カリオペー
カリオペー(古希: Καλλιόπη, Kalliopē, 「美声」の意)は、ギリシア神話に登場する文芸の女神ムーサたち(ムーサイ)の1柱。名はカリオペイア(古希: Καλλιόπεια, Kalliopeia)とも。日本語ではカリオペ、カッリオペイアなどとも表記される。
すべてのムーサたちと同じく大神ゼウスとムネーモシュネーの娘。9柱のムーサたちの長女で、クレイオー、エウテルペー、タレイア、メルポメネー、テルプシコラー、エラトー、ポリュムニアー、ウーラニアーと姉妹[1][2][3]。「叙事詩」(叙情詩、エレジー)を司る。表される際の持ち物は、書板と鉄筆であるが、この様にムーサたちが細分化されたのはローマ時代のかなり後期になってからである。黄金の冠を着用している場合もあり、ヘーシオドスはこれをほかのムーサイに対するカリオペーの優位を示すものとしている。
アポローンもしくはオイアグロスとのあいだにオルペウスとリノスをもうけたほか[4]、レーソス[5]、セイレーンたちの母とする説もある[6]。
弁舌の女神ともされ、ムーサたちの中で最も賢いとされる。アドーニスをめぐるアプロディーテーとペルセポネーとの争いを仲裁するなど、ムーサたちの中で最も活躍の場が多い女神でもある。
ギャラリー
- ジョヴァンニ・バリオーネ『カリオペー、叙事詩を司るムーサ』(1620年) アラス美術館所蔵
- ジュゼッペ・ファニャーニ『カリオペー』(1869年) メトロポリタン美術館所蔵
- ヨハン・ハインリヒ・ティシュバイン『カリオペー』(1780年) カッセル市立美術館所蔵
- ウスタシュ・ル・シュウール『カリオペー』(1646-1647年頃) ルーヴル美術館所蔵
- シャルル・メニエ『カリオペー』(1798年) クリーブランド美術館所蔵
- カリオペーの像 エルミタージュ美術館所蔵
- カリオペーの像 バチカン美術館所蔵
脚注
参考文献
関連項目
Calliope
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 23:48 UTC 版)
「サンドマン (ヴァーティゴ)」の記事における「Calliope」の解説
作家として行き詰っていたリチャード・マドックは、老齢の作家からギリシアの女神ムーサの一柱であるカリオペを譲り受け、自宅に監禁してレイプすることで霊感を得る。カリオペは三位一体の母神メレテー、ムネーメー、アオイデーを呼び出して救いを求めるが、女神たちにその力はない。一縷の望みとして、かつてカリオペとの間に子をもうけたオネイロス(ドリーム)の名が挙げられ、彼と憎み合う関係になっていたカリオペは絶望する。やがて長年の幽閉から逃れたドリームが救出に現れ、かつての冷厳さを知っていたカリオペを驚かせる。ドリームはマドックに無限のアイディアを与えて狂気に追いやった。
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