マクロ経済で最も重要な概念は、「誰かの借金は、誰かの貯蓄」である。どうも「貯蓄」というと、蔵の中の米俵とか、金塊とかをイメージするようだが、蓄えた米は劣化して無価値になるし、金塊とて、少子化で受け取る人が居なくなれば、無価値になる。貯蓄とは、人から何かを得る「権利」であり、借金とは、人に何かを与える「義務」であって、一対でもって始めて意味を持つ。ところが、財政赤字というと、片面だけしか見えなくなるようである。 ……… ダメな財政学者は、赤字の削減を叫んでも、それで余らせた貯蓄を誰が使うかを考えない。主流派の経済学では、財政赤字が減ると、金利が下がり、設備投資が盛んになって、貯蓄が有効に使われるというのが標準的な考え方だが、今の日本では、金利の下がりようがないので、緊縮財政は、単に経済の縮小させるだけになる。少なくとも、外需が補う状況でないと非常に危いことになる。 実際の経済では、設備投資は