みんなで決めるって、むずかしい。顔をあわせて話し合うのが一番だけど、大勢だとちょっと無理。代表を選んで託せば、時間は節約できるけど、もどかしい。古代ギリシャで産声をあげて約2600年、民主主義はそんなジレンマを抱えてきた。「直接制」と「代表制」の良いとこ取りはできないのか? 政治哲学が専門の五野井郁夫・高千穂大学教授(41)に素朴な疑問をぶつけてみた。(聞き手・玉川透) ――アメリカの調査機関ピューリサーチセンターが今年2月に発表した調査では、34カ国で平均52%の人々が、うまく機能しない自国の民主主義に「不満だ」と答えました。日本も53%に上ります。今、代表民主制というシステムが、うまく機能していないように見えます。 選挙で選んだ誰かに政治を託す。それが代表制というものですが、これは「欠点」をいくつも抱えています。油断すると、選ばれる人が固定化し、利益集団を代表して資産が流れ込みやすい。