を、通信回線として使用することである。「power line communications」を略して、「PLC」となっている。PLCを使用すると、すでに電力線がある場所であれば、比較的容易にネットワーク回線を引くことが可能だ。一般家庭にあるようなコンセントに、専用モデムを差し込むだけで、インターネット環境ができあがる。
PLCは、通信速度が遅いのが弱点である。そのため、高速通信ができる無線LANに、多くのシェアを奪われた。しかし、無線LANの通信は、壁や天井によって阻害されやすい。したがって、障害物が多い環境であれば、PLCの方が、高速で通信できる可能性がある。実際に、壁や天井などで、無線通信が遮られやすいビルではPLC、障害物が少ない場所では無線LANという風に、使い分けされることが多い。
ビジネスシーンでは、PLCは、イギリスの会社形態のひとつである「公開有限会社」という意味となる。日本の株式会社に相当し、株式を公開している会社を指す。「public limited company」を略した形の「PLC」である。イギリスの企業は、会社名に「有限責任」を意味する「limited」に相当する言葉を入れなければならないと、法律によって定められている。そして、PLCには、「limited」の意味が含まれる。そのため、株式を公開しているイギリスの企業は、社名の最後に「PLC.」と表記することが多い。
また、PLCは、ビジネスシーンで「プロダクトライフサイクル」という意味で使用されることもある。プロダクトライフサイクルとは、製造した何らかの製品が市場に投入された後、どのような経緯を辿るかを示したものだ。「product life cycle」を略して「PLC」となる。PLCでは、製品の売り上げと、それに伴った利益が重視される。企業は、PLCをひとつのモデルとして、マーケティング戦略の内容を決める。PLCは、製品を市場に投入したタイミングの導入期と、売り上げと利益が拡大していく成長期、売り上げと利益が共に停滞し始める成熟期、売り上げも利益も減少する衰退期という、4つの段階に分かれる。その段階に応じて、必要なマーケティング戦略が異なる。
医療分野では、PLCは「慢性苔癬状粃糠疹(pityriasis lichenoides chronica))」の略称として扱われる。慢性苔癬状粃糠疹は、身体の至るところで、皮膚の盛り上がりである丘疹を発生するものだ。原因は明らかになっておらず、主に若年層に見られる症状である。基本的に痛みは伴わず、数ヶ月で改善する場合が多い。数ヶ月が経過しても改善せず、慢性化した場合は、抗菌薬の使用や紫外線照射などの治療を行う。
PLCは、化学分野では、「低懸念ポリマー(polymer of low concern)」の略称として使用される。高分子化合物であるポリマーは、次々と新しいものが作られている。代表的なポリマーは、ポリエチレンやポリスチレンなどである。ただ、ポリマーの中には、環境汚染に繋がったり、人の健康を害したりする恐れがあるものも含まれる。そのような環境汚染や健康被害を引き起こす懸念が低いポリマーを、低懸念ポリマー、PLCと呼ぶ。
新しく作られたポリマーがPLCとして認められるためには、水や酸に溶けないこと、ナトリウムやカルシウムなど、特定の金属以外の金属を含まないことなどの条件がある。そして、日本では、経済産業省への申請によって、新規ポリマーがPLCであることの確認をしてもらえる制度がある。
「PLC」の熟語・言い回し
PLC制御とは
PLC制御とは、プログラムを用いた制御装置であるPLC、プログラマブルロジックコントローラを使った機械制御のことである。基本的には、PLC制御には人の手は必要なく、プログラムに従って自動で制御される。そのため、PLC制御によって、工場の機能の大部分を自動化することも不可能ではない。また、工業分野では、複雑な動作を行う、産業用ロボットが使用されることがある。そのロボットの複雑な動きを実現させるためにも、PLC制御が必要となる。PLC制御は、工業分野における専門用語だが、自動ドアや洗濯機などでも行われていて、大勢の人にとって身近な存在である。
安全PLCとは
安全PLCは、制御装置であるPLCの内、安全制御のために用いられるものを指す言葉である。PLCを使用する工業分野では、機械による事故が発生するリスクがある。そのリスクを避けるために使用するのが、安全PLCだ。安全PLCには、万が一事故が発生した際に、機械を緊急停止させるものや、事故を予防するために機械を診断するものなど、様々なプログラムがある。その中から、必要に応じて導入する形だ。また、ISO13849を始めとする、安全に関する規格を満たすために、安全PLCが必要になる場合もある。
汎用PLCとは
