あなたはスマートフォンを操作する際、どちらの手で持ち、どの指で操作するだろうか? おそらく誰しも基本の「型」があるはずだ。「みんな自分とだいたい同じでは?」と考えている人が多いかもしれないが、実はかなり異なっている。コンテンツ提供サイドとしては操作感への影響を意識しておく必要がある。
スマホの操作スタイルという、これまであまり気にしたことがなかった盲点ともいえる調査リポートを、調査会社のインテージが2023年1月27日に公開した。調査対象は日本を含む11カ国(日本、中国、韓国、インド、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、シンガポール、英国、米国)。サンプルサイズは各国500人だ。
▼関連リンク(クリックで別サイトへ) 日本人のスマホの持ち方は独特?-国際比較調査でみるスマホ操作の国別傾向-調査の趣旨は、タイトルの通り諸外国との比較で違いを浮き彫りにすることである。だがそれ以前に、「日本人の主流はこのパターン」といえるほど定まった型はなく、ばらつきが大きい。右利きなら右手で持つ、あるいは左手で持つと決まっているわけでもない。この調査から見えてくることや、マーケティング従事者として注意しておきたいことを探ってみたい。
インテージの調査リポートを順に追っていく。まず利き手について。日本は右利きが88.5%で、11カ国平均では84.8%。国内外とも9割弱が右利きで大差はない。
では、スマホをどちらの手で持つか? 日本では左手が57.0%、右手が35.9%と、20ポイント超の差をつけて左手が優勢だ。これが11カ国トータルでは右手が48.9%、左手が36.8%と、逆になる。日本以外で左手優勢なのは中国と韓国だけだ。
これを年代別に見ると、日本では40~50代の左手持ちが70%超と多数派を占めていることで、左手優勢を決定づけている。一方、日本でも20~30代は、僅差ではあるが右手持ちが上回っている。30代と40代の間には大きな分断がある。
年配層ほど左手持ちという傾向は、日本が最も顕著ではあるが、11カ国トータルでも共通して見られる。右手持ちが6割を占める20代から、年齢が上がるにつれて左手持ちが増え、40代で半々。50代では左手持ちが56.4%と過半を占める。
11カ国共通して年配層ほど左手持ちが増えるのは、固定電話や公衆電話の受話器を持つ手の名残である可能性が高い。公衆電話も自宅や職場の固定電話も、向かって左側に受話器とコードがあり、受話器を左手で取って左耳に当て、右手で番号をプッシュしてメモを取ることを想定したつくりになっている。その経験が染みついた世代ほどスマホも左手持ちが習慣づくのは納得感がある。
続いてどちらの手で持ってどの指で操作するか、その組み合わせについて。こちらも日本と海外で異なり、日本人の間でも世代間格差が大きい。
世界の主流と異なる「日本特有のスマホ操作方法」とは
まず日本で最もポピュラーなのは「左手持ち・右手人さし指操作」で、25.6%を占める。ところが他の10カ国でこれが主流の国は一つもない。中国がかろうじて11.9%と2桁パーセント台に乗せているだけで、他国では10%に満たない。
11カ国トータルで最も多いのは、「右手持ち・左手親指操作」で20.8%。次いで、「左手持ち・左手親指操作」15.5%、「右手持ち・右手親指操作」14.0%と、片手で完結するスタイルが続く。この3スタイルで約半数を占める。日本でトップの「左手持ち・右手人さし指操作」は9.1%で4番目。11カ国でトップの「右手持ち・左手親指操作」は日本では5%未満だ。
スマホの持ち手と操作する指の組み合わせも、日本人同士で世代差が出やすい。
こちらはインテージが19年に実施した2万人の大規模調査の結果だが、「左手持ち・右手人さし指操作」は年配層ほどその傾向が強い。これに次いで多い右手完結の「右手持ち・右手親指操作」は、10~20代男女と30代男性で最もポピュラーな、若手優位のスタイルだ。
ここで1つ疑問が湧く。日本の若年層では右手完結が主流といっても、日本人の手のサイズで操作に支障はないのか? 若者は年配層よりもスマホの買い替えサイクルが早く、その分、画面サイズの大きいスマホを持っている印象がある。親指は届くのだろうか。
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