時は遡ること2024年3月25日、横浜。
私はオーディション番組『0年0組』から結成された、オルタナティブ歌謡舞踊集団——龍宮城のライブを訪れていた。
というのも私は姉が見ていたのをきっかけにオーディション番組時から彼らを見ており、かといって一番好きだと思った子は落ちてしまったので特に推しは作ることもせず、楽曲が好きだしメンバーみんな同じくらい好きだしと、曲は聞いてファンクラブの姉にライブを誘われたら行く程度の非常にゆる~いオタ活をしていた。
彼らの楽曲が好きというのにもきちんと理由があって、彼らの歌がうまいのはもちろんだが、いちばんは楽曲だけでなく彼ら自身がオーディション番組の時からバント『女王蜂』のボーカル・薔薇園アヴちゃんがプロデュースしている点にあった。
私はアヴちゃんがHey! Say! JUMPに『狼青年』を楽曲提供をしたことをきっかけに女王蜂の曲を聴くようにもなった。その唯一無二ともいえるかっこよくてオシャレだけど人間性がむき出しの楽曲と、男性とも女性とも違うような歌声が好きで、一度ライブにもお邪魔したことがあった。そんなアヴちゃんが愛と魂を削って作った楽曲たちは龍宮城が歌うとまた違った感じがして、それはそれで龍宮城にしか出せない味があって、気づけばそれも好きになっていた。
まあそんなこんなでその日も姉に誘われて私はライブハウスに訪れていた。その前に参加したライブはオールスタンディングだったが、この日は椅子がある2階席2列目真ん中で、推しを決めてないから前で見る欲もなかったので、見晴らしがよくてふっかふかの椅子があるはいいなあと思った。
異変を感じたのは開場時間が迫ってからだ。ほかは埋まってきているのに自分の前——つまり2階席一列目のお客さんが全然訪れないのだ。みんなご飯食べてるのかなあなんてのんきに考えていた。が、それが間違いだとすぐに気づいた。まず、明らかにスタッフと思わしき人たちに案内されてきた若い男性たちが入ってきたからだ。一人ロシアみたいなモフモフの帽子のひとがいて、一般人が絶対にライブハウスにはかぶってこない帽子だ!と瞬時にわかった。そして、気づいた。
一列目、関係者席だ~~~~~~~~~!!!!!!!!(遅い)
だって垢ぬけてるもん。龍宮城はボーイズグループの形をしているのでメインのファン層は女性だ。でも目の前には男の人しかいない。しかもスタッフさんが連れてきた。
しかし彼らが入ってきても、まだ真ん中3席程度空いていた。つまり私の前である。
なんとなく予感はして、自分の心拍数が爆上がりするのを感じた。
予感は的中して次に来た金髪の男性には見覚えがあった。
0年0組の時から龍宮城がお世話になっている――なんなら私の大好きなTravisJapanもSUPEREIGHTもお世話になっている――振付師、ダンスアーティストグループGANMIのsotaさんだった。
ちなみに先に来てたかっこいいお兄さんたちもGANMIのメンバーさんだった。
これはやばい。
絶対にやばい。
上がる心拍数。何か変なこと聞かせるわけにはいかないと黙る私と姉。
だが時間というのは簡単に過ぎて、会場BGM
がだんだんと上がって開演を知らせはじめたとき、スタッフに連れられて一人の人が現れた。
0年0組の先生
龍宮城のプロデューサー
女王蜂のボーカル
薔薇園アヴ、その人である。
やっぱり~~~~~~~~~~~~?????????とまじで~~~~~~~~~~~?????が同時に脳を駆け巡った。
そんな混乱中の私なんて知る由もなくアヴちゃんはそのまま私の斜め前に腰を掛けた。圧倒的に細いのにオーラがあってその一瞬しか直視が難しかった。神々しいってこういうことを言うのかと思った。
みんな、あるか?薔薇園アヴちゃんのほぼ真後ろでライブ見たこと。
ないだろう。わたしは経験しました。
言っておくが、めっちゃくちゃ緊張するぞ。
