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Dynamic Random Access Memory データアクセスの方法

Dynamic Random Access Memory

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/14 13:51 UTC 版)

データアクセスの方法

DRAMのメモリセルを指定するためのアドレスデータ線は、行アドレスと列アドレスとで共通になっていて、行アドレスと列アドレスを時分割で設定するようになっている。メモリの番地のうち、行アドレスは上位ビットの部分に割り当て、列アドレスは、下位ビットに割り当てて使用する。アドレスデータ線にどちらのデータが加えられているかを区別するために、RAS (row address strobe) およびCAS (column address strobe) と呼ばれる信号を用いる。行アドレスデータを確定した状態でRAS信号をアクティブにすることで、RAS信号の変化点での状態を素子に行アドレスとして認識させる。RAS信号がアクティブな状態のまま、引き続き列アドレスデータに切り替えて、CAS信号をアクティブにし、CAS信号の変化点での状態を素子に列アドレスとして認識させ、必要とするアドレスのデータにアクセスを完了する。

データアクセスの高速化のため、同じ行アドレスで列アドレスが違うデータを次々に読み書きする方法が考案されており、これをページモードと呼ぶ。

ページモードは、高速ページモード (fast page mode)からEDO(extended data out、EDO DRAM)へと進歩した。そして、21世紀以降はsynchronous DRAM (SDRAM) と呼ばれる、行アドレス内容を同期転送(バーストモード)で高速に入出力する機構を搭載したものが主流となっている。全く工夫のないDRAMでは100nsec以上かかっていたものが、これらのDRAMでは2.5nsec前後まで高速化されている。ただし、列・行アドレス共に指定してセットアップ・プリチャージの時間を含むアクセスタイム自体は、それほど短縮されておらず、この10年間で1/3程度高速化されただけである。

また、異なるアドレスに対する読み書きを同時に2つのポートから擬似的に行うことができるDual Port DRAMがある。PCでは画像表示用のVRAMやCPU-GPU間共有メモリに用いられたり、あるいは互換性のないマルチプロセッサ構成のPCやワークステーション、PCI-PCI間メモリ転送デバイスなどの用途に使われる。


注釈

  1. ^ CCDに代わる画像素子として、1988年にMicron Technology社よりOptic RAMという商品名で発売された。
  2. ^ インテルは、磁気コアメモリに代わるメモリとして、DRAM製造に着手していたが、ダイの状態では問題がないにもかかわらず、パッケージにするとソフトエラーが多発する問題に遭遇した。原因を究明すると、パッケージのセラミックスアルファ線を放出する物質が含まれていることが判明した。インテルは、パッケージ製造元である京セラに対して、この現象を極秘にするよう要請し、DRAM用パッケージは京セラが作った特注パッケージを使用した。そのため、インテル自身がインテル・1と呼ぶ半導体巨大企業へ発展する第一歩は、ソフトエラーの対策ノウハウを秘密にすることにより、市場から競合メーカーを追い出すことから始まったとされる。なお、この事実は、電子立国日本の自叙伝 単行本において、インテル自身によって解説された。
  3. ^ 世界最薄DRAM開発、エルピーダメモリ。本県で生産、出荷へ 秋田魁新報 2011年6月23日
  4. ^ 韓国Samsung Electronics社は2009年6月17日に、サーバー向けにパッケージあたり16GビットのレジスタードDDR3モジュールを開発したと発表した。電源電圧は1.35Vで1つ4Gビットのダイを4枚内蔵している。
  5. ^ 512Mビット(64M語×8、DDR2 667Mビット/秒)製品の価格が2006年11月は6.5米ドルだったものが2008年12月8日0.31米ドルまで低下した。
  6. ^ 2008年第算四半期の決算では、Samsung社が前年同期比約78%減ながら1,900億ウォンの営業利益を、Hynix社が4,650億ウォンの、エルピーダメモリ社が245億円の営業損失を報告した。

出典

  1. ^ How to "open" microchip and what's inside? : ZeptoBars” (2012年11月15日). 2016年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月2日閲覧。 “Micron MT4C1024 — 1 mebibit (220 bit) dynamic ram. Widely used in 286 and 386-era computers, early 90s. Die size - 8662x3969µm.”
  2. ^ 業界に痕跡を残して消えたメーカー DRAMの独自技術を持ちながらも倒産したQimonda
  3. ^ a b DRAM The Invention of On-Demand Data - IBM
  4. ^ 小林春洋著 『わかりやすい高密度記録技術』 日刊工業新聞社 2008年9月28日発行 ISBN 978-4-526-06129-5
  5. ^ 集積回路工学第2 講義資料: 第12回: DRAM”. ifdl.jp. 金沢大学 理工学域. 2022年1月15日閲覧。
  6. ^ a b c 菊池正典監修 『半導体とシステムLSI』 日本実業出版社、2006年7月1日初版発行、ISBN 4-534-04086-5
  7. ^ [1]
  8. ^ 神保進一著 『マイクロプロセッサ テクノロジ』 日経BP社 1999年12月6日発行 ISBN 4-8222-0926-1
  9. ^ 『負の連鎖から脱出せよ』 日経エレクトロニクス 2009年1月12日号 37-69頁
  10. ^ JETROニュースページ 『半導体大手キマンダが倒産−1万人の雇用に影響か−(ドイツ)』
  11. ^ computerworld
  12. ^ エルピーダメモリ産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の認定取得に関するお知らせ” (PDF). エルピーダメモリ株式会社 (2009年6月30日). 2011年2月12日閲覧。
  13. ^ エルピーダが経営破綻 会社更生法の適用申請へ - MSN産経ニュース
  14. ^ Micron、エルピーダメモリの買収を完了 - PC Watch
  15. ^ チキンゲーム勝者の笑顏…SKハイニックス、営業利益1兆ウォンの新記録 | Joongang Ilbo | 中央日報





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