汎用PLCとは、様々な目的で使用できる、機械制御装置のことである。PLCには、特定の目的のために作られたものが多い。そのようなPLCは、他の用途で使うことができない。それに対して汎用PLCであれば、プログラムの内容を変更することで、幅広い目的で使用することが可能だ。ただ、幅広い目的で使えるといっても、安全PLCの代わりとして、汎用PLCを用いることは望ましくない。安全制御のために汎用PLCを用いた場合、安全に関する規格を満たせない可能性が高いからだ。そして、実際に事故が発生するリスクが高くなる。
ピー‐エル‐シー【PLC】
読み方:ぴーえるしー
ピー‐エル‐シー【PLC】
PLC
PLC
PLC
PLC(Power Line Communication)とは、家庭まで広く普及している電力線を利用して、ADSL並以上のブロードバンドを実現する「電力線通信」システムのこと。電力線には関東では50Hz、関西では60Hzが使用されているが、ここに2MHz~30MHzの高い周波数の電気信号を流して、最大200Mbps程度の伝送速度を実現することを目指している。2006年6月に、総務省・情報通信審議会が「高速電力線搬送通信設備に係る許容値及び測定法」について答申」という答申を提出したことで、実用化へ大きく前進し、2006年内にもPLC関連が登場すると見られている。
PLCでは、まず、親装置となるPLC親モデムが電柱上に設置され、既に電柱まで敷設されている光ファイバー(バック・ボーネットワーク)と各家庭への電力の引込線の間をつなぐ。一方、子装置となるPLC子モデムは家庭内のコンセントに接続され、端末(パソコンなど)につないでインターネット通信を行うシステム。
なお、日本国内での高速電力線通信の早期実用化を目指して、2003年3月にPLC-J(PLC-J:High Speed Power Line Communication Promoters' Alliance of Japan、高速電力線通信推進協議会)が設立されている。
PLC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 08:07 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動PLC:以下の語の略称などに用いられる。
学術的分野
- プラスチック (Plastic)
- パケット損失の一隠蔽法 - Packet Loss Concealment
- 電力線搬送通信 (Power Line Communications) - 電力線を利用する通信ネットワーク技術。
- プログラマブルロジックコントローラ (Programmable Logic Controller) - 「シーケンス制御」も参照。
- 平面光回路 (Planar lightwave circuit)
ビジネス分野
- 製品ライフサイクル(product lifecycle)
- プロセスレベルの内部統制(process level control)
- イギリスとアイルランドおける公開有限会社 (Public limited company) - 日本では株式会社の中で特に公開会社にあたる。
- Professional Law Corporation
- Program length commercial
医学分野
- 慢性苔癬状粃糠疹 (Pityriasis lichenoides chronica)
- ホスホリパーゼC (Phospholipase C) - ホスホリパーゼの1種。
政治分野
- パレスチナ立法府 (Palestinian Legislative Council)
- ポーランド・リトアニア共和国 (Polish-Lithuanian Commonwealth (1569-1795))
- カナダ自由党 (Parti Libéral du Canada) - カナダの政党の一つ。
- (es:Partido Liberal Constitucionalista) ニカラグアの政党の一つ。
言語学分野
教育分野
- Platoon Leaders Class - アメリカ海兵隊士官学校の一つ。
- en:Presbyterian Ladies' College[1] - オーストラリアの学校。
- en:Pymble Ladies' College[2] - オーストラリアの学校 。
その他
- Psycho le Cemu(サイコ・ル・シェイム)-日本のロックバンド。
- PLC (パールレディクラブ) - 日本のアイドル
外部リンク
PLC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 01:39 UTC 版)
ディジタル入出力、アナログ入出力の判断および処理をすることができる装置である。プログラミング方式はラダーやファンクションブロックダイアグラムなどを用いる。
※この「PLC」の解説は、「制御盤」の解説の一部です。
「PLC」を含む「制御盤」の記事については、「制御盤」の概要を参照ください。
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