私はあまりに顔がいい人を直視するとうわごとで「顔がいい」と口から出てしまうことが多いのだけど、万が一にもそんなオタクのたわごとは聞かせられないと下唇をかみしめたし、前に連番相手がキンブレを前の席に吹っ飛ばして周りのオタクに助けられたことを思い出して、今日の私は絶対に飛ばしてはいけないとキンブレをいつも以上に強く握った。
ライブ鑑賞は一期一会とはいつも思っているけれど、この日ほど「失敗できない」と思ったことはない。
正直席代えてくれとすら思った。関係者席なんて私から見えないところに設営してくれと。
でも驚いたのは、そんな気持ちでライブ鑑賞をしたのは最初の数曲だけだったことだ。
別に前列の皆さんが席を移動したとかではない。
龍宮城から、目が離せなかったからだ。
まず、オーディション期で大分歌がうまくなった彼らではあるが、その時よりも更に上手くなっていた。しかも歌だけでない、ダンスもだ。特に成長期のメンバーが多いグループゆえの長すぎすぎる手足が余ってる感じがなくなっていた。
さらにその日は双眼鏡を持っていったので、前は見えなかった一人一人の表情が良く見えた。
これがやばくて、表情管理とはまた違っていて、彼らは曲に入り込んでいて、それが内側から出ているような顔つきで。
さっきまでは悲しみの淵で強がってた少年の顔が、次の曲では獲物を狙うハンターのようにギラギラしていて、その次にはちょっと狂気すら感じるギャルになる。何を見て何を感じたらこんな表現ができるのかは全く分からないけれど、どんどん変わっていく彼らの表現力に気づいたら圧倒されていた。
気づいたら、彼らしか見えてなかった。
特に私の心を撃ち抜いた曲があって、『LATE SHOW』という楽曲だ。
このライブでこの曲はリーダーのKEIGOくんの口上から始まって、その言葉が素晴らしいのもそうなんだけど、最後にその挨拶は"龍宮城の音楽を聴いてください"と結ばれる。そこから始まるイントロ、背後から当たるキラキラしたライト、シルエットで踊り出す7人。私は普段アリーナとかドームとかを主現場とするオタクで、デカくて派手なライブを沢山見てる方だと自負している。でも私にとってその瞬間はそれらに並ぶくらい衝撃的で、そして美しかった。気づいたら涙が出てきた。何かが私の中にぶっ刺さって、抜けなくなって、その曲が終わったあともまだこの曲の世界にいたかった。
正直そこの衝撃が強すぎて、1年近くたった今ではLATESHOWの景色は色濃く覚えてるのに、前列のすごい皆様がいつ帰ったか何をしてたか一切記憶がない。
ぼんやり覚えているのはアヴちゃんが1回も背もたれに背をつけてなかったことくらいだ。
それくらい凄かった。
その後ライブハウスから出て、私はすぐファンクラブに入った。見れればいいな〜だった龍宮城が、これから見なくてはいけないに変わったからだ。
あれから1年近くたつ。結局推しは決めてなくて、グッズもその時ビジュアルが気に入ったメンバーを買うことにしてる。
あれからライブにお邪魔する度にどこかが成長している彼らに度肝を抜かされてばかりだ。
そんな龍宮城は2025年2月22日、日本武道館に立つ。
しかもチケット一般発売中。
正直この武道館埋めさせたい!と最初私は思っていた。でもそんな時Rayくんが言っていた言葉にハッとした。
「武道館を埋めるための人じゃなくて、あなたを満たすために来て欲しい」
この言葉を聞いた時オタクは反省した。
ただ埋めようと躍起になってたことに。
だから、少しでも興味がある方は来て見てほしい。まず絶対にすごいから。2部とも違うと公言してるし、楽曲は全てアヴちゃんが手がけてるし、全員歌は上手いしダンスも上手いし顔もめちゃめちゃかわいい。
ただ、これは武道館を埋めるためではなく、あなたのために来て欲しい。絶対に龍宮城はあなたを満たしてくれるから。
このブログをここまで読んだあなたへ。
とにかく龍宮城の音楽を、聴いてください。